ページの先頭です
ページ内移動用のリンクです



このページは、ホームの中のソリューション・技術の中のプロジェクトの中のプロジェクトストーリーの中の平成19年度名古屋港飛島ふ頭南岸壁(-16m)本体築造工事のページです。

平成19年度名古屋港飛島ふ頭南岸壁(-16m)本体築造工事。ジャケット工法で大水深岸壁を急速施工

1万TEU級の超大型コンテナ船に対応

飛島ふ頭は名古屋港の西部地区に位置し、主に日用品や電気製品などのコンテナ貨物を扱うふ頭だ。国際競争力の強化のため、ふ頭南側に大水深(−16m)の高規格コンテナターミナルの整備が計画され、2002年から整備に着手、第1バースが2005年に供用を開始した。

そして引き続き、第2バースの建設が始まり、完成すると1万TEU(※)を超える世界最大級のコンテナ船にも対応が可能になる。さらに、第3バースの整備も計画されており、3バース合わせた年間のコンテナ貨物取扱量は100万TEUを目標としている。

現在整備中の第2バースは、延長350mで、このうち250mは2007年度築造を終えており、残りの100mが当社を代表とするJVで2008年8月に完成を迎えた。

施工にあたっては、「ジャケット工法」が採用された。工場製作により品質が確保されるとともに、急速施工を可能にし、トラス構造で強度も高い。また、ジャケットの据付精度を向上させ、誤差を標準値の約半分に抑えた。品質管理面では、杭に影響を与えないように、捨石投入時にモニタリングを行い、コンクリート床版ブロックは「T&C防食工法」を採用し、劣化を抑制した。

※TEU(twenty-foot equivalent units):コンテナ船の積載能力を示す単位。1TEUは20フィートコンテナ1個分を示す 。

飛島ふ頭南コンテナターミナル完成イメージ

  • 鳥瞰図鳥瞰図
  • 断面図断面図

鋼管トラス構造と支持層までの打設で耐震性能を確保

工事所長 後藤隆志工事所長 後藤 隆志

この工事で採用した「ジャケット工法」は、工場で鋼管のトラス構造物(ジャケット)を製作し、現場で打設した杭に固定する方法だ。上着(ジャケット)を羽織るように見えることに由来する。

同工法は、鋼桁のため上部工を軽量化し、これに伴い杭本数を減量することができるほか、三角形を基本とするトラス構造で剛性に優れる。ジャケットは工場製作で安定した品質を確保し、製作中に現場で基礎工や杭打設を行うことで、工期の短縮が可能になる。経済的な工法として岸壁工事に使われるほか、羽田再拡張工事の桟橋部分でも採用されている。

現場周辺は河川が多く、堆積土砂が地層となっており、決して良い地盤とは言えない。ジャケットを支持層まで確実に打設・固定する鋼管杭の長さは平均で約75mにもおよぶ。当工事の工事所長である後藤隆志は、「この支持層への打設とジャケットのトラス構造で東海地震(予測・震度6弱)にも対応できる耐震性能を確保しています」と語る。

ジャケット現場まで台船で運搬したジャケット

高精度の杭打台船とガイド杭で施工を効率化

リーダー式杭打台船でC列鋼管杭打設の様子リーダー式杭打台船でC列鋼管杭打設の様子

ジャケットは1基あたり50×37.5m(約570t)、工事では2基を三重県津市の工場で製作し、台船に載せて現場まで運搬した。ジャケットを支える鋼管杭は、ジャケット1基に対して1列5本、3列で15本あるが、まず陸側の列(C列)5本の鋼管杭を打設した。この際に、添え木の役割を果たし、高い精度で杭打設を行うリーダーと呼ばれる設備を備えた杭打台船を採用。標準誤差±50oに対して当社は±25oの高い精度で打設することを提案し、施工した。

ジャケット据付はジャケットの鋼管杭にはめ込む部分(レグ)を鋼管杭に挿入するのだが、C列の5本の鋼管杭のうち、中央の1本の杭をガイド役として、施工を効率化した。

このガイド鋼管杭は、他の4本よりも1m程度高く、打設後は突き出ており、レグをガイド鋼管杭に1m程度挿入しても、左右の鋼管杭にはレグが触れない。この状態で上面から見ると、車のハンドルのようにジャケットを左右に動かすことができ、これにより位置を調節し、残る4本の鋼管杭にレグを挿入する。5本すべてを1度に挿入する場合では調節に時間を要するが、ガイド鋼管杭を使うことで、スムーズな施工が可能になったほか、挿入時にレグと杭の衝突による杭の変位も防ぐことができた。

C列に挿入した後は、ジャケット上面から、海側(A列・B列)の鋼管杭を打設して完了する。

なお、ジャケット2基の鋼管杭は30本であるが、2007年度に行った隣接するジャケット据付工事で、C列の鋼管杭2本を先行して打設していることから、今回の工事では28本を打設した。

ガイド鋼管杭を使ってジャケットを据付ガイド鋼管杭を使ってジャケットを据付


ジャケット工法による施工フロー(提供:国土交通省中部地方整備局 名古屋港湾事務所)

画像を拡大する

コンクリート床版ブロックの品質確保を徹底

塩害対策にT&C防食薬剤を塗布塩害対策にT&C防食薬剤を塗布

ジャケット上部に敷設するコンクリート床版ブロックは120枚あり、現場に近い弥富埠頭で製作し、起重機船で海上運搬(1日に約20枚)した。

製作は、底面の平坦性を確保するため、型枠支保工を組んだ。また、一般的な梱包材としても知られるエアキャップシートを養生マットで挟んだ状態で、コンクリートの湿潤養生を行ったほか、携帯電話を活用して生コンクリートの性状を効率的に管理できる当社の「コンクリートの品質管理システム」を運用し、安定した品質を確保した。

一方、ブロック間の境界(打継面)は現場打ちコンクリートであることから、ここの耐力・耐久性をしっかり確保しなければならない。そこで、ブロック側の型枠内面に処理材を使用して型枠解体後に洗浄し、打継面の骨材を洗い出した状態にすることで、コンクリートとの付着性能を向上させ、ブロックとコンクリートを一体化させた。さらに床版底面は塩害対策として「T&C工法」を採用した。

綿密な調整で円滑施工と安全管理

現場は民間・公共事業者が供用中の岸壁に挟まれているだけでなく、背面部に隣接した陸側では民間による別の工事が同時に行われており、周辺への十分な配慮が不可欠であった。厳しい工期の中で円滑に工事を進めるため、「それぞれの岸壁管理者や施工者に対し、使用する工事用船舶の航行スケジュールを明示し、綿密な調整を行いました」と後藤は振り返る。

安全面では、少しでも多くの危険の芽を摘み取り、災害を防ぐため、月3回の安全パトロールに加え、直接工事に携わっていない協力会社の安全管理者に、現場とは違う観点で危険要因がないかをチェックするパトロール監視を行ってもらった。

名古屋港の発展に貢献

2008年8月8日までの工期で、無事完成を迎えた岸壁は、その後、ガントリークレーンなどが整備され、12月に供用開始となった。

後藤は、「国際的にコンテナ取扱量を増加させていくには、岸壁と航路を大水深化し、大型船に対応することが求められます。本工事完了で、接岸する岸壁は水深が16mとなりますが、航路は浅いままで今後は泊地の整備も必要になります」と語る。

岸壁整備にあたっては、既設桟橋の撤去や地盤改良等工事、端部の土留工事なども行われており、いずれの工事も当社が施工に参加している。名古屋港全体で見ても、当社の実績は多く、貢献度も高い。臨海部ナンバーワン企業を方針に掲げる、当社の技術と施工能力が存分に活かされている。

工事名称 平成19年度名古屋港飛島ふ頭南岸壁(‐16m)本体築造工事
発注者 国土交通省 中部地方整備局
施工者 五洋・あおみ建設特定建設工事共同企業体
工期 2007.7.9〜2008.8.8
工事場所 愛知県海部郡飛島村東浜
工事概要 基礎工 基礎石・被覆石投入均し 28,304m3
本体工 ジャケット製作・運搬・据付2基(560,570t/基)
鋼管杭打設28本(ø1,300 L=76,372m)   
上部工 床版製作・据付 120枚
コンクリート 1,481m3
鉄筋 549.200kg
防食工 一式
付属工 一式
舗装工 2,919m2


ページの終わりですページの先頭へ戻る