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外観全景
2012年5月末、本社ビル敷地内(東京都文京区)に、新オフィスビルが完成した。これは当社の設計・施工による地上4階建の建物であり、本社ビル別館として利用されている。
このビルの施工に際して、梁部分では五洋式複合構造梁構法(PHBS構法:Penta-ocean Hybrid Beam Structure)と降伏機構分離型鉄筋コンクリート梁工法(RCHIS梁工法:Reinforced Concrete Structures with Hinge Isolated System)を全国で初適用し、基礎部分
では再生骨材コンクリートを利用するなど積極的に当社の保有技術を取り入れた。
また、低炭素社会の実現に向けて取り組みが始まっているゼロ・エネルギー・ビル(Zero Energy Building、以下ZEB)に向けた当社における先がけとなる建物として、各種の省エネルギー技術を導入している。
梁工事ではPHBS構法とRCHIS梁工法の2つの当社保有技術を初適用した。
PHBS構法は、柱と梁の端部に剛性の高い鉄筋コンクリート(RC)造を用い、梁の中央部分に軽量な鉄骨を用いているため、20mを超える大スパン建物にも対応でき、安価で剛性が高い建物を構築することができる。
なお、本構法の特徴は、梁端部の鉄筋コンクリート(RC)造と中央部の鉄骨(S)造を、当社独自の方法(境界プレートと呼ばれるプレートで接合)により接合し、他社の同様な工法に比べて梁断面を大幅に小さくすることができる。
- PHBS構法 概要図
- PHBS構法 適用部分
RCHIS梁工法は、大地震時におけるコンクリートのひび割れを抑制する効果がある工法である。梁端部の主筋の一部にブチルゴムを巻きつけ、あえてコンクリートと鉄筋を一体化させないことにより、地震時に生じる梁の損傷(ひび割れ)を最低限に抑え、さらには地震後の補修を容易に行うことができるのが大きな特徴となっている。
- RCHIS梁工法 概要図
- 大地震を想定した損傷程度の比較
当ビルは構造から設備の細部に至るまで環境に配慮した建物となっている。
基礎及び地中梁の施工にあたって、使用するコンクリートには当社保有技術の環境に優しい材料である、「再生骨材コンクリート」を採用した。
このコンクリートは、一般のコンクリートに使用されている「天然骨材(砂利・砂など)」の代わりに構造物の解体材(コンクリート塊)をリサイクルした「再生骨材」を使用したものだ。もちろん、国土交通大臣認定を取得しているコンクリートであり、規定された各種試験を行い、受入基準を満たしたものを「再生骨材」として使用しているため、一般のコンクリートと同等の強度を確保し、品質は変わらない。
このように、天然資源の保護や廃棄物の削減効果など環境に配慮した材料であるのが特徴である。
再生骨材コンクリート製造フロー
一方、建築・設備の各所に省エネ技術を組み合わせて導入している。
例えば、屋根は日射反射率が高い塗装とし、窓は断熱性能の高いサッシを採用し空調エネルギーの低減をはかっている。照明には、低消費電力のLED照明を多く採用するとともに、次世代照明技術と期待され、薄くて軽く発熱が少ないといった特徴を持つ有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を光源とした照明をエントランスホールに採用している。
このほか、敷地内に雨水貯留槽を設けて屋根面や室外機、舗装面への散水に利用できるようにするなど、二酸化炭素の排出量削減に配慮した建物となっている。
これらを検証するため、室内外環境やエネルギーをモニタリングするシステムを導入しており、今後、これらの効果を検証していく。
ZEB化に向けた技術アイテム
工事名称 | 五洋建設(株)本社ビル別館新築工事 | |
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工事場所 | 東京都文京区後楽2丁目 | |
工期 | 2011年8月24日〜2012年5月31日 | |
発注者 | 五洋建設(株) | |
設計・監理 | 五洋建設(株) | |
施工 | 五洋建設(株) | |
工事内容 | 主要用途 | 事務所 |
構造 | 鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造 | |
地上4階 | ||
建築面積 | 458.98m2 | |
延床面積 | 1,661.00m2 |