建設業界と五洋建設の未来
Future of the construction industry and the company
建設業界は国内外での受注活況の一方で、競争激化や収益確保の難しさなど、取り巻く問題も多いと思います。今後の建設業の展望について、どのように考えていますか?
2014年6月社長就任以来、建設業を取り巻く事業環境は、アベノミクスの推進により官民ともに堅調な建設投資に加え、東日本大震災からの復興、東京オリンピック・パラリンピック関連やインバウンド関連の需要増加等、良好に推移しました。世界的に流行した新型コロナウイルス感染症の影響からは脱しましたが、新たにウクライナ情勢や中東情勢などの地政学的リスクとそれによる原材料・エネルギー価格の高止まりに加え、2024年問題による物流コストの増加や人手不足、供給制約等による物価上昇、金融資本市場の変動等もあり、先行き不透明な状況が続いています。
国内においては、国土強靭化をはじめ経済を支えるインフラ整備に関する高水準の公共投資が、また、経済安全保障やカーボンニュートラル推進の観点からの民間設備投資がそれぞれ堅調に推移しています。海外においても、当社の拠点であるシンガポール、香港をはじめ、東南アジアやアフリカでインフラ需要は旺盛です。また新しい分野として、我が国の洋上風力発電施設の建設もいよいよ本格化します。これまで培ってきた海洋土木技術を生かして進取の精神で取り組みます。
これから5年、10年先の建設業界において、五洋建設はどのような優位性を発揮し、どのような企業へと成長していくのでしょうか?また、それを成し遂げるための課題は何ですか?
五洋建設グループは、サステナビリティ経営を実践する「真のグローバル・ゼネラルコントラクター」を目指しています。「真のグローバル・ゼネラルコントラクター」とは、土木部門・建築部門・国際部門の部門間の垣根が無く、国籍・性別によらず多様な人材が生き生きと働き続けられる、部門間連携とDE&I(Diversity, Equity & Inclusion)が当たり前の会社です。
当社グループは、「良質な社会インフラ・建築物の建設こそが最大の社会貢献」と考えて、建設事業活動を行います。事業活動において、技術に裏打ちされた確かな安全と品質の提供はもちろんのこと、ESG(環境、社会、企業統治)の観点から、あらゆるサステナビリティの課題に真摯に取り組むことで、臨海部と海外に強みを持つ真のグローバル・ゼネラルコントラクターとして社会の持続的発展に貢献します。
今後、五洋建設で重点的に投資を進める対象はどのような分野でしょうか?
重点的に投資する分野は、我が国でいよいよ本格化する洋上風力発電建設分野であり、そのトップランナーを目指します。洋上風力発電施設の建設に不可欠なSEP型多目的起重機船の建造(2019年度完成の800t吊クレーンを搭載したCP-8001、2023年度完成の1,600t吊クレーンを搭載したCP-16001、現在改造中の1,600t吊クレーンを搭載した3隻目のSEP船など)、必要な作業船(大型基礎施工船HLV、ケーブル敷設船CLVなど)や機器の設備投資を重点的に進めます。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進のための基盤整備や、ICT・AIを活用した現場の施工管理の効率化・高度化やBIM/CIMの活用推進、プレキャスト化等の現場の生産性向上に関わる技術開発や現場への展開を積極的に進めます。
さらには、ZEB(Zero Energy Building)や建設発生土・浚渫土リサイクル等、環境分野の技術開発と実プロジェクトでの積極的な適用を推進します。今後も競争力強化のために必要な技術開発や設備投資をしっかりとやるつもりです。
五洋建設で働くことの面白さや醍醐味はどういったところとお考えですか?
サステナビリティ経営を実践する「真のグローバル・ゼネラルコントラクター」を目指すという明確なビジョンのもと、他社にない特徴を持った会社として将来を見据えて仕事に取り組むことができるのがわが社の面白さではないでしょうか。われわれの技術力を発揮することでお客様に信頼され、社会に貢献できることです。社員の皆さんが働き甲斐のある会社にしたいと考えています。
