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What's New

大量浚渫土砂のリサイクル技術を実用化

2004年05月28日

五洋建設株式会社(社長:加藤秀明)は、港湾、河川、湖沼等の浚渫工事で発生する大量の浚渫土砂を、盛土材・路盤材などの土木資材や干潟材・覆砂材などの環境材料として有効利用するための 「高含水泥土造粒固化処理工法」 を開発し、このほど実証実験や長期モニタリングでその有効性を確認しました。連続処理能力の高い管路ミキサと造粒に必要な添加材の配合ノウハウにより、これまで港湾整備において廃棄物処分されていた大量の軟弱浚渫土砂を、連続して環境材料などにリサイクル処理できるようになります。本工法の実用化を果たしたことで、当社は循環型社会に配慮した港湾整備工事を進められる体制を整えました。

開発の背景

港湾整備事業で発生する大量の浚渫土砂は、処分場や埋立地に投入されていましたが、最近では処分場の残余年数が減少するとともに、新規処分場の確保が困難になっており、浚渫土砂処分が大きな課題となっています。また、沿岸域の自然再生事業や海域環境創造事業では、干潟の造成や水質浄化目的の覆砂など大量の土砂が必要で、浚渫土砂を積極的にリサイクル材料として活用することが期待されています。
軟弱浚渫土の大量連続造粒固化には、材料を混練する高性能なミキサと、リサイクル用途に応じて粒径や性状を確保する材料配合ノウハウが必要です。当社は既にハイファンクションミキサを活用した建設汚泥リサイクル技術を保有していますが、処理能力は25m³/hr程度と中・小規模の施工を対象としています。こうした背景から、より大量の浚渫土砂を連続処理し、大規模施工にも対応できるリサイクル技術が望まれていました。

技術概要

本工法は、管路ミキサという内径400mm程度の筒状の混練装置を用いて、浚渫土砂に固化材と吸水力のある水溶性ポリマー(疎水化材)等の含水比調整材を添加・混練し、粒状に改良するものです。混練装置には管路処理システム※を採用し、圧送管路内に設けられた管路ミキサ(混練装置)と精密計量可能な粉体供給機で、土砂と添加材を効率よく混練します。添加材は粉体供給機で撹拌軸に圧入され、回転している撹拌軸の噴射口から撹拌軸を通して土砂内に直接噴射されます。これにより添加材は土砂に均一に添加され、さらに撹拌翼で混練することにより、高品質な造粒処理が可能です。

※管路処理システム
管路処理システム研究会(2003年7月発足、会長:千田昌平、会員27社)の保有技術で、管路ミキサと粉体供給機で安定した品質の改良土を製造するシステム。事務局は(株)トーメック。

開発技術の特長

  1. 連続混練方式で大規模施工可能
    装置は長さ5m×幅1m×高さ1m程度のコンパクトなシステムながら、連続処理できるので大量急速にハンドリングに優れた粒状物への処理が可能です。処理能力は100m³/hr程度で、従来比4倍の能力です。たとえば、大量の浚渫土をリサイクル処理する場合、従来の装置や調整材を使用するのに比べ、10〜30%程度処理コストを低減することが期待できます。
  2. 砂の代替材として利用可能
    高含水比の浚渫土砂を粒状に造粒固化処理します。処理土は従来の粒状リサイクル材料と同様に、土木資材や環境材料として利用できます。
  3. 廃棄物の含水比調整材への利用でコスト低減
    吸水力のある水溶性ポリマー(疎水化材)のほか、石炭灰や製紙灰、古紙などの廃棄物を含水比調整材として利用でき、材料調達コストは安価で低コストに処理が可能です。
  4. 管路ミキサによる優れた混練性
    密閉した管路内のミキサ軸部から直接土砂中に添加材を吐出するため、混練性が優れており、また、粉体添加であっても粉塵などの飛散がありません。

施工フロー

  1. 浚渫土砂の含水比を調整します。
  2. スクイズポンプなどのポンプにより、土砂を管路ミキサ内へ定量圧送します。
  3. 管路ミキサ内で、土砂に固化材や含水比調整材を添加します。
  4. 管路ミキサにより、土砂、固化材、含水比調整材を撹拌混練します。
  5. 管路ミキサ出口から、ベルトコンベアにて処理土を排出します。
  6. 必要に応じて数日間仮置き養生します。

利用用途

  1. 干潟、覆砂、藻場造成材などの環境材料
  2. 盛土、埋立、路床、路盤材などの土木資材
  3. サンドドレーン、サンドコンパクションパイルなどの地盤改良材

このほど管路ミキサを使って、20m³/hr程度の処理能力で実証実験を行った結果、処理土強度や粒度特性などは従来の粒状材料と同等の品質であり、100m³/hr程度の処理能力として実用できることを確認しました。また人工干潟材としての生物生息に関しても、2001年10月から東京湾内の実海域で長期モニタリング中で、その効果は引き続き確認していく予定です。

大量の浚渫土砂をリサイクル材として利用可能なレベルに造粒固化する技術の実用化は、海洋土木市場でこれが初めてであり、これにより当社の循環型社会に配慮した環境関連技術メニューは一層充実します。今後は港湾整備の実工事における早期適用をめざし、積極的に工法提案を進めてまいります。


高含水泥土造粒固化処理工法の実証実験全景
(クリックで拡大)


管路ミキサ
(クリックで拡大)



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