このページは、ホームソリューション・技術プロジェクトプロジェクトストーリー柏駅前再開発建築工事のページです。
建物構造は、住宅棟が地下1階地上29階建、店舗棟が地下2階地上2階建となっており、2棟の地下の階数が異なっている。これに加え、2棟の建物同士が近接しているため、地下の浅い住宅棟の躯体を利用して、品質を確保した上で効率的かつ合理的に施工を進めることに成功した。
まず周辺をH鋼の周囲をセメントミルクで固めた壁で囲い(山留)、2棟が共通する深さまで掘削する。そして鉄骨の梁(切梁)を用いて周辺の山留壁を支える。その後、住宅棟の地下部分を構築し、地上1階まで建ち上がった段階で、住宅棟の地下躯体部分と店舗棟側の山留壁で切梁を渡し、店舗棟の地下を構築する。
同時に住宅棟と店舗棟の地下を構築しようとすれば、より深い店舗棟の地下掘削が、施工が困難で、工程上、時間もかかる住宅棟の地下部分の地盤に影響を及ぼす。その結果、建物自体の品質に影響を及ぼしかねない。
この施工方法により、品質を確保しただけでなく、店舗棟が地下を構築している時点で、最短日程で、住宅棟は地上工事に移行し、円滑に施工を進めることができた。
地下工事の流れ
住宅棟の建築では、3階から上階においては、事前に工場で成形されたコンクリート部材(プレキャストコンクリート)を建設現場に運び込んでつなぎ合わせる工法を採用し、1フロアーを7日間で構築している。
通常、柱を建てる際、一般的に、トラックから一度、プレキャスト(PC)ピースを降ろした後、クレーンで施工場所まで運ぶ。しかし、本工事の現場周辺は、商業施設を中心に建物が密集しており、敷地にも余裕がないことから、搬入出口は1ヵ所となった。
そこで、柱を製作する際に吊り用金具を取り付けるための金具をあらかじめ柱に埋め込んだ。この金具も回転式にすることで、トラックの荷台の上で直接柱を起こし、現場へ運ぶことが可能になり、効率的な施工を実現した。
そして、柱の主筋部分に穴を空けた型板を作り、次の柱を建てるまで位置を固定、作業による主筋の変形を防ぎ、建物の品質を高めている。
建物コーナー部分のPC施工状況
さらに、仮置きがほとんど出来ない状態で、スムーズに7日間の工程サイクルを回すため、ピース数はなるべく少なくした。
特に、梁の部分で、建物のコーナー部分は1つのピースとすることで、建物のゆがみ・ズレを防ぎ、品質確保にも繋がっている。
このほかにも、運ぶ資材や作業する順番のバランスを考えるといった先行揚重を工夫して、テンポ良く施工を進めることができた。
市街地での施工では、近隣に対し、より一層の配慮が必要となる。本工事では、作業時間や搬出入のルールを徹底、土工事中には1日3回の騒音測定を行った。
また、当社社員と協力会社の職長で、安全・環境・清掃・4R(リフューズ、リデュース、リユース、リサイクル)といった委員会組織を設けている。
各活動は週に1回だが、月曜から金曜まで毎日、必ず1つの委員会が活動していることになる。その結果報告は、日々の定例打合わせ時に報告され、工事関係者全員で改善を図っている。
こうして、当社職員と協力会社が一体となって活動することで、現場の一体感も強まり、各ルールもより徹底されている。
- 騒音測定の様子
- 4R委員によるリサイクル活動
地域活性化を目指す柏駅周辺の再開発計画は、全体で約20haの広範囲にわたる。すでに東口と東口E街区第一地区、西口B-2地区で工事が完了し、今回の「The Kashiwa Tower」は、A街区第二地区に位置する。本工事の完成を機に、検討が進められている東口D街区第一地区、東口CD街区、西口北地区の具体化が期待されている。
工事名称 | 柏駅東口A街区第二地区第一種市街地再開発事業 施設建築物建築工事 |
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工事場所 | 千葉県柏市柏2丁目 | ||
工期 | 2007年2月28日〜2010年3月31日 | ||
発注者 | 柏駅東口A街区第二地区再開発組合 | ||
設計 ・ 管理 | (株)日建ハウジングシステム | ||
施工 | 五洋建設(株) | ||
発注者 | 柏駅東口A街区第二地区再開発組合 | ||
工事内容 | 総戸数190戸 | ||
構造 | 住宅棟 | 鉄筋コンクリート造 地下1階 地上29階 塔屋2階 |
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店舗棟 | 鉄骨造 地上2階 鉄筋コンクリート造 地下2階 |
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敷地面積 | 2,919.28m2 | ||
建築面積 | 1,448.42m2 | ||
延床面積 | 26,133.94m2 |