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インバートコンクリートの長期養生工法「キュアロード」を開発
2018年05月22日
五洋建設株式会社(社長 清水琢三)は、岡三リビック株式会社(社長 小川勝利)、積水化成品工業株式会社(社長 柏原正人)および早川ゴム株式会社(社長 早川雅則)と共同で、山岳トンネルのインバートコンクリートを効率的かつ経済的に長期間保温・湿潤養生できる「キュアロード」(特許第6359060号)を開発、現場で実証実験を行い、養生効果と実用性を確認しました。
一般に、山岳トンネル工事においては、切羽作業と並行して切羽後方のインバートを施工するため、インバートの施工箇所においては、切羽からの掘削ずりの搬出や資機材の搬入通路を確保する必要があります。このため、インバートを左右に2分割して通路を確保しながら施工する方法、移動式桟橋等を用いて全幅を一括で施工する方法が採られています。しかしながら、いずれの場合も、インバートコンクリートが坑内通行車両の輪荷重等に耐えられる強度に達した後、十分に養生することなく、インバートコンクリートを掘削ずり等で埋め戻します。
トンネルにおけるインバートは、トンネル構造の安定性を長期にわたって確保するための重要な構造部材の一つです。このため、他のコンクリート構造物同様、保温・湿潤養生を一定期間実施して水和反応を促進させ、十分な強度発現と緻密化を図ることが、トンネルの長期耐久性を確保する上で重要となります。
「キュアロード」は、コンクリート平面や傾斜面に対して高い保温・保水性能を有する養生マット「うるおんマット」をコンクリート全面に敷設した後、軽量で耐久性に優れたEPSブロックを仮設路体として養生マットの上に設置することで、インバートを左右に分割することなく切羽作業と並行して、インバートコンクリートの長期保温・湿潤養生を行うことが可能です。これにより、インバートコンクリートの強度と表層緻密性の向上が期待できます。
「キュアロード」の概要図を図-1に、設置例を写真-1に示します。
本工法の施工手順は、以下の通りです。
@ インバートコンクリート打設後、養生マットを人力でコンクリート全面に敷設。
A 養生マットの上に、インバートの形状寸法に合わせて工場でプレカットしたEPSブロックを人力で設置。
B EPSブロックの保護と輪荷重の分散を図るため、EPSブロック上面に敷鉄板を敷設。
C 養生完了後、敷鉄板、EPSブロックおよび養生マットを撤去し、次スパンへ転用。
弊社施工現場における実証実験の結果を図-2に示します。28日間の長期保温・湿潤養生により、標準施工(気中養生)に比べてインバート部で24%の強度増進が確認され、密実性の指標である透気係数も1/27になりました。
今後、山岳トンネルの品質を効率的に向上させるため、「キュアロード」を積極的に展開していく予定です。
※2EPSブロックは、任意の数に分割できます。
図−1 キュアロード概要図(横断図)
写真−1 キュアロード設置例
- a)圧縮強度比(材齢91日)
- b)透気係数(材齢91日)
図−2 インバートコンクリートの長期保温・湿潤養生効果(養生期間:28日間)
■連絡先
五洋建設株式会社 土木営業本部土木プロジェクト部
担当:土田 淳也
住所:東京都文京区後楽2-2-8
TEL :03-3817-7672