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伏木富山港(新湊地区)道路(東西線)橋梁上部工事

複雑形状の高所作業も万全体制で臨む

日本海沿岸のほぼ中央に位置する富山湾では、2013年の完成を目指し、分断された東西地域を結ぶ臨港道路東西線の整備が進められている。総延長約3.6kmのアプローチ道路と斜張橋「新湊大橋」の整備計画。当社を代表とするJVは2007年度にアプローチ道路部分の上部工(340m)を施工、続いて斜張橋の東側120mの上部工を施工している。

「新湊大橋」は、日本海側で最大規模を誇り、現場は最大で地上約45メートルの高所にある。橋桁のコンクリートを現場で打設する工法が採られているが、一般的に橋桁の断面は長方形であるのに対し、臨港道路東西線では左右に張り出した形状をしている。施工に際しては、日本海側特有の強風を考慮し、仮設の支柱式支保工(ベント材)は当初よりも太い支柱を採用した。さらに、日々綿密な打ち合わせとパトロールで意識の面でも安全を徹底することで、着工から無事故・無災害で施工している。

分断された地域と物流の円滑化図る

ホタルイカ、シロエビなど豊富な海産物で知られる富山湾は、太平洋側の駿河湾(静岡県)、相模湾(神奈川県)と並ぶ日本で最も深い湾のひとつ。港として利用されたのは、歌人で知られる大伴家持が越中国守として赴任した746年当時からと、歴史ある港湾でもある。現在では特定重要港湾の伏木富山港(伏木港、富山港、富山新港)がある。

このうち、富山新港のある新湊地区では1968年同港の開港に伴い、港口が切断されているため、臨港道路東西線を整備することによって分断した地域の接続と、幹線道路との連結による物流の円滑化などを図ることを目指している。

施工場所

日本海の強風にも耐える仮設を設置

港口に架かる新湊大橋の延長は600mあり、当社は東側の主塔からアプローチ道路までの120mの側径間部と呼ばれる上部工の施工を進めている。

施工はまず橋脚の間に、仮設のベント材を設置する。次に橋桁のコンクリートを支えるトラス桁を仮設。その上に、くさび式支保工、型枠を組み、コンクリートを打設していく。コンクリートは、橋桁120mを下床版3回、上床版2回に分割して打設した。さらに、主塔側60メートルの桁下には全天候型自転車歩行者道が設置される計画のため、当工事では鉄骨による骨組みまでを施工する。

断面図 完成予想
断面図 下から1.7mで上下を区切っている

施工フロー

施工フロー画像を拡大する

日本海側と言えば、一般的に風が強いことで知られ、最大瞬間風速は毎秒22mに達する。また将来、大型コンテナ船に対応できるよう、桁下の最高高さは水面から47mと設計されており、現場は地上から40m以上の高所作業となる。
計画当初から安全確保が課題であったため、支柱式ベント材は折りたたみ式のプレハブユニットをクレーンで積み重ね、極力高所での作業時間を短縮する工法を採用した。ほかにも基礎の杭数も増やすなど補強を図ることで、支保工の安定性確保に努めた。

ハード・ソフト両面の安全対策と地域配慮

曾我晋也所長曾我晋也

富山の名所写真を合わせた階段階数の表示富山の名所写真を合わせた
階段階数の表示

橋梁の建設には様々な手法がある中で、今回のように地上から支保を組んでいくものとしては大規模な現場だ。
工事所長の曾我晋也は、「現場の設備面では安全側の補強をしているものの、これだけ高所作業が続けば不確定要素が多く、一歩間違えば、重大災害につながりかねません」と、日々緊張感を持って指揮している心情を語る。安全確保にあたっては、「打ち合わせや確認事項には細心の注意を払っています。1日に最低2回は現場を巡回していますが、何よりもコミュニケーションを取ることが重要だと思っています。これは安全面だけでなく、作業面でも必要なことです」と強調する。

現場の仮設足場の階段には、階数表示とともに富山県の名所や伝統祭事などが写真で紹介されている。これが1つのきっかけとなって、職員や作業員のコミュニケーション作りに繋がっており、見学者にも好評を得ている。
また、現場は住宅街が近接していることから、施工にあたっては低騒音・低振動の機械を使用するなどの配慮も欠かしていない。また、地元自治会の草刈り作業に参加するなど、地域と積極的に交流を図ることで工事に対する理解が得られている。

着実に経験積み重ね競争力を強化

工事所長の曾我は、全国各地の橋梁上部工に携わってきたエキスパート。それぞれの工事に思い入れがある中で、今回受注した工事は「形状として難しいという印象がありました」と振り返る。本体工が完了し今後は仮設の解体作業が中心となる。現場の無事故・無災害時間は、着工から8万時間を超え、曾我所長は、「これから本格化する解体作業が最も危険です。最後まで気を抜かず、安全に工事を完成させます」と意気込みを語る。

海洋土木を主力とする当社において、橋梁上部工も着実に経験を積み重ねてきている。特に今回のように、海上に橋を架ける場合は、海洋土木の経験を大いに活かすことができる。これまで培ってきたわが社の経験や実績を、強みとして活かすことが、当社の競争力強化へと繋げる架け橋となるだろう。

工事名称 平成19年度【国債】伏木富山港(新湊地区)道路(東西線)橋梁(P23〜P25)上部工事
施工者 五洋・あおみ特定建設工事共同企業体
工期 2007年9月28日〜2010年2月26日
工事場所 富山県射水市堀岡新明神地先
工事概要 形式 2径間連続箱桁橋
桁長 121.0メートル
幅員 車道9.5メートル
歩道3.0メートル
勾配 横断勾配2.0パーセント
縦断勾配4.0パーセント


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