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苅田港(本港地区)航路(-13m)浚渫[暫定-12m]工事(福岡県)

ポンプ浚渫船“駿河”

陸・海・空の結節点“苅田港”

現場位置図現場位置図

福岡県北東部、北九州工業地帯の一郭として工業生産品の積み出しの役割を担っている苅田港。周辺には2006年に苅田港沖に開港した北九州空港や、同年に開通した福岡県周辺初の東九州自動車道苅田北九州空港インターチェンジがあり、陸・海・空の結節点として今後ますます発展する港として期待されている。

現場全景現場全景(画像拡大)

現在、苅田沖約10kmの海域では、苅田航路整備事業の一環として、2隻のポンプ浚渫船による浚渫工事が行われている。この工事は、苅田港航路・泊地の水深を現在の-10mから-13m[暫定-12m]まで浚渫することによって、より大きな貨物船を受け入れ、輸送効率を上げることを目的としている。それにより、貨物輸送量は今までの3倍に及ぶ見込みである。

浚渫土砂の長距離排送 2隻のポンプ浚渫船で9.5km先の埋立地へ土砂を運ぶ

この工事の最大の特徴は、全長9.5kmに及ぶ長距離排送だ。通常、ポンプ浚渫による標準的な排送距離は0.5km〜6kmであるので、このような長距離排送工事は日本でも極めて珍しい。この工事では、苅田沖にあるポンプ浚渫船“駿河”から、途中中継船“千代田丸”を経由し、海底部を約8.3km、陸上部では約600mの排砂管を放水口へつなげている。海底管設置の際は、12m(1管)の排砂管をあらかじめ排砂管組立解体ヤードで300m分(25管)つなげ、その後接続場所まで運ぶ。それを海上にてクレーン付台船でつなぎ沈めた後、漏れがないか潜水士が1本ずつ確認する。
浚渫船のポンプで送られた土砂は、9.5km先の放水口から排出される。ポンプ浚渫は24時間体制で行われ、現場の職員も、昼勤務と夜勤務に分かれて作業に従事している。

  • 駿河から海底管へ続くフロータ管駿河から海底管へ続くフロータ管
  • 放水口へと続く陸上管放水口へと続く陸上管

ポンプ浚渫船“駿河”

1972年に造船された日本最大級のポンプ浚渫船“駿河”は、五栄土木が所有する船舶として世界中で使用され、現在は苅田港で浚渫工事を行っている。8,000馬力の巨大エンジンを2機搭載し、船内の電力も賄っている。駿河は、2011年の東日本大震災時福島県の小名浜港にて工事を行っていたが、奇跡的に最小限の被害で済み、船体は無事だった。

浚渫ポンプ浚渫ポンプ

昨年度の工事では、約8kmのポンプ浚渫を1船で作業したが、今年度は距離がさらに延伸したため、途中で千代田丸を中継船として配置し、放水口まで土砂を送っている。苅田港で2隻のポンプ浚渫船を使用しての工事は初めてである。
また、事前潜水探査はしているが、異物吸込防止対策としてワイヤを取り付け、200mm以上の異物吸い込みによる排送への影響を抑えるとともに、放水口には巨大な鋼製かごを設置し、浚渫土砂受入場所への配慮も行っている。

  • 8,000馬力のエンジンを2機搭載8,000馬力のエンジンを2機搭載
  • 機械制御室機械制御室
  • 中継船 千代田丸中継船 千代田丸

航路封鎖と余掘低減

放水口放水口

海底管の設置場所が、航路をまたいだ位置にあり、設置するには4時間、撤去するには3時間の航路封鎖が必要である。また、排砂管設置・撤去作業は夜間はできず、日の出〜日没の時間帯での作業となる。また苅田港は重要港湾の指定を受けており、常時大小さまざまな船舶が運航・入出港している上、沖合停泊の船舶も多い。そのため、関係各署・港湾利用者へ連絡し、航路封鎖のできる時間を綿密に調整することが求められる。船舶の運航は気海象条件に大きく左右されるため、前日までスケジュールが決まらないことも多々あり、調整を何度もやり直すこともある。
また、今回浚渫土砂の受入場所となっている新松山地区土砂処分場は、他の土砂処分場と同様、容量確保の観点から、余掘量を極力低減することが重要課題の一つとなっている。標準的な施工では、浚渫深度を設定して掘削し、掘り跡を音響探査機にて確認しながら作業を進めていく。当工事では、浚渫管理システムを使用してラダー深度を常時監視しながら掘削し、さらに得られた3次元測量結果を次施工にフィードバックすることで浚渫精度を向上させ、底面余掘低減を実現した。

当社の技術力、その先の向こうへ

工事所長 本村貴則工事所長 本村貴則

もうすぐ竣工を迎えるこの工事で、工事所長の本村貴則が大事にしてきたことがある。
「大型作業船を使用した海上作業となるため、作業船からの油等の流出がないよう、日々の点検・整備を指導しています。また、非常に長い排砂管を海底に沈めながら浚渫作業を行うため、排砂管の肉厚測定等の点検を念入りに行い、排砂管が破れて浚渫土砂が流出しないよう徹底しています。」海で工事をしている以上、環境問題とは切っても切れない関係であり、どんなに規模が大きな工事でも、確認作業を怠ることはできない。「当工事は、苅田航路整備事業において、中継船を使用した初めてのポンプ浚渫工事です。これまで国内外で築いてきた当社グループの高い技術力を最大限に発揮し、実績を積み重ねていきたいです。最後まで、発注者・港湾利用者の皆様の要望事項を確実にクリアできるよう、工事関係者全員が一丸となって安全第一で取り組んで行きます。」駿河を前に本村は語った。
今後ますます発展していく苅田港一帯は、北九州の工業都市としてさらに活躍していくだろう。

工事名称 苅田港(本港地区)航路(-13m)浚渫【暫定-12m】工事
施工場所 福岡県京都郡苅田町港町地先および鳥越町地先
工期 2013年9月4日〜2014年3月26日
発注者 国土交通省 九州地方整備局
設計・監理 五洋建設(株)
施工者 五洋・みらい特定建設工事共同企業体
工事概要 潜水探査工 一式
浚渫工 ポンプ浚渫 232,876m2
土量 NET 383,177m3
扱い土量 642,006m3
土捨工 浮上零号設置・管理・撤去
浮上零号移設
立ち上がり零号設置・管理・撤去
排砂管設置・管理・撤去
排砂管(陸上受枠) 設置・撤去 
陸上受枠設置・撤去
標識灯設置・管理・撤去
排砂管吐出部土台設置
仮設工 一式


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