このページは、ホームソリューション・技術プロジェクトプロジェクトストーリー呉市新庁舎建設工事のページです。
現場位置図
解放感あふれる広く明るい空間では、訪れた人々が職員に案内され、談話スペースではお年寄りや親子がくつろいでいる。
1月下旬に呉市中心部に誕生したばかりの新庁舎のロビーの風景だ。
1962年に建設された旧庁舎は老朽化が著しく、震度6で倒壊という耐震診断が下されていた。
呉市新庁舎はあらゆる機能を併せもつ新たな中心地として完成した。
「すべての利用者にとって共通で安全・快適なユニバーサルデザインによる市民にやさしい庁舎」をコンセプトのひとつとして建設された新庁舎は、「庁舎棟(地上9階)」、「議会棟(地上4階)」、「市民ホール棟(地上3階)」「駐車場(地上5階)」の4棟から構成されている。
庁舎棟ではワンストップサービスを実現している。従来は目的ごとに分散していた窓口機能を統合し、1ヶ所で複数の手続きができる総合窓口を1階に設置した。来庁者はまず総合窓口に行けば手続きができる仕組みで、広い庁内を移動する必要がなくなり、煩雑さからも解放された。
また、視覚・聴覚に障害のある方も傍聴ができる設備を整えた議会棟や、最大624人を収容し、緊急時に防災拠点にもなる市民ホール棟(くれ絆ホール)が併設され、多くの市民が多目的に利用できる庁舎となった。
ロビーの施工中の様子(左)と完成写真(右)
くれ絆ホールの施工中の様子(左)と完成写真(右)
月1回の頻度で発行された現場レポート(画像拡大)
新庁舎の施工中、現場のすぐ隣の旧庁舎で毎日少しずつ表情を変えていく様子を呉市役所職員や市民は見守っていた。新庁舎に対する関心は大変高く、「今は何をやっているところか」などの質問や意見が多く寄せられた。
そのような期待に応え、当工事についてより深く理解していただけるよう勉強会を開催した。職員のみならず県内の学生や市民を招待する他、月1回のペースで市民の方々に工事の進捗状況や内容をわかりやすく解説した現場レポートを発行し、旧庁舎の1階ロビーに掲示した。
呉市で毎年4月に開催され、30万人の人出で賑わう「みなと祭り」では、日頃入ることのできない仮囲いの内側を気軽に見てもらおうと、見学会を行った。見学者は決められたルートに沿って、内装前の鉄筋がむき出しの内部を観察した。開催は現場の休憩時間で1時間という短時間だったにもかかわらず、約800名の見学者が訪れた。
市庁舎前に設置されたモニュメント
「未来への架け橋」
旧庁舎は呉の代名詞ともいえる戦艦大和をモチーフにしたと言われている。新庁舎もその遺伝子を引き継ぎ、建物の威風風貌は堂々とした趣があり、まるで鎮守府を彷彿とさせる。
建築に使用する素材も、呉地域から産出されるものや、呉に工場を置く会社の製品にこだわった。例えば、議場の柱に採用した倉橋島の桜御影。国会議事堂に使用され「議員石」の愛称で親しまれている石材で、永久に色褪せることのない石として有名である。また、(株)IHIより呉市へ戦艦大和の造船ドックで使用された石が寄贈された。その石で制作されたモニュメント「未来への架け橋」を新庁舎前に設置するなど、今後100年、呉のシンボルとしてふさわしい建物が誕生した。
総括工事所長 古崎恵二
当現場は旧庁舎、公園、駐車場、公道と公有地に囲まれていたので、なにをするにも場所の確保に苦労しました。
ピーク時には一日約450人の作業員が従事したので、作業員の休憩スペースの確保のために、工事の進捗にあわせて休憩所を3回も移動させました。
また、新庁舎から旧庁舎に向かって大きくせりだす設計となっている車寄せのひさし等、旧庁舎に面した工事は、出入りする人々に配慮し夜間や週末の施工が中心でした。
入社と同時に赴任し、最初の一歩を踏み出したこの呉が、私にとって最後の仕事場となりました。当工事を受注し担当に決まったときは正直驚きました。そして、当社の2代目社長が市長を歴任した、呉市という特別な地で仕事ができるということは、大きな喜びでもありました。同時に、なんとか無事に終わらせねばという一心で施工にあたりました。今は達成感でいっぱいです。
工事名称 | 呉市新庁舎建設工事 | |
---|---|---|
施工場所 | 広島県呉市中央 | |
工期 | 2013年9月26日〜2015年12月28日 | |
発注者 | 呉市 | |
設計 | (株)大建設計 | |
施工者 | 五洋建設(株) | |
工事概要 | 主要用途 | 庁舎 |
構造 | 庁舎棟 地上9階 議会棟 地上4階 市民ホール棟 地上3階 公用車駐車場棟 地上5階 |
|
敷地面積 | 11,807.61m2 | |
建築面積 | 8,223.14m2 | |
延床面積 | 37,780.54m2 |