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小田原駅東口再開発(ミナカ小田原) ― 宿場町のにぎわいを今に ―
概要
施工位置図
2020年12月にグランドオープンした「ミナカ小田原」は、神奈川県の小田原駅東口に位置し、商業施設やホテル、フードコート、広場、図書館、クリニック、ハローワーク(公共職業安定所)、保育施設などが入居する複合施設だ。
小田原の中心として50年後、100年後まで賑わいを生む場所として、地方都市における駅前中心市街地活性化の中核施設として、観光客だけでなく、ビジネス利用者や地域住民にも愛される都市施設となることが期待されている。
グッドデザイン賞を受賞
当施設は万葉倶楽部(株)、(株)アンデザイン、(株)シェルター、(株)石井工務店と連名で応募した、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2021年度の「グッドデザイン賞」を受賞した。
「宿場町のこころを、いまに再現する」をデザインコンセプトにし、現代建築と伝統木造建築を調和・連携させることで、中世の宿場町へタイムスリップしたかの様な体験を提供できる施設としたことなどが評価された。
かつての小田原、宿場町
金次郎広場
江戸時代の小田原は、小田原藩の城下町、及び江戸・日本橋から京・三条大橋に至る東海道にある宿場町として栄えた東海道の宿場では勅使や大名等が宿泊する本陣、脇本陣が最も立ち並ぶ大規模な宿場町で、東海道の難所である箱根八里では、一般の旅人も多く宿を取った。最盛期(天保年間)には100を超える旅籠が立ち並び、にぎわいあふれる宿場であった。
ミナカ小田原は、小田原駅から小田原城への動線上に立地し、かつての宿場町のにぎわいを、今に再現することをコンセプトに計画された。現代建築と木造建築を3階レベルで融合、「金次郎広場」と命名された交流空間が現代と江戸をつないでいる。
鉄骨造と木造の混合構造の建物
当施設の狙いから、本複合施設は、タワー棟(現代建築)と低層棟(木造建築)で構成されている。低層棟の2階まではタワー棟と一体の鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)で、低層棟の3階レベルで2階建ての木造を耐火建築物で構築する形の混合構造となっている。
混合構造であるため、鉄骨造と木造の接合部分の実施設計は入念に検討した。木造柱位置にあわせて3階鉄骨小梁を配置し、現場での施工精度の確保に留意するとともに、一定の誤差を許容できるように、木造部の柱脚プレートは鉄骨梁上の支持プレートに位置出し後に現場溶接することで対応した。
低層棟木造部の施工を担当する(株)石井工務店とは施工工程の調整を密に行い、いかにタワー棟・低層棟の両工事を並行してスムーズに進められるかを事前に十分に検討した。そのひとつとして、交流広場となる3階床スラブの構築後は、低層棟木造部の施工のために、スラブ部分に二か所の搬入開口を設けた。これにより、低層棟の着実な工事進捗が可能となり、資材の搬出入を早朝、夕方に集中させることで、揚重機などの作業機械との設置ヤードで、両棟の施工を効率よく行うことができた。
遺構を保護しながらの施工
施工地は小田原城に近く、工事着工前の埋蔵文化財調査において、地下6メートル付近に小田原城のお堀の一部が発見されたため、発見された遺構を傷つけないよう対策を講じて施工を行った。具体的には、調査業者の位置図を基に想定位置付近から慎重に掘削を開始、遺構の想定位置に石灰でマーキングをしたうえで施工した。貴重な遺構の保全に細心の注意を払いながらも、工程に遅れを生じさせないために日々の進捗管理には通常以上に注意した。このように文化財を保護しながらの施工におけるクリティカルパスの特定と進捗管理が、工期を順守する上で非常に重要であった。
所長インタビュー
特定工事所長 菊谷 洋三
当工事は小田原駅前再開発事業の一環であり、施工に際しては隣接する駐車場工事との綿密な工程調整を心掛けました。現場は、敷地に余裕が無く搬出入経路は1カ所のみという条件であり、施工計画を立てる上で車両動線・作業スペースの確保が課題となりました。 また、JR線路に隣接しているため、飛散防止対策や足場の点検に細心の注意が求められました。
現場周辺には店舗が多数あり、人の往来も多いことから工事車両や作業員の動線について入念に検討を行い、第三者災害の防止に万全を期しました。
また、作業員の安全意識の向上が重要なことであると考え、毎月の安全大会時に安全意識の高い作業員の方の表彰を行いました。 さらに、職長会が主体的にパトロールの追加実施や安全ルールの策定と実践を行うことで、現場全体での安全意識の向上が図られ、無事故・無災害を達成することができました。
地域の新たな顔として、長く使われる良い建物をつくりたいという使命感で工事を進めました。
工事名称 | 小田原駅東口再開発 | |
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引渡し建物名 | ミナカ小田原 | |
工事場所 | 神奈川県小田原市栄町 | |
工期 | 2018年3月〜2020年8月 | |
発注者 | 万葉倶楽部(株) | |
設計者 | (企画設計)万葉倶楽部一級建築士事務所 (実施設計)五洋建設(株)本社一級建築士事務所 (低層木造部・外装実施設計)シェルター建築設計事務所 |
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施工者 | 五洋建設(株) (低層木造部・外装)(株)石井工務店 |
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用途 | ホテル、物販店舗、飲食店舗、事務所、公共図書館・職安・集会所ほか | |
工事概要 | 構造 | S造・一部SRC造・一部木造 地下1階 地上14階 棟屋1階 |
敷地面積 | 5,639.70m2 | |
建築面積 | 4,054.00m2 | |
延床面積 | 31,419.40m2 |