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What's New

TCFD提言への賛同及び情報開示について

2022年5月13日

五洋建設株式会社(社長 清水琢三)は、金融安定理事会 (FSB) により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース (以下 TCFD※1)」提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアム※2に加盟したことをお知らせいたします。
五洋建設グループは、「良質な社会インフラの建設こそが最大の社会貢献」というCSR基本方針のもと、ESG(環境、社会、企業統治)重視のCSR経営を実践しています。
建設業においては、建設工事に起因するCO2排出量は他産業に比べて比較的少ないものの、当社が強みを持つ海洋土木工事では作業船を使用するため他の建設工事に比べてCO2の排出量が多いという特徴があります。また建設工事では、サプライチェーン全体をみると、鋼材やセメント等製造段階で多くのCO2排出を伴う材料を使用すること、また完成後も建物やインフラ構造物の耐用年数が長く、運用段階でCO2排出量が多いという特性があります。
当社は、地球規模の気候変動問題への対応を最も重要な経営課題の一つと捉え、建設事業活動におけるCO2排出削減の取組みを推進するとともに、洋上風力発電の建設や建物のZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化の推進等、本業を通じて2050年カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
また当社はTCFD提言に基づく情報開示を積極的に進めてまいります。その概要は以下の通りです。今後も、世界の社会経済情勢や技術の進展状況を踏まえ、気候変動問題が事業に与えるリスクや機会について継続的に分析するとともに、事業活動におけるCO2削減対策の効果を検証し、適宜見直しを実施してまいります。

TCFD

※1 TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)とは、G20の要請を受け、金融安定理事会により設立されたタスクフォースであり、企業等に対し、気候変動関連リスク、及び機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標についての情報開示を推奨しています。

ガバナンス 気候関連のリスクと機会に係る組織のガバナンス
戦略 気候関連のリスクと機会がもたらす組織の事業、戦略、財務計画への現在及び潜在的な影響
リスク管理 気候関連リスクについて、組織が識別、評価、及び管理する方法
指標と目標 気候関連のリスクと機会を評価及び管理する際に用いる指標と目標
※2 TCFD提言へ賛同する企業や金融機関などが設立したコンソーシアムであり、効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断につなげる取組について議論しています。

TCFD提言に基づく情報開示について(概要)

1.ガバナンス
当社は、気候変動問題への対応を経営上の重要課題と認識し、2021年7月、代表取締役社長を委員長とするカーボンニュートラル推進委員会と推進部署であるCN推進室を新設し、部門を超えて温室効果ガスの削減に向けた取組みを強化しています。
当委員会は、当社のESG重視のCSR経営(サステイナビリティ経営)を統括するCSR委員会(委員長:代表取締役社長)の下部組織として、リスクマネジメント委員会、中央安全衛生環境委員会、品質・環境マネジメント委員会、働き方改革推進委員会と並んで新設され、当社グループの気候変動問題への対応の基本方針、戦略の企画・立案、取組状況のモニタリング結果に基づく対応策等の重要事項の審議を担っています。その審議結果はCSR委員会に報告・審議されます。決定された方針や戦略は各部門の事業計画、全社の年度計画及び中期経営計画に織り込まれ実施されます。さらに取締役会は、CSR委員会からの報告を受け、気候関連問題への対応を含むサステイナビリティに関わる全ての課題について監督します。
気候変動問題への対応の実施状況はカーボンニュートラル推進委員会で継続的にモニタリングを行い、取組み方針や戦略の見直し・改善に繋げていきます。

TCFD

2.戦略
建設業は、建設工事に起因するCO2排出量は他産業に比べて比較的少ないものの、サプライチェーン全体でみると、鋼材やセメント等製造段階で多くのCO2排出を伴う建設資材を使用すること、また完成後も建物やインフラ構造物の耐用年数が長く、運用段階でCO2排出量が多いという特性があります。さらに、当社が強みを持つ海洋土木工事では、作業船を使用するため、建築や陸上の土木工事に比べてCO2の排出量が多いという特徴があります。
海洋土木工事に強みを持つ当社は、作業船の稼働による影響で、完成工事高が同規模の同業他社に比べてCO2排出量が多くなっています。特に海外においては、複数の大型浚渫船が稼働しているため、排出量削減の基準年とした2019年度を例にとると、完成工事高は国内の約40%にも関わらず、CO2排出量は国内の約1.9倍となっています。したがって、建設事業活動においても、気候変動問題に関する政策の変化や規制の強化が、経営に与える影響は同業他社に比べて相対的に大きいため、気候変動問題に対する対応を経営上の重要課題の一つと捉えています。
その課題解決の一環として、気候変動問題が当社グループに与えるリスクと機会を特定し、発生可能性と影響の程度を分析し、重要性が高いものについてシナリオ分析を実施しました。
リスクは、低炭素社会への移行に伴うCO2削減のための政策や規制の強化(省エネ法の強化やZEBの義務化、炭素税の導入等)の影響による「移行リスク」と、慢性的な気温上昇や温暖化による異常気象の激甚化・頻発化等の影響による「物理リスク」に分類しました。
機会は、気候変動問題への対応に関する事業機会を検討し、移行リスクと物理リスクへの対応として想定される事業機会を抽出しました。シナリオ分析は、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇を1.5〜2℃未満に抑える「1.5〜2℃シナリオ」と、気温上昇が4℃を超える「4℃シナリオ」の二つのシナリオを想定し、特定したリスクと機会が、2030年における当社グループの財務へ与える影響を定量的に分析し「大、中、小」の三段階で評価しました。
その結果、気候変動問題への対応として、作業船のカーボンニュートラル化に向けた維持更新、新造等の設備投資の増加が見込まれますが、当社にとっては、それを上回る事業機会が創出されると考えています。土木分野では洋上風力発電建設の推進が、建築分野ではZEBの推進が挙げられます。特に、海洋土木技術に強みを持つ当社は、洋上風力建設のトップランナーとして我が国の再生可能エネルギーの供給拡大に貢献してまいります。
また、今回実施したシナリオ分析により特定されたリスクと機会への対応策は、年度事業計画や次期中期経営計画(2023-2025年度)に織り込み、着実に実行することで、持続可能な社会の発展に寄与してまいります。

     
1.5〜2℃シナリオ IEA 持続可能な開発シナリオ(SDS)、IEA ネットゼロシナリオ(NZE)、
IPCC 代表的濃度経路シナリオ(RCP 2.6)
  4℃シナリオ: IEA 公表政策シナリオ(STEPS)、IPCC 代表的濃度経路シナリオ(RCP 8.5)

■当社グループのリスクと機会

TCFD

■対応策

TCFD

3.リスク管理
当社は、代表取締役社長を委員長とするCSR委員会の下に設置されたリスクマネジメント委員会が中心となって、事業活動において想定されるリスクを体系的に分類し、各リスクについてリスク担当部署を設定し、リスクマネジメントを実施しています。そのため事業活動を行う上で発生する気候変動を含む種々のリスクについて、リスクの発生の防止及びリスク発生に伴う損失の最小化を図ることを目的として「リスク管理規則」を制定しています。
気候変動リスクはCN推進室が担当部署となり、長期的な視点でリスクの識別・評価・対策を行います。法規制の改定や社会経済情勢の変化等により、リスク対策に変更の必要が生じたときは、カーボンニュートラル推進委員会において、個別リスクとその対応策を適宜見直します。カーボンニュートラル推進委員会での審議結果は、CSR委員会で報告・審議されます。CSR委員会の活動状況は取締役会へ報告され、取締役会は気候変動のリスクマネジメントの実施状況を監督します。また、気候変動リスク発生時には、経営に与える影響度に応じて決められている報告先(重大リスクは取締役会報告)へ迅速に報告され、適時適切に対応する体制を整えています。

4.指標と目標
当社は、国内の事業活動で排出するCO2を、2020年度までに1990年度(56.95 t-CO2/億円)比20%削減、2030年度までに30%削減することを目標として取り組んでまいりましたが、2020年度のCO2排出量の実績(42.56 t-CO2/億円)は、目標を大きく上回る25%削減を達成することができました。
この度、2050年カーボンニュートラル実現を目指して、当社のCO2排出量の過半を占める海外事業も含め、2019年度を基準年度としてCO2排出量の削減目標を設定しました。
Scope1、2は、太陽光や風力等の再生可能エネルギーを積極的に利用するとともに、作業船・建機の電動化やICTを活用した施工の効率化、自動自律化施工の導入推進、また作業船・建機の燃料として短期的には燃費を向上させる添加剤の活用、中期的には代替燃料(BDF 、GTL)、再エネ由来の電力活用(陸電供給や大容量蓄電池の活用を含む)、長期的には加えて水素・アンモニア等次世代エネルギーの導入によりCO2排出量の削減を推進します。まずは、建設現場のCO2の見える化を図り、グリーンモデル現場で施工の効率化による省エネ化と重油・軽油用の燃費を向上させる添加剤の活用、工事事務所のZEB化(再エネ由来の電力利用)を推進し、2030年度までに全現場に展開します。
Scope3は、当社の施工する建物のZEB化、すなわち省エネと太陽光発電等の再生可能エネルギー由来の電力使用を推進するとともに、CO2吸着材料や低炭素型コンクリートの導入等の拡大によりCO2排出量を削減します。建築分野では特に当社の設計施工案件においてZEB化を推進するともに、土木分野ではプレキャストコンクリート(PCa)や低炭素コンクリートの積極的活用を図ります。また、浚渫土の固化処理によるCO2固定化やCO2吸収コンクリートに関する研究を推進します。
なお、当社グループのCO2排出量削減目標は科学的知見に整合しており、現在、SBT(Science Based Targets)※1認定を申請中です。

■当社グループのCO2の排出量削減目標

TCFD

※1 SBT パリ協定と科学的に整合した温室効果ガス削減目標の設定を企業に促す国際的なイニシアティブで、最新の「気候科学の知見に整合」している目標を設定することが認定の要件となります。当社の削減目標は地球上の気温上昇を産業革命前の気温と比べて、1.5℃に抑えることを目指すために必要な削減レベルと整合しています。
※2 Scope1 作業船や重機の燃料使用による直接排出
※3 Scope2 購入した電気・熱の使用に伴う間接排出
※4 Scope3 サプライチェーンにおける間接排出、なお、基準年度である2019年度は、カテゴリ11(竣工引渡後の建築物の使用時のCO2排出量)がScope3排出量の71%を、カテゴリ1が26%、併せて97%を占める


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