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What's New

浚渫土砂を効率よく分級しリサイクルするシステムを開発
〜埋立地の減容化に効果、環境資材や土木資材、地盤改良材にも利用可能〜

2005年01月18日

五洋建設株式会社(社長:鉄村和二郎)は、港湾、河川、湖沼等の浚渫工事で発生する浚渫土砂から砂分と細粒分を選別回収する 「浚渫土砂分級システム」 を開発し、このほど現場施工によりその有効性を確認しました。
このシステムにより、軟弱な浚渫土砂から良質でリサイクル可能な砂分と、分級後の濁水からも細粒分を回収することで土砂処分量を軽減でき、埋立処分場の減 容化(延命化)が可能になります。特に、回収された砂分は環境資材としてリサイクル活用も可能なので、資源循環に寄与しながら港湾環境整備をすすめることができます。
今後は、当社底質環境浄化技術:P-Cute(Penta-Ocean Clean-up Technology of environment)のメニューラインナップに加え、事業提案に活用して参ります。

開発の背景

港湾整備事業等で発生する浚渫土砂は年間約3,000万m³と大量発生しており、その大半は埋立地に投入されています。しかしながら、最近では埋立地の残余年数が減少するとともに、新規埋立地の確保が困難になっており、浚渫土砂処分が大きな課題となっています。一方、沿岸域の自然再生事業や海域環境創造事業などでは、干潟の造成や水質浄化目的の覆砂など大量の土砂が必要で、浚渫土砂を積極的にリサイクル材料として活用していくことが期待されています。
従来、大量の浚渫土砂を分級して砂分を回収する場合でも、細粒分は濁水として埋立地にそのまま投入され、水を多く含んだ状態で沈降・堆積していました。こうした背景から、浚渫土砂の減容化やリサイクル利用へ向けた取組として、比較的砂分の多い浚渫土砂から良質な砂分を回収するとともに、同時に細粒分のリサイクル活用も視野に入れた浚渫土砂リサイクル技術の開発が望まれていました。

技術概要

本システムは、浚渫土砂の分級処理〔=管路分級工法〕と分級後の細粒分を含んだ濁水処理〔=クレイフィルタ工法〕の2つの新工法で構成され、従来方式では困難であった濁水に含まれる細粒分の大量処理までを、砂分の回収と平行して行なえるものです。
管路分級工法は、土砂圧送中の管路途中で連続性を損なわずに浚渫土砂を砂分と細粒分に分離し、砂分のみを回収する工法で、既存のポンプ船やバージアンローダ船との組み合わせで大量処理が可能です。
また、クレイフィルタ工法は、特殊なドレーン材を用いてシンプルな設備で効率よく濁水を脱水・ろ過し、細粒分の回収と処理水の直接放流を可能にした濁水(細粒分)処理工法です。2工法はそれぞれ単独の工法としても適用可能です。

システム全体フロー
<システム全体フロー>
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管路分級工法

スラリー状で排砂管の中を輸送される浚渫土砂が、拡幅された分級装置内で流速低下し、砂分のみが浮遊限界流速以下になって沈降・堆積することを利用した分級技術です。装置内は砂分以外が沈降・堆積しない流速で維持され、連続性を損なうことなく処理されます。堆積した砂分は、分級完了後にラインを別の分級装置に切り替えてから回収します。

管路分級工法(海上施工の場合)
<管路分級工法(海上施工の場合)>
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クレイフィルタ工法

脱水(あるいは、ろ過)水槽へ濁水を注入し、あらかじめ設置しておいた特殊ドレーン材の一端から真空ポンプでドレーン材に負圧をかけ、濁水をドレーン材から吸い上げるとともに、ドレーン材のフィルタ効果等で濁水を脱水(ろ過)処理します。ドレーン材に付着した細粒分を回収することで濁水を減容化でき、固化処理等の事後処理によって細粒分をリサイクル利用することも可能です。

管路分級工法(海上施工の場合)
<管路分級工法(海上施工の場合)>
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開発技術の特長

管路分級工法

  1. 砂分回収率が高い
    大量の浚渫土砂から回収率約90%で砂分を回収できるため、効率よく施工できます。
    また、回収した砂分には細粒分が5%程度しか含まれていないので、海砂と同様に有効利用できます。
  2. 分級後の細粒分も連続圧送
    土砂圧送中の管路途中で分級するため、分級処理後の細粒分は連続性を損なうことなくそのままのラインで圧送されます。
  3. 大規模施工が可能
    既存のポンプ浚渫船との組み合わせで大規模施工が可能です。
  4. 処理設備がシンプル
    大がかりな機械設備は不要で設備自体がシンプルです。

クレイフィルタ工法

  1. シンプルな設備で大量濁水処理が可能
    特殊ドレーン材の枚数や面積を容易に調整でき、シンプルな設備で大量な濁水を効率よく処理できます。(最大処理能力約500m³/hr)
    また、ドレーン材に付着した細粒分は、その付着厚さの増加に伴い簡単にドレーン材からはく離できるため、真空脱水(真空ろ過)とはく離を繰り返すことにより効率的な処理ができます。
  2. ろ過水は直接放流が可能
    ドレーン材のフィルタ効果やドレーン材に付着した細粒分のろ過機能により、ろ過水は直接放流が可能な排水基準以下までに処理できます。
  3. 処理設備がコンパクト
    従来型の処理設備に比べ大がかりな機械設備が不要で、コンパクトなシステムです。
    また、運転操作の自動化も可能です。

施工フロー

概略施工フローは次の通りです。

  1. 浚渫土砂スラリーを圧送。
  2. 流量計を用いて設定流速に制御して定量圧送。
  3. 分級装置内で分級処理→分級砂回収。
  4. 分級後の濁水(細粒分)は同じラインで所定場所へ圧送。
  5. クレイフィルタ装置にて濁水(細粒分)を脱水あるいはろ過処理。
  6. ドレーン材に付着した細粒分の回収(→場合により、固化処理等)。
  7. ろ過水は基準値以下であれば周辺水域へ直接放流。

利用用途

分級砂

  1. 干潟、覆砂、藻場造成材などの環境材
  2. 盛土、埋立、路床、路盤材などの土木資材
  3. サンドドレーン、サンドコンパクションパイルなどの地盤改良材

細粒分

  1. 人工干潟の埋立材(脱水ケーキのまま)
  2. 盛土、埋立、路床、路盤材などの土木資材
    サンドドレーン、サンドコンパクションパイルなどの地盤改良材(造粒固化処理後)

このほど関東地方の浚渫工事で、「浚渫土砂分級システ ム」を用いて土砂スラリー量200m³、能力100m³/hr程度の処理を行なったところ、採取した砂分の粒度特性など一般的な海砂と同等の品質で、砂分回収率も90%程度(砂分乾燥重量比)と効率のよい処理が施工できました。
また、濁水(細粒分)処理についても、減容化された細粒分の回収や、施工場所の上乗せ排水基準を満足するろ過水放流が施工でき、本システムが有効であることを実証できました。
今後は施工能力1,000m³/hrのシステムとして実工事への本格適用をめざしてまいります。

当社は浚渫土の大量連続処理技術として既に「エコスクリューシステム」や「管路ミキサを使った造粒固化処理工法」 を有しています。今回開発した本システムは、対象土砂の砂分含有量が比較的多い場合への適用を想定しており、これを当社の底質環境浄化技術:P-Cuteのメニューラインナップに新たに加え、浚渫土砂の土質特性や処理量、求められるリサイクル品の規格やコストに応じた最適な技術提案に活用してまいります。



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