ページの先頭です
ページ内移動用のリンクです



このページは、ホームの中のソリューション・技術の中のプロジェクトの中のプロジェクトストーリーの中の西部臨海ポンプ場建設工事のページです。

西部臨海ポンプ建設工事(広島県)

3R(リデュース・リユース・リサイクル)を実現した環境にやさしい工事

「ソイルセメント連続壁工法」を、中国地方にて初めて採用。

画像を拡大する

地中連続壁(地下約24mの大掘削)

本計画では、地下約24mもの大掘削を行うため、被圧地下水による巨大な揚圧力に対応できる重量を確保した高さ63mの連続地中壁を施工。その建造には、中国地方において初めての「ソイルセメント連続工法」が採用された。

通常はコンクリートを打設して連続壁を造るが、この新工法では掘削した残土を利用してソイルセメントを製造し、それを利用する。掘削土の再利用率は50%としているが、礫を除いた土や砂についてはほぼ100%を再利用している。まさに、時代の要請である3R(リデュース・リユース・リサイクル)の精神にマッチした工法と言える。ただし、ソイルセメントの品質管理は容易ではない。5kg/m2の強度を保つべく均一な品質の確保が要求されるが、掘削した場所によって土質が変わるので、配合を日々変えていかなければならない。そこで、半年間にわたり、毎日午前と午後各1回、土砂・砂・粘土を採集して、試験練りを行った。本工事に適用できる品質を求め、試験練りで検出した配合は実に約400種類にも昇る。

また、セメント打設後に芯材(H鋼)の建込を行うのであるが、その作業には4,5時間を要する。しかも現場の地下水には海水が混ざっているため、セメントの固化を早める。何とかセメントが固まる前に、芯材の建込を完了させなければならない。そこで、5時間経過してもセメントを固化させない薬剤を試験練りで配合するなどの工夫も行った。

このような試練を重ね、掘削土の高い再利用率を達成した功績に対し、平成17年10月「リデュース・リユース・リサイクル推進協議会」から表彰を受けた。

所長の木村は、「何よりも環境保全に貢献できたことが嬉しいです。そして、今回蓄積した400種類もの配合サンプルは、今後このような環境を考慮した工法を展開していく中で、五洋建設の確かな財産にもなりました」と語る。

「浸透固化処理工法」で地盤を改良、恒久的な安心を確保。

「浸透固化処理工法」イメージ画像を拡大する

本現場は埋立地で、底部土質は軟弱なシルト粘土層である。掘削に伴う土の重量の減少に伴い、掘削底面の膨張化現象が生じ、地盤崩壊をもたらす危険性がある。そのため、深さ63mの位置に、地盤の改良が必要とされた。ここで、当社が開発した「浸透固化処理工法」が採用された。

浸透固化処理工法」とは、液状化が予想される地盤に固化薬液・シリカを注入し、広く浸透させ、固結させることにより、構造物の基礎の強度を増加させる工法である。建造物の基礎には欠かせない恒久的効果も、その特長の一つである。

本工事では、まず1次注入として地中の大きな亀裂をセメントベントナイトで注入を行い、その後、シリカを2次注入して均一な層に改良した。

こうした地盤改良により安心を確保する一方、山留工事においては各所に計測器を配し、現場での異常事態発生時には携帯電話にメールで通知するシステムを利用するなど安全面にも万全の配慮を行った。こうした臨機応変のきめ細かな対処により、頑強な地盤が生まれ変わった。そして2006年9月現在、地下2階までの躯体工事が完成、地下1階部分の躯体工事が進んでいる。

平成16年の台風18号では、護岸側の2ヶ所が決壊して海水が流入し、商工センター地区内の企業は多大な被害を受けた。当工事事務所も例外ではなく、備品を持ち出す余裕もなく、たちまち浸水してしまい、パソコンや車輌などの多くが破損、職員は泳いで避難したという。水害の脅威を身をもって知ったことが、安全に対する強い意識を高め、困難を共に乗り越えたことが「現場のチーム力」を強めた。

中国地方で初めて採用された新工法による巨大ポンプ場の建設は、新たな独自のノウハウの蓄積にもつながり、当社の土木工事の領域を拡げたと言える。

工事所長
木村 博之

「思いやり精神」で、スタッフの安全管理を実践。
「安全管理」とは、気持ちの問題だと思います。作業員の皆さんのおかげで工事が進んでいるのですから、どうすれば彼らが安心・安全に作業を行えるかを熟考し、「思いやり精神」をモットーにさまざまな工夫を行っています。夏期に熱中症対策として、かき氷用の製氷機を置き、梅干しや塩を提供したことも一例です。その甲斐あって、着工以来、30万時間の無事故・無災害を達成しています(2006年7月28日現在)。

工事所長代理
長島 秀樹

巨大連続壁の完成に、深い満足感。
大深度掘削の経験があることから声を掛けていただきましたが、50mを越える連続壁の施工は初めてでした。勉強しながら本工事に取り組んだという感じでしたが、地下24mの掘削も、大深度連続壁の建造も無事に完了にいたりました。ここでの数々の素晴らしい経験が今後の施工に役立てるようにしていきたいです。
工事名称 西部臨海ポンプ場建設工事
発注者 広島県広島市下水道局
工期 2003年3月〜2007年3月
(運転開始 2008年9月〜)
工事場所 広島市西区草津港
工事概要 流入特殊人孔、ポンプ棟、沈砂池、放流渠 一式
排除方式 分流式下水道
ポンプ場種類 雨水
排水面積 233ha
計画排水量 30.7m2/秒
ポンプ設備 ø1650×5台
放流先 広島湾


ページの終わりですページの先頭へ戻る