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北海道新幹線 大平線路橋建設工事(青森県)

現場全景

JR津軽海峡線の上に鋼下路形式ローゼ橋を建設

現場位置図現場位置図(画像拡大)

青森県津軽半島の北東部に位置する外ヶ浜町。
津軽国定公園龍飛崎をはじめ、海と山に囲まれた自然豊かなこの町で、現在、北海道新幹線整備事業の一環として大平線路橋建設工事が進められている。

この北海道新幹線(新青森・新函館(仮称)間)整備事業は、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)が地域の経済発展や国民生活領域の拡大を図ることを目的とし、2015年度末の完成に向け、新青森〜新函館(仮称)間(約149km)を結ぶものである。 このうち、青函トンネルを含む82km区間は、在来線と新幹線が共用するため、本州方の合流場所となる大平線路橋工事は、北海道旅客鉄道株式会社(JR北海道)がJRTTより委託され、建設を進めている。

この線路橋工事のうち、当社は、2011年11月からJR津軽海峡線の下り線に架かる延長70mの鋼下路形式ローゼ橋(鋼重523.7t)の架設と前後のコンクリート桁、それに伴う基礎杭、橋脚、路盤、防音壁など一連の高架橋建設工事を担当している。

厳しい時間制約の中での横取り架設

ローゼ橋の架設工事では、JR津軽海峡線の運行を確保しながら架設する工法として、横取り工法が採用された。これは隣接したヤードにローゼ橋を完成形まで予め地組し、地組箇所と最終設置個所まで結ぶ架設桁上を、水平方向に21.5 m横移動させて所定の位置に架設する工法である。

横取概要図横取概要図 (画像拡大)

横取り工法の駆動装置としては各種あるが、当工事では、ローゼ橋の重量が大きいため、安全性に配慮し、油圧式横取り装置(50t水平ジャッキ)を採用した。この装置は架設桁上に設置した油圧ジャッキを水平方向に伸縮を繰り返すことによって、尺取り虫のように橋を移動させるものである。

JR津軽海峡線の架線は電車走行のために送電(2万ボルト)されており、このような高圧線に近接した作業では、感電の危険性があるため、き電停止(架線への送電を停止)の状態で行う必要がある。また、JR津軽海峡線の運行に影響を及ぼさないき電停止時間帯は、1夜間2時間(午前1時〜午前3時)と制限されていた。

横取り工法のための水平ジャッキ横取り工法のための水平ジャッキ (画像拡大)

こうした、厳しい時間的制約をクリアするため、さまざまな検討を重ねた。横取りの作業時間短縮を図るために、1ヵ所あたり水平ジャッキを2基用意し、伸ばし側と縮み側のジャッキを交互に伸縮を繰り返すことによって、水平ジャッキのセットにかかる時間待ちを無くすことにより、当初見込んでいた時間よりも早く、正確に水平移動を完了することができたのである。

  • 横取り前状況横取り前状況
  • 横取り完了後横取り完了後

インフラ整備による地域の発展に向けて

施工場所は、周囲を山に囲まれており、夏季は短く冬季が長い。冬季は偏西風が強い上に、降雪量が多く日照時間も短い。また、年間を通して風が強く、ローゼ橋のアーチ部では地上よりもさらに強風となることから、気象を配慮した工程計画と施工方法の立案が必要となる。

工事着手後、橋脚工では大掛かりな防寒養生を必要とする冬季の施工を避けるため、綿密な工程調整および施工管理を行い、厳冬期を避けて6脚すべてを完了させた。冬季に行ったローゼ橋の地組作業では、溶接風防設備など工夫を施し、厳しい作業環境下でも作業を予定通り進めていった。
また、営業線に非常に近接しているため、飛散物で列車の運行に支障をきたさないよう、細心の注意を払い安全管理を徹底した。

ローゼ橋横取り作業が完了し、これから床版工、吊足場解体作業、橋脚への最終据付作業など、在来線に最も近接する場所での作業となる。横取り作業以上に、近接作業における細心の注意と安全意識の向上が求められる。

総括所長 久保優総括所長 久保優

当工事の総括所長である久保優は、「北海道新幹線というわが国の大動脈となるインフラ事業に携わることができ、大変光栄に思うと同時にこのプロジェクトを無事完工させることに対して責任を感じています。労働災害防止はもとより、営業線近接作業となるので列車運行阻害など、利用される皆様にご迷惑をかけないよう、工事のため農地をお借りしている地元の皆様をはじめ、これからも関係者の皆様との関わりも大切にしながら、無事故無災害で工事を進めていきます」と語る。

2015年度末の北海道新幹線(新青森・新函館(仮称)間)の完成後は、新青森駅で東北新幹線と接続して、直通運転となり東京〜函館間の所要時間は現在の約5時間30分程度から約4時間程度と大幅に短縮される。利便性が向上することで生活圏の拡大、観光やビジネスの振興など、さまざまな分野での交流人口の増加が見込まれ、地域経済活性化に寄与することが期待されている。

この鋼橋架設工事によって、工事関係者や鉄道利用者の皆様に当社の技術力をアピールすることとなり、今後の営業活動の強みとなるとともに建設業の社会的役割をより理解していただける機会になるであろう。

工事名称 北海道新幹線大平線路橋建設工事
工事場所 青森県東津軽郡外ヶ浜町字蟹田大平山元
工期 2011年月11月11日〜2014年1月4日
発注者 北海道旅客鉄道(株)
施工者 五洋建設(株)
工事内容 ローゼ橋架設 橋長70m
橋台 3基 (橋脚6本)
T桁 5基


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