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2005年
土壌・地下水汚染対策に無人化施工システムを初適用のページです。
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土壌・地下水汚染対策に無人化施工システムを初適用
〜現場試験工事で作業安全性確保と効率性向上を確認〜
2005年04月19日
五洋建設株式会社(社長:鉄村和二郎)は、大阪市内の土壌・地下水汚染の対策工事において、無人化施工システムを試験適用し、作業安全性の確保とともに効率的に作業を行なえることを確認しました。当社はこれまでに、土砂崩落危険がある山間部工事で本システムの適用実績がありますが、土壌汚染対策に適用したのはこれが初めてです。
一般的に、有人で行われる作業のうちダイオキシン類で汚染された施設や、原子炉施設などの立入禁止区域での作業については、汚染レベルに合わせて保護具を着用し施工しています。特に夏場の保護具を着用しての作業は、水分補給がおこないにくく、熱中症となる危険性があります。そのため、休憩時間を延長するなどの対策をとることから、作業時間が大幅に制約されることが課題となっています。 無人化施工システム (開発発表2003年3月)を導入することで、作業効率の向上を果たすことができるとともに、土壌・地下水汚染対策工事における作業安全性も確保できるようになります。
このほど試験適用した工事は、大阪市のごみ焼却場の建替えにあたり、拡張する計画敷地内で平成13〜14年度(2001〜2002年度)に行った調査によって、土壌・地下水汚染があることが判明したことから、汚染区域の土壌を掘削・除去する工事を当社が行なうものです。
工事では、汚染物飛散防止のため防塵建屋で全体(施工面積:1, 600m²)を囲い、汚染土壌を全て掘削・除去(土量約7,200m³、掘削深度−4.5m〜−8.5m)したうえで、新たに良質土を搬入して敷地を埋め戻 しました。このうち土量約300m³の掘削・除去に本システムを試験適用したところ、工期は作業員が建屋内部に入っての重機作業とほぼ同程度を確保する一方、作業環境の改善は一層図られたことで、人体への影響リスクが低減する結果が得られました。
<工事場所の防塵建屋外観>
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工期は平成16年(2004年)1月〜17年(2005年)9月で、保護具着用による通常の重機掘削により、既に対象土壌全量の除去と良質土による埋め戻しと防塵建屋の解体が完了し、現在、用地整備を行っている状況です。
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<無人化施工による掘削・除去の様子>
本工事への試験適用にあたりシステムに新たに加えた特徴
- カメラの配置による距離の把握と死角の排除
掘削地山までの距離を把握するための側面映像用に、広角レンズの固定カメラを切梁部分各所に設置しました。また、掘削底面から高さ3メートルの適当な位置に固定カメラを設置し、掘削深さが−4.5m〜−8.5mであっても死角が生じないよう工夫しています。 - 安定した映像伝送の確保
車載カメラの映像を無線と有線の2系統で伝送し、有線映像で無線効率低下時の作業効率低下防止を行ないました。 なお、今回の試験適用では、無線映像による場合の伝送遅延など特性の把握、ローミングの有効性の検証、構造物内など見通しのきかない狭隘な現場で安定した無線伝送を確保するための課題の抽出を行なっています。今後は、ここで得られた知見をもとに大容量伝送技術についてさらなる高度化を図っていきます。 - ケーブル管理
解体装置本体には電源及び信号ケーブルがつながっていることから、とくに稼働する重機周辺や土留め矢板端部でのケーブル管理は重要です。これらは常に一定のテンションをかけたケーブルドラムを設置することで対処しています。
本システムは、崩落危険がある山あいの砂防えん堤築造工事で適用実績がありますが、土壌・地下水汚染対策工事への適用は今回が初めてです。
危険な場所での自然災害復旧工事や高濃度汚染物除去工事、あるいは原子炉施設といった作業時間が制限される現場で適用可能であることから、作業性と安全性が確保される技術として、当社では危険箇所工事での本システムの適用を積極的に提案していきます。