生物多様性、水域環境

五洋建設グループは、豊かな自然環境を次世代へ引き継ぐことを企業活動の礎と強く認識し、地球環境に配慮したモノづくりを通じて、地域社会から信頼される企業となることを目指しています。
2023年5月に「気候変動問題への対応」および「豊かな環境の創造」を環境分野のマテリアリティ(重要課題)として特定しました。建設事業を通じた社会への貢献と、事業活動に伴う環境影響の最小化を両輪として、持続可能な社会の実現に向けた歩みを加速しています。
2025年8月には「生物多様性行動指針」を策定しました。これにより、生物多様性の保全や水域環境の創造の取組みを一層強化し、ネイチャーポジティブの実現に向け、2050年までに事業活動による環境への負の影響の最小化や自然の復元・創出を目指してまいります。
2026年度からは、TNFD※最終提言に基づく自然関連財務情報の開示を開始しました。本開示を通じて、私たちが強みとする「水域環境の回復」に向けた技術的取組みや、建設プロセスにおける独自の環境配慮の実績を透明性高く社会に発信してまいります。
本レポートを通じ、五洋建設グループの地球環境への具体的な施策をより多くの方々にご理解いただけるよう取り組んでまいります。

※TNFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)とは、G20の要請を受け、金融安定理事会により設立されたタスクフォースであり、企業等に対し、気候変動関連リスク、及び機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標についての情報開示を推奨しています。
TNFD 提言に基づく情報開示2026
【一般要求事項】
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マテリアリティの適用
五洋建設グループは、「気候変動問題への対応」及び「豊かな環境の創造」を環境のマテリアリティ(重要課題)に特定しています。マテリアリティの特定にあたっては、ステークホルダーにとっての重要度と当社にとっての重要度の2軸から検討を行い、「自然関連課題が当社に与える影響(重要度)」と「当社の事業活動が自然環境に及ぼす影響(重要度)」の両面を重視するダブル・マテリアリティを適用し、重要度を測定しました。 -
開示のスコープ
本開示は、事業ポートフォリオの中で主要事業となる「国内土木事業」のうち、自然環境に及ぼす影響度が大きい「海洋土木事業」を対象に分析を行いました。 -
自然関連課題がある地域
自然関連課題がある地域として、国内の海洋土木事業における建設現場を設定しています。 -
他のサステナビリティ関連の開示との統合
本開示は、TCFD開示との一貫性を保持しつつ、TNFD提言に基づき実施しています。今後、SSBJ基準等を踏まえ、TCFDや他のサステナビリティ開示との統合を検討していきます。 -
検討される対象期間
TNFDのフレームワークに沿った分析において、中長期のリスクと機会を把握しています。
サステナビリティ推進委員会でのモニタリングを通じて、方針、体制、戦略などにおける取組みの過不足をレビューし、改善につなげていきます。 -
地域社会と影響を受けるステークホルダーとのエンゲージメント
2025年8月に策定した「生物多様性に関する行動指針」では、「ステークホルダーとの協働」を掲げており、顧客や地域社会、NPO/NGO、研究・教育機関等とのコミュニケーションを図り、自然共生やネイチャーポジティブに向けた取組みを推進します。
【ガバナンス】
当社は、サステナビリティに関わる課題への適切な対応が、リスクの減少のみならず収益機会の増大につながる重要な経営課題であると認識し、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会の下に、人権委員会、カーボンニュートラル推進委員会、リスクマネジメント委員会、中央安全衛生環境委員会、品質・環境マネジメント委員会、DE&I 推進委員会を設置しています。
自然関連課題については、代表取締役社長を委員長とし、年4回開催されるサステナビリティ推進委員会で審議しています。サステナビリティ推進委員会では、生物多様性に関する行動指針の策定や、LEAPアプローチに基づく依存・インパクト評価に加え、リスクや機会の分析を行っています。また、サステナビリティ推進委員会傘下の人権委員会では人権方針を定め、自然環境の影響を受ける先住民や地域住民等の権利を尊重するとともに、ステークホルダーとのエンゲージメント状況の確認等を行っています。
取締役会は、サステナビリティ推進委員会からの報告を受け、自然関連への対応を含むサステナビリティに関わる全ての課題について監督しています。

【戦略】
主要事業である海洋土木事業を中心に、LEAP(TNFDフレームワークv1.0)アプローチにより評価を実施しました。LEAPアプローチのスコープ(実施範囲)は、以下のとおりです。
Locate: 国内の直接操業の10 拠点を対象に、自然との接点を分析
Evaluate: 対象7拠点の各工事担任者にアンケートを実施し依存・インパクトを分析
Assess: 特定された依存とネガティブインパクトを対象にリスク・機会を分析
Prepare: Locate〜Evaluate〜Assess の結果を踏まえ、直接操業を対象とした指標を設定
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LEAP アプローチに沿った評価・分析対象事業の選定
国内の工事現場のうち、一定規模以上の工事現場を対象として140拠点を抽出した後、地域特性や生態系の特徴を考慮しつつ10拠点を選定し、環境省の環境アセスメントデータベース「EADAS」や海上保安庁の「海しる(海洋状況表示システム)」により自然との接点に関する分析を行いました。
分析を実施した10拠点の内、すべての拠点で周囲5km以内に生物多様性の観点から重要度の高い海域が含まれ、3拠点は自然公園内に位置していました。また、9拠点は重要な漁業資源から1km以内の場所でした。
140拠点と自然との接点の分析対象とした10拠点の位置図 10拠点の自然との接点の分析結果
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依存・インパクト
Locate フェーズの分析結果を踏まえ、10 拠点の中から、自然との接点の合計が比較的高く、当社においての主要な工種である浚渫・土捨、地盤改良、防波堤や護岸の基礎工・本体工を含む7 拠点を選定しました。各拠点の担任者へのアンケート調査を行い、各工種における自然への依存およびインパクトを分析しました。
選定した7拠点の工種
工種 A B C F G H I 浚渫・土捨 〇 〇 地盤改良 〇(陸上) 〇(海上) 〇(海上) 基礎工・本体工 〇 〇 〇 拠点ごとに依存とインパクト要因のヒートマップを作成したところ、地理的な特性よりも、工事目的と工種によって大きく特徴が異なる結果が得られたことから、工事目的と工種を軸としました。依存とインパクトの分析の結果、淡水や海水の利用、燃料や建設資材等の依存は確認されましたが、直接的な自然へのインパクトの方がより重要性が高いと判断し、下表に整理をしました。
工事目的 工種 インパクト インパクトによる自然状態の変化 航路・泊地の維持 浚渫・土捨 海底地形の変化 海洋生物の生息場のかく乱 海水の濁度の上昇
油漏れの恐れ汚濁・油漏れによる海洋生物への悪影響 空港の整備(耐震補強) 地盤改良(陸上) 地盤改良に伴うアルカリ排水の漏洩 海洋生物への悪影響 廃棄プラスチックの不法投棄の恐れ マイクロプラスチックの形成・生物影響 防波堤・護岸の築造 地盤改良(海洋)
基礎工・本体工(防波堤・護岸)海底地形の変化 海洋生物の生息場のかく乱 地盤改良時の騒音・振動 騒音・振動の海洋生物への悪影響 海水の濁度の上昇
油漏れの恐れ汚濁・油漏れによる海洋生物への悪影響 風力発電施設の建設 基礎工・本体工
(風力発電施設)杭打設時の騒音・振動 騒音・振動の海洋生物への悪影響 廃棄プラスチックの不法投棄の恐れ マイクロプラスチックの形成・生物影響 海水の濁度の上昇
油漏れの恐れ汚濁・油漏れによる海洋生物への悪影響 -
リスク・機会
各工種について、依存とインパクトの分析から、海底地形の変化、水質汚濁や有害物質漏出、不法投棄等のリスクと機会を特定しました。
工種により依存やインパクトに違いはあるものの、海洋生態系へのネガティブな影響を批判される評判リスクと、法令違反や対応費用が必要となる賠償責任に対するリスクを重要なリスクとして特定しました。主な機会としては、浚渫・埋戻における独自技術による受注機会の増加やブルーカーボン生態系の創出があげられます。主なリスク
工種 関連法規 関連する自然への依存・インパクト リスクの種類 リスクの内容 浚渫
土捨生物多様性基本法 【海底地形の変化】
海洋生物の生息場のかく乱移行リスク-評判 移行リスク 評判:
海洋生態系へのネガティブな影響を批判されるリスク
移行リスク-賠償責任:
法令違反や対応費用が必要となるリスク
海防法 【水質汚濁】
汚濁や油の漏洩による生態系へのインパクト移行リスク-評判 移行リスク-賠償責任 地盤改良(陸上) 水濁法 【水質汚濁・有害物質漏出】
汚濁や有害物質による生態系へのインパクト移行リスク-評判 移行リスク-賠償責任 廃掃法 【不法投棄】
投棄されたプラスチック等の海域流出、マイクロプラスチック化移行リスク-評判 移行リスク-賠償責任 地盤改良
基礎工・本体工
(防波堤・護岸)生物多様性基本法 【海底地形の変化】
海洋生物の生息場のかく乱移行リスク-評判 海防法 【水質汚濁】
汚濁や油の漏洩による生態系へのインパクト移行リスク-評判 移行リスク-賠償責任 基礎工・本体工
(風力発電施設)生物多様性基本法 【騒音振動】
海洋生物への悪影響移行リスク-評判 移行リスク-賠償責任 海防法 【水質汚濁】
汚濁や油の漏洩による生態系へのインパクト移行リスク-評判 移行リスク-賠償責任 水濁法 【水質汚濁・有害物質漏出】
汚濁や有害物質による生態系へのインパクト移行リスク-評判 移行リスク-賠償責任 主な機会
工種 機会のカテゴリー 機会の概要 機会の内容 浚渫
土捨企業のパフォーマンス 市場 独自技術(落下混合船やトレミー管利用)の提案による受注機会の増加 環境への関心の高まりにより、カルシア改質土等の技術の需要が増え、関連工事や自社保有のカルシア落下混合船の使用が増加する 製品とサービス 持続可能性パフォーマンス 生態系の復元、再生 浚渫土を使用したカルシア改質土の活用による生態系創出 ・カルシア改質土を用いた深掘埋戻しや浅場造成により、生物の生息空間を創出する
・造成した浅場ではブルーカーボン生態系の形成によりCO2吸収源となるとともに、漁業資源の確保に貢献する
・藻場が吸収するCO2を算定し、Jブルークレジット®として認証・発行を受けることが可能生態系の保護 浚渫土の有効活用による生態系の保護 ・カルシア改質土での浚渫土の活用により、浚渫土処分場の残余年数減少を抑制する
・浚渫土の処分量を減らし、新たな処分場の整備や拡張を不要とすることで、生態系に対する負の影響を抑制する -
対応策
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会社レベルでの対応策
特定された評判や賠償責任に対するリスクへの対応として、五洋建設グループ行動規範において、法令等の遵守や環境の保全と創造、地域社会への貢献を掲げるとともに、環境専門教育やコンプライアンス研修等により周知徹底を図っています。 -
各現場レベルでの対応策
工種 リスクの種類 高リスクに関連する自然への依存・インパクト ネガティブインパクトへの対応策 浚渫
埋戻移行リスク
-評判
移行リスク
-賠償責任【水質汚濁】
汚濁や油の漏洩による生態系へのインパクト燃料タンクやオイルパンの状況を定期的に点検
オイルフェンス・吸着シート等の対策設備を準備
濁度を計測し、バックグラウンドとの差がないことを確認
影響が小さい時期に施工を実施
ミティゲーションとして他の場所での生物生息環境の再生を実施地盤改良(陸上) 【水質汚濁・有害物質漏出】
汚濁や有害物質による生態系へのインパクト排水処理装置の導入
定期的な水質検査【不法投棄】
投棄されたプラスチック等の海域流出、マイクロプラスチック化分別回収の徹底
定期巡回地盤改良
基礎工・本体工
(防波堤・護岸)【水質汚濁】
汚濁や油の漏洩による生態系へのインパクト燃料タンクやオイルパンの状況を定期的に点検
オイルフェンス・吸着シート等の対策設備を準備
濁度を計測し、バックグラウンドとの差がないことを確認
影響が小さい時期に施工を実施
ミティゲーションとして他の場所での生物生息環境の再生を実施基礎工・本体工
(風力発電施設)【水質汚濁】
汚濁や油の漏洩による生態系へのインパクト燃料タンクやオイルパンの状況を定期的に点検
オイルフェンス・吸着シート等の対策設備を準備
濁度を計測し、バックグラウンドとの差がないことを確認
影響が小さい時期に施工を実施
ミティゲーションとして他の場所での生物生息環境の再生を実施【水質汚濁・有害物質漏出】
汚濁や有害物質による生態系へのインパクト排水処理装置の導入
定期的な水質検査
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会社レベルでの対応策
【リスクとインパクトの管理】
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全社レベルのリスクとインパクトの管理
環境マネジメントにおける環境活動指針において、当社および協力会社の社員に環境保全活動の重要性を継続的に教育し、環境事故等の防止に努めることを定めています。今回の分析で得られた自然へのインパクト、リスク、機会についても環境マネジメントに組み込み、管理していくことを目指していきます。
また、当社は2000年度より環境保全コストを公開しています。作業所における環境負荷低減コストや環境損傷コスト(環境修復に要したコスト)、生態系維持活動に要したコスト、建設副産物のリサイクル・廃棄物の最終処分に要したコスト等を算出し、環境保全活動の効率的な実施や環境経営に活用しています。 -
各現場やプロジェクトレベルでのリスクとインパクトの管理
管理項目 管理手法 【工事着手前】工事事前検討会 工事着手前に環境(生物多様性を含む)へのリスクを抽出 【工事着手前】生物多様性行動(保全)計画(BAP) (工事施工計画書に記載する場合あり)
生物多様性に影響することが想定される場合に、想定される環境配慮事項における管理手法等を計画 【施工中】
環境配慮事項(計画)の実施
法令遵守
廃棄物のリサイクルサステナビリティ朝礼による周知・徹底
環境モニタリング
環境パトロール
【測定指標とターゲット】
TNFD提言におけるグローバル中核開示指標に対応する、当社の実績と目標は以下の通りです。当社の建設事業については、土地利用変化、汚染、資源利用等において特に水域を含めた影響を適切に示す必要があり、当社の重要課題と関連した指標を設定しています。今後、環境活動の推進とリスク・インパクトの管理を進め、開示内容と目標を拡充していく予定です。
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依存とインパクトに関するグローバル中核開示指標
Metric no. 自然変化の要因 指標 当社グループの開示内容 目標 ※ 気候変動 GHG排出量 CO2排出量 C1.0 陸域/淡水域/海域の土地利用変化 総空間フットプリント ・ブルーカーボン(Jブルークレジット®)創出面積(ha)
・浅場・干潟等の保全・再生・創出件数(件)
・生物生息空間の保全・再生・創出件数(件)− C1.1 陸域/淡水域/海域の土地利用変化の程度 C2.0 汚染/汚染除去 土壌に放出された種類別の汚染物質 海洋汚染防止法関連法令違反件数(国内)
土壌汚染対策法関連法令違反件数(国内)違反ゼロ
違反ゼロC2.1 排水 水質汚濁防止法関連法令違反件数(国内) 違反ゼロ C2.2 廃棄物の発生と廃棄 建設廃棄物のリサイクル率 95%以上 C2.3 プラスチック汚染 プラスチック廃棄物のリサイクル率 − C2.4 非GHG大気汚染物質 ・NOx排出量(t)
・SOx排出量(t)
・アスベスト回収・処理量(t)− C3.0 資源利用/補充 取水と消費 ・取水量(㎥)
・排水量(㎥)− C3.1 陸/海洋/淡水から調達する高リスク天然一次産品の量 ・木材(t)
・生コンクリート(㎥)
・鋼材・鉄筋(t)− C4.0 侵略的外来種とその他 侵略的外来種の意図しない持ち込みに対する対策 C5.0 自然の状態 プレースホルダ―指標:
生態系の状態プレースホルダ―指標:
種の絶滅リスク※実績についてはESGデータシート参照
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リスクと機会に関するグローバル中核開示指標
Metric no. カテゴリー 測定指標 当社グループの開示内容 ※ C7.0 リスク 自然関連の移行リスクに対して脆弱であると評価される資産、負債、収益および費用の合計(合計および合計に占める割合) C7.1 自然関連の物理的リスクに対して脆弱であると評価される資産、負債、収益および費用の合計(合計および合計に占める割合) C7.2 自然関連のマイナスのインパクトにより当該年度に発生した多額の罰金、過料、訴訟の内容と金額 罰金・過料の金額 C7.3 機会 自然関連の機会に向けて展開された資本支出、資金調達または投資額 ・環境関連事業への投資額
・自然関連団体への参画費用(会費)
・環境分野での技術開発・研究費用(CN・生物・資源循環)C7.4 自然に対して、実証可能なプラス影響をもたらす製品およびサービスからの収益の増加と割合、ならびにその影響 ・資源循環事業の売上高
・ブルーカーボン関連技術開発件数
(対外発表件数等)
目標:2030年実用化※実績についてはESGデータシート参照
【ネイチャーポジティブに資する当社の取組み】
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これまでの主な取組み
建設事業は、自然資本との関わりが多いことから、工事影響の抑制や環境保全、工事にともなうサンゴや藻場の移植・干潟の復元、カルシア改質土による浅場造成、藻場造成によるCO2固定等、これまでに生物多様性の保全と回復に寄与する様々な取組みを行っています。
主な事例として以下のものがあります。
・1984 年 ホタル生息環境の創出(栃木県)
・1991 年 五日市人工干潟造成(広島県)
・1994 年 技術研究所のビオトープ整備(栃木県)
・1995 年 那須研修所-自然環境に配慮した建築-(栃木県)
・2001 年 アマモ場移植(広島県)
・2005 年 大森ふるさとの浜辺公園-人工海浜・人工干潟-(東京都)
・2008 年 サンゴ着生基盤設置(沖縄県)
・2012 年 大島干潟造成(山口県)
・2012 年 本社ビル別館-雨水利用等環境配慮オフィス-(東京都)
・2018 年 浅場造成-カルシア改質土-(兵庫県)
・2021 年 多摩川スカイブリッジ-干潟復元等-(神奈川県)
・2022 年 浚渫土の有効活用による浅場造成-カルシア改質土-(北海道)
・2025 年 浚渫土の有効活用による深堀埋戻-カルシア改質土-(広島県)
TNFD開示を契機として、これらの取組みを戦略やビジネスの機会として捉え、今後さらに取組みを充実させて行く予定です。 -
取組みの具体例(港湾環境事業の推進、技術開発、保全活動等)
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カルシア改質土を活用した浅場造成と藻場造成
カルシア改質土は、浚渫土とカルシア改質材(製鋼スラグの粒径・成分を調整した材料)を混合した材料であり、強度増加・濁りの発生抑制等の特徴があります。浚渫土を有効活用し、浅場・干潟造成材、深掘跡の埋め戻し材、護岸の裏込め材等として使用することにより、浚渫土を処分した場合と比較して処分先での環境負荷を減らす効果もあります。
当社では、カルシア改質土の効率的な施工を可能とするカルシア落下混合船を整備し、浅場造成・深堀埋め戻し等の工事に適用しています。
カルシア改質土を用いて浅場を造成した場合、海藻が繁茂して藻場の形成や魚介類の生息場となることが期待されます。また、海藻は生長の過程でCO2を吸収することから、ブルーカーボンとしてのCO2の固定も期待されています。
当社では、浚渫や土捨工事を機会として、カルシア改質土を用いて浅場を造成し、生物生息空間を創出するとともに、浅場造成後の調査により、漁獲量の増加や形成された藻場のブルーカーボンとしてのCO2吸収量の確認、Jブルークレジット®の登録を行っています。
グラブ浚渫
土運船内の浚渫土
カルシア落下混合船
カルシア落下混合船での施工イメージ
カルシア改質土による浅場造成 ブルーカーボン認証対象のCO2吸収量
浅場に形成された藻場
かご網漁の漁獲量調査
漁獲量の推移 兵庫県姫路市での浅場・藻場造成取組み
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施工時の環境影響の抑制技術の開発
カルシア改質土は、浚渫土と比較して濁りの発生が少ない材料ですが、水中に投入する際には一定の濁りが発生します。当社では、濁りの発生量を抑制するカルシア改質土打設用の専用トレミー管を開発し、カルシア落下混合船を用いた浅場造成や深掘跡の埋め戻しに適用することで、周辺海域に生息する生物への影響の抑制に努めています。
カルシア落下混合船と専用トレミー管によるカルシア改質土の水中打設 -
施工による生物への影響の緩和
建設工事における生物多様性への影響を抑制するためには、適切な保全策の計画と、確実な実施が重要となります。多摩川スカイブリッジ建設工事では、干潟の生物への影響を最小限にとどめるために、浚渫を最小化するとともに撤去した浚渫土を干潟の復元に利用するなど、工事前の環境に復元する取組みを行っています。
多摩川スカイブリッジ
環境保全への取組み
干潟表土の仮置き
復元した干潟 -
海域生物生息場の計画手法の整備
藻場造成やサンゴの移植などでは、対象種の生息に好適な環境を確保して施工する必要があります。当社では施工計画段階において、詳細な現地調査と生態系水理モデルによる数値解析を組み合わせ、生態系創出を実現できる適地を選定しています。また、繊細な施工が必要となるアマモ移植では、専用の移植工法も開発しています。
アマモの生育適地と草丈の推定
専用バケットでのアマモ群落の移植 -
藻場造成・管理技術の開発
浅場に海藻が生育するためには、着生基盤となる石材やブロックが必要です。そこで、浚渫土を配合し、コンクリートと比較して低炭素材料であるカルシア人工石の浅場への設置を試行しています。また、カルシア人工石でのCO2固定や海藻の着生・生長が良好な基盤の開発も行っています。
藻場における海藻類の繁茂・枯死の詳細な状況を把握することで、新規の藻場整備計画や磯焼対策立案における有用な基礎情報が得られます。当社では、水域の環境情報を活用するとともに、水中バイオテレメトリー技術を応用し、様々な海藻・海草の繁茂状況をリアルタイムで計測分析する技術を展開しています。本技術を運用した藻場管理の知見集積により、生態系の創出維持技術の更なる開発を進めます。
海藻生長実験
生長モニタリングシステム -
環境保全活動
建設事業以外についても、東京湾再生推進会議海域対策分科会と企業・団体が共同で進める東京湾UMIプロジェクトにおいてアマモ播種による藻場造成等を行っています。また、うみ博、東京湾大感謝祭等の環境関連のイベントに出展し、自然環境の重要性や環境保全への取組みを発表しています。
東京UMIプロジェクト アマモ場再生活動
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カルシア改質土を活用した浅場造成と藻場造成
陸域での生物多様性保全の取組み
グリーンインフラ関連技術の開発
技術研究所(栃木県那須塩原市)において、ビオトープを整備するとともに、水生植物の生育環境の整備、トンボ等水生昆虫の誘致など、関連技術の開発を行っています。生物の生息状況の調査を行い、多くの生物の生息空間として機能していることを確認しています。
希少種の保全対策
工事における環境保全として、希少種の保護や生育・生息環境の整備、動植物の移植等を行います。これまでに、トウホクサンショウウオ、ギフチョウ、ツルフジバカマ、ヒメシロチョウなどの保全やホタル、ベッコウトンボなどの生育環境の整備を行っています。
外部との協働
五洋建設は、ブルーオーシャン・イニシアチブに参画し、ブルーカーボンや海洋データに関わる企業や団体とともに、藻場の回復・造成・維持管理技術の開発に取り組んでいます。また、ブルーカーボン生態系の維持・創造に向けた取り組みとして、国土交通省の認可を受けたジャパンブルーエコノミー技術組合(JBE)が発行するJブルークレジット®認証取得を継続して実施することで、藻場造成によるネイチャーポジティブの実現に貢献します。
ブルーオーシャン・イニシアチブへの参画

一般社団法人ブルーオーシャン・イニシアチブ(BOI)は、「海」にかかわる産官学民のあらゆるステークホルダーの多面的交流と事業共創を通じて、持続性・実効性ある「海の保全と繁栄」の社会課題解決を目指すアクション・プラットフォームです。
Jブルークレジット®認証
姫路市網干地区におけるカルシア改質土を活用した藻場造成
(五洋建設株式会社・姫路市漁業協同組合網干支所・日本製鉄株式会社)
Jブルークレジット®認証の概要(ジャパンブルーエコノミー技術組合(JBE)HPより)
令和6年度(2024年度)第2回Jブルークレジット認証・発行について - ジャパンブルーエコノミー技術研究組合
令和7年度(2025年度)第2回Jブルークレジット認証・発行について - ジャパンブルーエコノミー技術研究組合
Jブルークレジット®発行証書 交付式レポート

