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SEP型多目的起重機船「CP-8001」

2018年12月、SEP型多目的起重機船「CP-8001」が完成した。本船は、800t吊全旋回式起重機船にSEP(Self-Elevating Platform)機能を付加することにより、気象海象条件の厳しい海域であっても波浪の影響を軽減させ、安全性、稼働率、施工精度の高いクレーン作業が可能な作業船である。

2011年の東日本大震災をきっかけに、日本のエネルギーをめぐる環境が大きく変化し、再生可能エネルギー導入が推進されている。 洋上風力発電については、2016年7月に港湾区域内での風力発電導入の円滑化を目的とした港湾法の改正が行われ、2018年11月には一般海域の利用促進を目的とする新法が成立した。
当社は、これらの法整備を背景に、洋上風力発電施設の建設には不可欠な大型クレーンを搭載したSEP船を建造した。

国内初の大型クレーンを搭載したSEP船

800t吊全旋回式クレーン800t吊全旋回式クレーン

本船は、欧州のSEP型洋上風力発電施設設置船の7割以上を手掛けるGustoMSC社(オランダ)が基本設計および油圧ジャッキシステムの製作を行い欧州を代表するクレーンメーカーであるHuisman社のクレーンを搭載した国内初の大型クレーン搭載のSEP船である。

世界最新型の連続式油圧ジャッキシステム

GustoMSC連続式油圧ジャッキシステムGustoMSC連続式油圧ジャッキシステム

GustoMSC社が開発した世界最新型の連続式油圧ジャッキシステムを搭載している。 従来式のようなジャッキの盛り替え時間が不要で、毎分40cmの速度で連続したジャッキアップが可能である。ジャッキ能力は、レグ1本あたり2,400tである。

大水深でも施工可能

本船は水深30mでのジャッキアップが可能である。
さらに、長尺レグを使用することにより、水深50mまで対応が可能である。

高精度な自動船位保持装置(DPS)

DPSによる自動船位保持DPSによる自動船位保持

アジマススラスターアジマススラスター

船首船尾の両舷にそれぞれ1基ずつ、合計4基のアジマススラスターを搭載している。 スラスターは十分な能力を備え、気象・海象条件の悪い海域でも確実な位置保持が可能である。 また、本船のDPSはClassNK DPS-Bの認証を受け、高精度な位置保持が可能になった。 またスラスター、制御装置、電源装置などのいずれか1つが損傷しても、自動位置保持機能を失わない信頼性の高い装置である。

最大吊能力800tの全旋回クレーン

クレーン検査状況 クレーン検査状況

国内における全旋回式起重機船としては最大級のクレーンを搭載し、10MW級の風車の設置が可能である。 また、作業半径が大きい場合でも高い吊り能力を有する。

十分な居住スペース

ブリッジ打合せスペースブリッジ打合せスペース

最大120名の居住が可能で、事務室7部屋、食堂、厨房、浴室、洗濯室、フィットネス室、医務室、女性専用の居住設備などを備えている。また、緊急時対応用のヘリデッキも備えている。

最新技術を装備

気象・海象条件の厳しい海域での作業や長期滞在での作業における施工性、安全性、稼働率、福利厚生面の向上を目的に多くの最新技術を採用している。

本船に搭載している主なシステムや装置を以下に示す。

・自動船位保持装置           ・ジャッキ操作装置
・警報監視システム            ・電源管理システム 
・航海および海上通信システム    ・衛星通信システム
・カメラ監視システム            ・TV会議システム
・施工管理システム            ・海底地形調査システム
・バラスト制御装置            ・遠隔アクセス保守管理システム
・杭立て起こし装置             ・電動伸縮式ギャングウェイ

  • 操作室操作室
  • 自動船位保持装置操作盤自動船位保持装置操作盤
  • ジャッキ監視、操作盤ジャッキ監視、操作盤
  • スラスター操作盤スラスター操作盤
  • 警報監視システム、電源監視システム警報監視システム、電源監視システム
  • 杭立て起こし装置杭立て起こし装置
  • 電動伸縮式ギャングウェイ電動伸縮式ギャングウェイ

効率の良い建設作業を実現

鋼管杭立て起こし状況 鋼管杭立て起こし状況

800t吊全旋回式クレーンを搭載することにより、大型海洋構造物の設置作業や、海中基礎の建設作業が可能である。 本船とともに当社が保有する自航式多目的起重機船「CP-5001」を併用することにより、運搬や設置などの一連の建設作業を効率的に行 うことができ、海上工事の生産性向上を実現する。

 

 

主要諸元

主要諸元
一般 船種 SEP型多目的起重機船
航行区域 近海(非国際)
船級 ClassNK
用途 作業船
主要寸法 船体寸法 長さ(主甲板レベル)×幅×深さ 73m×40m×6.5m
満載喫水 4.35m(ベースライン)
国際総トン数 7,456t
甲板 主甲板面積 1,750m2
荷役装置 型式 Huisman基礎設置型クレーン
能力 800t @26m
ジャッキ装置 型式 GustoMSC 油圧連続式ジャッキ装置
ジャッキ能力 2,400t/leg
昇降速度 0.40m/min
レグ操作速度 0.67m/min
レグ レグ本数 4本
レグ長さ(建造時) 66.7m
レグ長さ(設計) 86.0m
スパッドカン 有り
ジェッティングシステム 有り
その他 自動船位保持装置 ClassNK DPS-B
最大搭載人員 120名
ヘリデッキ 有り

SEP型多目的起重機船「CP-8001」(別ウィンドウで開きます)

担当者の声

船舶機械部 船舶機械部長 小ア正弘
船舶機械部 船舶機械部長 小ア正弘
国内で初めてSEP型多目的起重機船を建造するにあたり、まずは海外で実績のあるGustoMSCに基本設計を依頼し、関係者と充分な協議を重ね、日本の気象・海象条件にあった専用船の仕様を決めました。
本船は、海外の主要メーカーと国内造船会社および機器メーカーの技術協力により、設計から約2年半の歳月をかけ完成いたしました。
今後は、新しい時代を担う作業船として、「CP-8001」が活躍する事により、国内洋上風力発電の普及に貢献していきたいです。
船舶機械部 船舶グループ 担当部長 室田恭宏
船舶機械部 船舶グループ 担当部長 室田恭宏
SEP船建造を担当し、100年前に建造した浚渫船・呉丸から始まった当社の作業船技術のバトンリレーの一翼を担えて喜びを感じます。
オランダGustoMSC社の大きな技術協力を得ることができたのは、ひとえに先輩方々が築いたオランダ海洋業界でのPenta-Oceanの信頼蓄積のおかげだと感謝します。
日本の法律や規則・規格の適用、軟硬・幅広い土質条件を考慮したジャッキアップ仕様にするなど、前例のない試行錯誤の建造でしたが進取の精神で対応することができました。
洋上風力やその他の海上工事で活躍できる主戦力のひとつになったと確信します。
船舶機械部 船舶グループ 担当課長 森永芳雄
船舶機械部 船舶グループ 担当課長 森永芳雄
洋上風力発電設備設置船としての機能を有する船としては日本で初めての建造であったため、風力発電の先進地域である欧州の技術を積極的に取り入れた設計としました。
当社の既存の作業船建造での経験も活かしながら、海外と日本のメーカーと共同で技術検討を重ねた事もあり、無事日本と海外の機器を融和させる事ができました。試運転での性能確認の結果、本船は日本初の建造ながら海外の同規模船と比べても同等以上のジャッキアップ能力を有する船となったことが確認でき、安堵しています。
船舶機械部 船舶グループ 担当課長 八塚直哉
船舶機械部 船舶グループ 担当課長 八塚直哉
国内で初めてとなる大型SEP船の建造プロジェクトということもあり、建造中は思わぬ苦労や難しさがありました。船体や大型クレーンを機械加工するための装置が国内で見つからず、海外から手配することになりました。ジャッキ装置の油圧配管を洗浄するフラッシングとよばれる工程では、GustoMSCの要求品質を満たすために、長時間に及ぶ緻密な管理が求められました。
CP-8001の建造に携わり、造船会社や国内・海外メーカーといった建造に関係する皆様と協力し合うことで、たくさんのことを経験し学ぶことができました。今後はCP-8001 の稼働により、良質なインフラ整備に貢献できるよう努めて参ります。
船舶機械部 機電グループ 小菅雄紀
船舶機械部 機電グループ 小菅雄紀
建造と並行して、本船をどのような現場で稼働できるか様々な検討を進めてきました。例えばジャッキアップには、これまでの船の知識や経験のみでは、対応することができず、苦労しました。特にジャッキアップ後の安定性については、GustoMSC社と共に検討を進めましたが、海外の規則に基づくため、馴染みのない規則の中身を理解していくことが必要でした。
また、施工時の様々なデータを取得できるシステムを構築することで、取得したデータを解析し、今後の検討や施工をより効率的に行えるようにしています。 今後、本船が多くの現場で稼働できるよう引き続き検討を進めて参ります。
洋上風力プロジェクト・チーム 担当部長 岡田英明
洋上風力プロジェクト・チーム 担当部長 岡田英明
当社において、SEP型多目的起重機船の建造は初めての経験であり、船舶機械関係者はもちろん、多くの方々のご協力によって完成に至りました。
洋上風力発電の分野において、海外の作業船に頼ることなく風車の建設が行える「CP-8001」は、多くの関係者から注目されています。海洋土木工事のリーディングカンパニーとして、洋上風力発電の分野においてもトップランナーとして走り続けることが私たち担当者の責務だと思っています。
今後は、世界トップクラスの技術を身に着け、かつ社会に貢献できる作業船になるよう研鑽していきたいと思います。


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