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茨城空港ターミナルビル新築工事

施工方法を工夫し、短工期を乗り切る

首都圏の第3空港として国土交通省が整備を進める茨城空港が、2010年3月に開港する。当社JVが建設するターミナルビルの新築工事は、12月中旬の完成に向け、大詰めを迎えているところだ。

茨城空港は、航空自衛隊の百里飛行場との共用飛行場であり、施工には基地への配慮のほか、開港に向けた周辺の他工事との調整を行いながら進めている。また、約14ヵ月(実質工事を行うのは約11ヵ月)という工期の中で効率的に工事を進めるため、高所作業車による外壁の施工を取り入れるといった工夫が随所に盛り込まれている。 さらに、当社初の本格的な空港ターミナルビルの受注であることから、今年の工事表彰では、見事に社長表彰(営業部門)に輝いた。

増大する需要を第3空港で対応

施工場所

現在、首都圏には成田空港と羽田空港がある。それぞれ再拡張工事が進められているものの、数年後には国際線・国内線ともに再び発着枠が不足する見込みだ。

政府が掲げる「アジア・ゲートウェイ構想」では、地方空港の路線や便数の制限をなくす自由化を掲げており、国際航空需要の約4分の3は首都圏が占めていることから、地方空港の国際化が今後の課題となる。

また、諸外国の空港立地状況をみると、国内・国際線が乗り入れる基幹空港を中心に、中小規模の空港(セカンダリー空港)が立地している。都心から離れていても混雑が少ないという特徴から、多様な航空需要の受け皿となっている。 茨城空港は、このようなセカンダリー空港を目指し、首都圏の航空需要の一翼を担う空港として、1995年にその構想が発表された。

コンセプトは「コンパクトで効率的なターミナルビル」

綿引隆成綿引隆成

茨城空港整備事業は、すでにある航空自衛隊の百里飛行場(百里基地)に新たな滑走路とターミナルビルを新築するものだ。同規模の空港と比べ半分程度の事業費で整備でき、空港使用料も成田・羽田空港より約3割低いことが注目されている。そこで、今回のターミナルビル新築工事では、ローコストキャリア(低コスト航空会社)でも対応できるターミナルビルを目指し、「コンパクトで効率的なターミナルビル」がコンセプトとなっている。

今回のターミナルビル新築工事は、2006年に滑走路新設のための排水設備工事を当社が受注したことで、入札への意気込みができた。

入札当時について茨城営業所の綿引隆成は、「当社の長年の経験と実績を基に、『お客様に最適な提案をする』という信念で、支店と共に根気強く営業活動を展開していきました。受注できた時は、近年になかった茨城県を代表するプロジェクトに参加することができたことと、また、空港ターミナルビルという当社としても希少な建築を受注できたことで、何倍もの喜びと自信になりました」と振り返る。

高さ制限に内側から施工、仮設を抑えて時間短縮

足場仮設の設置を最小限に抑える為、高所作業車を多用

建物の構造は、地上2階建て(一部3階)の鉄骨造だ。施工地はかつて田畑で、工事直前に盛土されており、この土砂が粘土質で軟らかく、杭打機が現場に入れないほどの軟弱地盤だった。これは実際に現地に乗り込んでから明らかになったもので、当社は石灰混合改良による地盤改良を行って基礎を構築することを提案、これが受け入れられた。

隣接する百里飛行場では、工事中も自衛隊機が離発着していることから、施工にあたっては33mの高さ制限がある。通常、地下ピット式の基礎や躯体工事にはブームの長いクレーンで建物の外側から施工するが、今回はこの制限により使うことができない。加えて周辺では、エプロンや駐車場といった他工事が同時進行して敷地に余裕がない。このため、建物内にクレーンなど重機の作業スペースを2ヵ所設け、建物の内側からコンクリートを打設、鉄骨を組み立てた。

さらに、外壁の施工について工事所長の宿久善和は「高所作業車を多用して、足場仮設の設置を最小限に抑えることができました」と話し、仮設設置にかかる時間を縮減、迅速な施工を実現した。

敷地内に重機作業スペースを設け、内側から施工する様子

  • 基礎工事コンクリート打設状況
  • 鉄骨組立工事状況

安全な迅速施工のためルール徹底し、周辺に一層配慮

飛散防止のため、厳重に固定している標識

日々100人を越える作業員が出入りし、ピーク時には、全体の3〜4割が高所作業車での施工にあたっていた。職長を通してルールを徹底させるだけでなく、工事所長が、それぞれパトロールを毎日行い、現場の隅々まで目を光らせている。

工事所長の渡辺富夫は「1人や1社の『これくらいは』という気持ちが全体の緩みに繋がります。その緩みが事故にも繋がるので、厳し過ぎるくらいの気持ちで見ています」と気を引き締める。

百里飛行場からは1日数十機の自衛隊機が離発着している。現場で発生したゴミが滑走路に入り、自衛隊の業務に支障が生じないよう、ゴミを集めるコンテナには厳重にネットをかけ、看板も番線で補強するなど入念な飛散防止が行われている。

また、現場北側には茨城県警のヘリコプター基地が近接しており、杭打設といった振動を生じる施工の際には、低振動建設機械を使用するといった影響の抑制に努めた。空港関連工事では、このほか駐車場、エプロン、給油施設といった、各施設の整備が同時に進められていることから、施工者連絡協議会を発足。今春から当社が幹事を務め、2週間に1度のペースで会合を開いている。特に現場へ入る道路が1本しかないことから、事前に各現場の工程を確認し、お互いが円滑に作業できるよう調整を図っている。

無事故・無災害で完成を目指す

宿久善和宿久善和

12月中旬までの工期で、現場もラストスパートをかけている。完成を間近に控え、宿久工事所長は「入場人員も多いので、事故を起こさないことと、立派な建物を目指して頑張っていきます」と意気込みを語った。渡辺工事所長も無事故が第一とし「現場の全員が怪我のないように努めます。今後は完成後に入る関係者とも適切に調整を図りながら工事を進めていきます。そして無事、飛行機が3月に飛ぶことを祈っています」と気合を入れる。

短工期施工がニーズとしてある以上、当社はそれに応えていかなくてはならない。迅速、かつ安全、的確・適切な施工。スピードが求められる時代だからこそ、他の要素にも十分配慮した施工を心がけることが、お客様の当社に対する信頼を勝ち取ることができるだけでなく、この厳しい建設業界の中で生き残る鍵となる。

工事名称 (仮称)茨城空港旅客ターミナルビル新築工事
発注者 (財)茨城県開発公社
設計 ・ 監理 (株)梓設計
施工者 五洋・染谷・栗原・大成特定建設工事共同企業体
工期 2008年10月15日〜2009年12月18日
工事場所 茨城県小美玉市与沢地内
工事内容 構造 鉄骨造地上2階(一部3階)
建築面積 6,133.44m2
延床面積 8,593.29m2


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