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札幌東宝公楽ビル新築工事(札幌支店)

生まれ変わるススキノのランドマーク

現場位置図現場位置図

JR札幌駅から、まっすぐ伸びる駅前通を南に15分程歩くと、駅前とは雰囲気の異なる繁華街が現れる。日本三大歓楽街のひとつ、ススキノだ。その地に、90年以上ランドマークとして佇み、ススキノを行き交う人々を見守り続けてきた札幌・東宝公楽会館があった。前身はかつてススキノの地域おこしとして設立された映画館「美満壽館」(大正10年設立)である。その後は映画館だけでなく、昭和の時代を象徴するキャバレー(大型社交場)がテナントとして入るなど、時代と共に歩んできた。
その東宝公楽会館も老朽化が進み、土地・建物を有効に活用するという観点から、この秋に生まれ変わることとなった。当工事はその解体から建て替えまでを担う一大プロジェクトだ。建て替え後、メインとなるのはボウリングなどの屋内遊技場として有名なラウンドワン。メインターゲットである若者をススキノに呼び寄せ、活力を生む原動力となることが期待されている。

  • 解体前の札幌東宝公楽会館解体前の札幌東宝公楽会館
  • 完成予想図(外観)完成予想図(外観)

新しい複合商業施設の誕生

完成予想図(エントランス)完成予想図(エントランス)

建物構造は、地下1階地上9階建となっており、地上9階部分の内、3フロアがボウリング、4フロアがゲームセンター、2フロアがカラオケ他となる。株式会社ラウンドワンがそれらのアミューズメント施設部分を賃借し、運営する。その他、飲食店やコンビニエンスストアなども入居する予定である。繁華街という限られたスペースの有効活用策として機械式駐車場も併設する。

限られた敷地における困難な地下解体

既存の建物が敷地ぎりぎりまで占有していたため、通常の解体工法に準じて、山留めを敷地内に設置することはできない。現場に隣接する道路は交通量が多く、工事のために占有することは極力避けたい。また地下には地下鉄南北線の他、JR札幌駅から続く地下歩行空間が存在しているため、万が一の場合は大きなリスクを伴う。これらの状況から、発注者や札幌市と協議の上、当工事では、周辺へ細心の注意を払い、既存の構造物を一部利用しながら丁寧に躯体を撤去する事で、周辺環境を維持しながらスムーズな解体を行った。都市部の限られた敷地における困難な地下解体であった。

迫る冬 課題を克服し工期短縮

当建物は地下がSRC造、地上がS造である。このような構造では、地下のSRC造を施工後、地上のS造を施工するのが一般的だ。しかしSRC造は他の工法よりも施工に時間を要する。地下部分に工期を費やしてしまうと、地上部分の鉄骨工事が真冬にあたることが判明した。雪国では冬が訪れる前に鉄骨を組みあげ屋根をかけるなどの積雪対策をとることが定石である。迫る冬を前に、工期の短縮が課題となった。
工期短縮策として、地下と地上の鉄骨工事を同時施工することになった。しかし今度は構造上の問題が発生する。SRC造は鉄筋コンクリートの芯部に鉄骨を内蔵した構造で、コンクリートを使用する分頑丈だが鉄骨そのものは細い。よって同時施工では、地下のコンクリートを流す前の地下の鉄骨は細く、地上の鉄骨は太いという構造になるため、仮設や全体構造の実現性を慎重かつ十分に検討しなくてはならない。
当現場では本社技術部との検証作業や設計事務所との協議を重ね、技術力を集約させ施工にあたった。そして、SRC造の地下とS造の地上の同時施工という難工事を克服し、施工時の安全性確保と工期の短縮を実現させた。

繁華街ならではの厳しい条件の連続

繁華街という厳しい立地条件での施工は、苦労の連続である。 当施設の一部となる予定のボウリング場は、その性格上空間内の柱数が制限されることから、スパン(梁間)22m、重量9tという巨大な梁を用いている。その梁を路上で地組みしてから大型レッカーにて吊り上げ、鉄骨を建てた。また当現場は一方通行2車線の道路に面し、1車線をレッカー置き場として占有しながらの施工となった。 夜のススキノは一般車両や通行人に加え、飲食街を行き交う人々も多い。些細な事でも第三者災害に繋がるという緊張感が、常に現場に張りつめ、細心の注意が払われた。自転車を降りて通行するよう声掛けをしたり、通行人を誘導するなどのガードマンによるきめ細やかなフォローを継続し、無事故を実現させた。

  • 施工中の様子(昼)施工中の様子(昼)
  • 施工中の様子(夜)施工中の様子(夜)

厳しくも前向きに、自分ならではの付加価値を”

完成予想図(エントランス)

建物や道路が密集し、その間を多くの人や車がすりぬける繁華街での工事は、圧倒的な存在感をもつ。だからこそ、当工事の工事所長、松本圭司は常に周囲からの視線を意識している。クリスマスの時期には、クリスマスツリーの頂点の星を模した五洋マークの電飾を飾り、サンタクロースに扮したとび職が、行き交う人々の目を楽しませた。
仮囲いにも、所長ならではのアイディアが生きている。また、ラウンドワンの看板が掲げられるまで、大きなMr.Pentaがススキノを行き交う人々の注目を浴びる。

工事所長 松本 圭司工事所長 松本 圭司

松本は「無事故、無災害で竣工させるのは当然のこと。あとは自分が担当することでどれだけ付加価値がつけられるかということを、いつも意識して仕事をしています。ただ建物を建てるだけならばどこの建設会社でもできます。五洋建設のこのメンバーだからこそできる建物を提供し、そしてお客様に気にいっていただけたら最高です」と語る。その厳しくも前向きな姿勢が、完成物のクオリティを高めるだけでなく、関わる人たちを楽しませるアイディアにも繋がっている。
当工事は繁華街での施工という点が最も特徴的であり、難工事の所以である。しかし完成後はその立地こそが最大の強みとなり、多くの人々が集うスポットとしてススキノを盛り上げていくであろう。

工事名称 札幌東宝公楽ビル新築工事
施工場所 北海道札幌市中央区
工期 2014年2月1日〜2015年10月31日
発注者 東宝(株)
設計 (株)三菱地所設計
監理 (株)三菱地所設計 札幌支店
施工者 五洋建設(株)
工事概要 主要用途 飲食店、アミューズメント(遊技施設)、ボウリング場、駐車場
構造 地上9階 鉄骨造
地下1階 鉄骨鉄筋コンクリート造
敷地面積 1,252.93m2
建築面積 1,112.26m2
延床面積 10,922.42m2


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