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みらい造船建設工事(東北支店)

震災からの復興

現場位置図現場位置図

気仙沼市は世界三大漁場の一つである三陸沖沿岸に位置し、古くから東北有数の水産都市として発展してきた。しかし、2011年の東日本大震災の大津波で造船施設や漁船用燃油施設が壊滅的な被害を受けた。
(株)みらい造船は、震災で被災した吉田造船鉄工所、木戸浦造船、小鯖造船鉄工所、澤田造船所の造船4社を含む7社の出資で2015年5月に設立され、2018年4月には造船4社が合併した。
現在、国土交通省の造船事業等復興支援事業補助金を活用し、気仙沼市が造成した朝日町の工業用地に当社の設計施工で新しい造船所を建設している。
当工事では、津波の被害を受けにくいシップリフト方式が採用された。
防潮堤の外側に漁船の進水・陸揚げをする昇降設備を建設するとともに、 防潮堤の内側の陸上の平坦部に船台や工場を建設することで、津波に対して安全で、作業効率の高い造船所にすることができる。
(株)みらい造船は、この新しい造船所を核として、気仙沼市の基幹産業である水産業を支える造船産業を再生・発展させ、地域に貢献できる企業を目指している。

造船所を津波から守るシップリフトシステム

台車設置状況台車設置状況

シップリフトシステムとは、桟橋上に設置した電動ホイスト(巻上機)を使用して、プラットフォームをエレベーターのように垂直に上昇させることで、船舶をリフトアップするものである。
プラットフォームには、縦移動台車と横移動台車を2段で設置し、縦行レールと横行レール上を移動させ、作業位置に船舶を設置することができる。
現行の斜路(スリップ)で船舶を引き込む方式と比較して、船体や船底機器への負荷を低減させ、損傷リスクを回避できる。また、防潮堤内に建設することで、津波から守ることができる施設というだけでなく、平坦な場所で作業できるため作業効率や安全性が向上した。
今回採用したパールソン式シップリフトシステムは、1954年に開発されて以来、世界で280件の実績を持つ信頼性の高いシップリフトであり、国内では3例目となる。

シップリフトシステムの仕組み

  1. 縦行・横行台車を上架する船舶に合わせて組み、プラットフォーム上に載せて海中に沈める
  2. 上架する船舶を台車・プラットフォーム上に引き込む
  3. 10台のホイストで船体への負担を均一化しながら船舶を上架する
  4. ホイールローダで台車を牽引し、船舶を陸上ヤードに移動する
シップリフトシステムイメージ

AR Navi ジオモニUによる打設管理システムの使用

監視室監視室

計測画面計測画面

シップリフトシステムを支える桟橋を造るためには、湾内に杭を打つ必要がある。
桟橋工事の基礎杭打設には斜杭も含まれるため、杭打設位置の誘導は2方向からのトランシットによる法線誘導に加え、打設角の管理が必要となり難易度が高い。そこで当社の保有技術である“映像による杭打設管理システム(AR Navi ジオモニU)”を導入し、杭打設の誘導管理を実施した。
当システムはカメラ付きトータルステーションのカメラ映像を取り込み、その映像に三次元設計をAR(拡張現実)化し挿入することにより、作業員やクレーンオペレーターが杭や構造物の現状位置と三次元設計(打設、据付箇所)をモニター上で共有し誘導することを可能にした。
当工事では、トータルステーションに取付けた高感度CCDカメラの映像に杭の誘導法線を重ねた画像を、オペレータが操縦室内で監視しながら杭全体および据付箇所を確認することにより、杭の打設精度と打設効率が向上した。当初の計画では、4〜5本/日を計画していたが、最大で8本/日を打設することができた。

  • トータルステーション視準状況トータルステーション視準状況
  • システム構成イメージシステム構成イメージ

所長インタビュー

工事所長 鶴田 裕一郎工事所長 鶴田 裕一郎

当工事は東日本大震災後、既存の造船所を集約して新たに津波対応型造船所を建設するものです。当社の国内シップリフト式造船所の施工実績を踏まえ、本社土木営業本部、土木設計部、船舶機械部、技術研究所等、多くの部署の方々にご協力いただいた工事です。
気仙沼港は周囲が陸地に囲まれた天然の良港であり、全国から多くの漁船が寄港し、水揚げ、給油、船舶修繕等の機能を保有する水産業集積拠点漁港です。また、(株)みらい造船は気仙沼の造船業を残したいという強い思いで地元の造船業4社が合併して設立された造船所ということもあり、地元の方々の期待は大きかったです。
工事場所は軟弱地盤であり、杭打設においては杭周面地盤の乱れ、杭先端の閉塞等が懸念されたため、この地盤条件に適した支持力管理が必要でした。そのため、代表的な基礎杭に対して衝撃載荷試験を実施し、当該工事場所の地盤特性を踏まえた支持力管理式を設定し、各杭の支持力を管理しました。
また、現場周辺は復興工事が輻輳しているため、隣接工事の平面展開・施工時期等について十分な調整が必要でした。先行して当社が施工した造成工事の地盤改良に遅れが生じた場合、当工事の工程にも影響するので、関係機関や協力業者と毎月工程調整会議を実施し、対策をとりました。 みらい造船の新造船所が気仙沼の復興の象徴にすべく、職員、協力業者、作業員が一致団結し、竣工に向けて取り組んで参ります。

工事名称 みらい造船建設工事
施工場所 宮城県気仙沼市朝日町地内
工期 2016年9月8日〜2019年5月31日
発注者 (株)みらい造船
設計 五洋建設(株) 本社土木設計部・建築設計部
施工者 五洋建設(株)
工事概要 海上工事
準備工 深浅測量・ボーリング調査 一式
撤去工 荷役桟橋、接岸ドルフィン 3基
水中土留工 鋼矢板 228枚
浚渫工   5,845m3
鋼管杭工 ホイスト基礎、縦行レール基礎、連絡橋、配管・配線ラック基礎 128本
上部工 ホイスト基礎、縦行レール基礎、連絡橋、配管・配線ラック基礎 一式
シップリフト工 シップリフト、シップリフト用台車 一式
付属工 車止め、縁金物、波除板他 一式
陸上工事
縦行レール基礎工 約258m×7m(レール4列)、H鋼杭 一式
横行レール基礎工 124m×37m、76m×37m(北側)、150m×17m(南側)、H鋼杭 一式
ジブクレーン基礎工 183.5m×2列、鋼管杭 一式
斜路工   一式
土木設備工 電気設備工、上下水道工、フェンス工、舗装工他 一式
建築工 修繕工場、コントロール棟、事務所棟他 一式


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