地下鉄建設工事の施工管理担当として
困難克服の道筋を示す。
長澤 正嗣
Masatsugu Nagasawa
国際事業本部 シンガポール営業所 トムソンライン工事事務所
2008年入社/社会デザイン工学科 卒
新日鐵君津桟橋築造工事事務所
伊豆大島ケーソン据付工事事務所
ベトナム コンテナターミナル築造工事事務所
タイ 古河スカイ アルミ工場築造工事事務所
現職
都市国家のシンガポールは狭い国土の交通利便性を高めるために、地下鉄ネットワーク整備に力を入れています。シンガポールの中心街であるマリーナ・ベイと住宅エリアの北部ウッドランズ地区を結ぶ地下鉄「MRT(都市高速鉄道)トムソンライン」建設工事のうち、Bright Hill駅舎と隣駅とを結ぶ上下線計4本のトンネル施工現場が、私の職場です。
Bright Hill駅周辺は、閑静な住宅街で駅舎の隣には中学校もあるため、工事のときに発生する「音」には神経を使います。建設機械(重機)の騒音はとても大きいため、現場の周りには防音壁を囲い、特に騒音大きい重機には直接防音シート等で覆っています。また、重機を現場に搬入する際は、騒音を測定し、騒音の大きいモノは交換するよう指示します。さらに、中学校の試験期間中は50デシベル以下、ひそひそ話し程度の音に抑えなければならず、稼動させる重機の種類や台数まで考え作業計画を立てています。
また、主要道路の真下に駅舎を施工するため、道路の一部を通行止めや車線を変更しながら施工していく必要があり、これを「道路の切り回し作業」といい、本現場は、それを7回も行うため、入念な段取りが欠かせません。その上、シンガポールでは病気を媒介する蚊の発生を防ぐ法的義務があるため、工事現場内に水溜りができないよう傾斜をつけたり、殺虫剤をまくなど、衛生面でも気を使って仕事を行います。
施工管理担当は、こういった様々な条件を念頭において作業計画を立案し、設計担当者や現場の作業員との綿密な打ち合わせを重ねます。同時に、日々、安全面や工事品質を確認しながら、現場が円滑に回るように「人」と「モノ」を適宜調整し結果を最大化する――マネジメント力が問われる仕事だといえます。
この現場に常駐している日本人は、工事所長と私の2人だけで、その他のスタッフ、およそ60名はシンガポールをはじめ、世界各国から集まってきています。そのため、意思疎通が最も苦労します。
現場スタッフとは基本的に英語でやりとりしています。しかし、中国系シンガポール人であれば、普段は中国語を話す人が多く、マレーシア人ならマレー語というように、私を含めて英語は第二外国語という人がほとんどです。そのため、細かい表現やニュアンスを伝え合うのは非常に難しいのです。さらに、互いに育った環境も文化も異なるため、常識やモノのとらえ方がまったく違うことも少なくありません。「日本の場合は」という前提は通用しないと考えています。だから、業務に関することを伝えるときは、誤解を招くような表現は避けなければなりません。余計な修飾は可能な限り削ぎ落として、伝えたいことの核心を突くシンプルな表現を心掛けています。
この考え方は、施工管理にも通じるところがあります。潜在リスク項目の多い現場ほど作業は複雑になり工数も多くなりがちで、その分、安全管理や施工品質の難易度は高くなります。だからこそ、「安全面の確保」、「最良の施工品質」や「コスト」から逆算して、工数を必要最小限に抑えたシンプルな作業計画を立てることがカギだと思います。私の実力はまだまだですが、徹底的に考え抜くことで、現場に対する思い入れも深くなってきました。海外の現場は、一人ひとりの裁量が大きい分、そのやりがいも格別です。
一日の作業が始まる前に、現場作業員をまとめている協力会社(サブコントラクター)のリーダー達とその日の作業を再確認する。
現場の見回り後は、事務所へ戻って作業計画の確認や修正、設計担当などとの図面打ち合わせを行う。
午後、再び現場へ足を運ぶ。現場作業員とのコミュニケーションも現場の一体感を醸成するためには重要なこと。
現在の現場の状況を踏まえて、次の日の作業計画を再確認。必要があれば変更して、協力会社をはじめ、資機材運搬会社など関係先と情報を共有する。
シンガポール人スタッフがつくったバスケットボールチームに参加。大会にも出場している。トムソンライン以外の現場からもスタッフがチームに集まっているので、現場を越えた交流も生まれている。
「WhatsApp Messenger」
日本では「LINE」だが、海外で定番のスマホ用チャットアプリは「WhatsApp Messenger」。現場作業員との情報交換ツールとして活用している。
入社4年目で初の海外プロジェクトに携わりました。場所はベトナム、コンテナターミナルの建設です。それまで国内で複数の現場を経験し、仕事に対する自信もそれなりに芽生えていたため、「良かれ」と思って自分なりのやり方で作業を進めました。ところが、当時の工事所長に厳しく叱られ、しまいには「帰れ!」と怒鳴られる始末……。何かがズレていたようです。しかし、当時は所長に言われたことの半分も理解できていませんでした。ベトナムのあと、タイ、シンガポールと海外の現場経験を重ねるに従って、所長がいわんとしていたことが理解できるようになりました。
あの頃言われたことは山のようにあるので、ここでは二つだけ紹介します。
「目の前の事象に疑問を持ち、先を予測しながら常に考えなさい」
「現場のあらゆる情報を数値化すれば、説得力が増す」
言葉自体は誰でもわかりますが、意味するところまで理解するには経験の裏付けが必要。こんなところも仕事の面白さです。
長澤より応募者の皆さまへ。(動画 3:27秒)
※内容はすべて取材当時のものです。
シンガポール サイト・エンジニア、ジョジョノさんより応募者の皆さまへ。(動画 1:16秒)
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