ページの先頭です
ページ内移動用のリンクです



このページは、ホームの中のソリューション・技術の中のプロジェクトの中のプロジェクトストーリーの中の弓削商船高専艇庫新営その他工事のページです。

弓削商船高専艇庫新営その他工事

海の上に艇庫を建設

施工場所

瀬戸内海の愛媛県と広島県の境にある弓削(ゆげ)島。フェリーに揺られ、島に降りてしばらくすると、国立弓削商船高等専門学校が見えてくる。当学校は、商船学科を持つ高専で、明治34年1月11日に創設、111年を迎える歴史ある学校だ。所有の練習船「弓削丸」や操船シミュレーター、最新式の機器等で教育実習しながら将来の船舶運航技術者や情報技術者、電子・機械技術者の育成をおこなっている。
そんな由緒ある弓削商船が、授業や部活で使用する短艇(カッター、ヨット)や救命艇を収容する艇庫を、海の上に建設することになった。既存の艇庫が県道の拡張工事により移転が必要となり、利便性などの問題から、新艇庫は海上への新設となったのだ。
その珍しい建設工事に、当社は強みを活かした総合評価での技術提案で、基準点100点(満点)プラス加算点20点の合計120点という高い技術点を獲得し、受注した。海洋土木の技術を活かして艇庫兼舟艇管理室を建設するという、当社の腕の見せどころの工事である。

完成予想パース完成予想パース

弓削商船断面図断面図(画像拡大)

床版の建設は、潮の満ち引きに合わせて施工

工期は約1年。2010年の2月より着手し、2011年1月までに新艇庫の建設と既存の艇庫の撤去を終了させる。
工事はまず、約1,140m2の人工地盤を築くため、直径500〜600mmの鋼管杭を海底に打ち込むところから始まった。5m間隔に約50本の鋼管杭を打設。その後、コンクリートで地盤となる床版をつくる。しかし、当現場では、潮の干満によって水位が3.78m変動し、満潮になると基礎が海に沈んでしまう。そこで、1日に2度訪れる引き潮に合わせて工程を組み、工事を急ピッチで行った。

  • 床版の型枠工の様子床版の型枠工の様子
  • コンクリートの打設状況コンクリートの打設状況

パズルのような施工計画

建物の骨組みとなる鉄骨建方は海側からも施工建物の骨組みとなる鉄骨建方は海側からも施工

土木工事で施工した人工地盤の上には、鉄骨2階建て、延床面積約720m2の艇庫を建設する。建築工事の課題は、海の上であること、そして十分な敷地がないことだ。建築工事が始まった当初は、現場が陸地より離れていたため、重機を陸地から敷地内に搬入することができなかった。そのため、重機を使った鉄骨の建て方などの工事については、海上からもクレーンで施工。建築工事と土木工事が同時進行する時は、同じクレーンを土木工事でも使用しなければならないため、潮が満ちれば敷地内にアームを長く伸ばし建築工事、潮が引けば床版が海面から上がるので土木工事、といったように潮の満ち引きを上手く利用してクレーンを稼働させた。

離島である弓削島への資材搬入には時間がかかるとともに、また海象状況によっては予定が大幅に遅れる。通常なら使用する資材は早めに準備しておくが、資材の仮置き場が十分確保できない場所であるため、台船や限られた敷地に仮置した資材も、施工の状況に合わせて頻繁に移動をせざるを得ない。「難しいパズルを手戻りのないように進めていくかのよう」と当工事の所長相津和幸が語るように、資材の搬入計画は、常に“先読み”をして、細かく入念に行われた。

  • 資材などは台船に仮置き資材などは台船に仮置き
  • 海上に組まれた建物の外部足場海上に組まれた建物の外部足場

経験者の知恵と工夫で難題を克服

艇庫からせり出したボートダビットの施工状況艇庫からせり出したボートダビットの施工状況

現場を一番悩ませたのは、ボートダビットの建設だ。それは、艇を海面に降下させるための渡り桟橋で、艇庫からせりだしている。相津は「安全な施工ができるように、特に足場を組む方法に悩みました」と振り返る。「海洋土木担当者、離島経験者、現場スタッフなど多くの方から意見やアドバイスを聞き、施工方法を決めました」と続ける。最終的に、足場は鋼管杭を利用して海上に組まれた。

珍しいからこそ大切にしたい工事

工事所長 相津和幸工事所長 相津和幸

12月中旬、工事はラストスパートに入った。新艇庫の建設はほぼ終了し、残すは既存艇庫の撤去工事だ。時間と闘った工事を振り返り、相津は「建築工事としては非常に珍しい工事ですが、五洋建設だからこそできた工事だと思います。海洋土木の知恵がなければ、短い工期の中で安全な施工方法を見つけ出せなかったでしょうし、品質を確保した艇庫を建設することは難しかったでしょう。珍しい工事であるからこそ、このような工事を大切にしていきたいです」と語る。

新艇庫は、デザインコンセプトである海上レストラン風の楕円形で、外壁の色彩は青空と調和したスカイブルーと練習船「弓削丸」の船体色であるホワイトに彩られた。舟艇管理室と一体化して機能も強化した新艇庫は、同島の新しい名所になりそうだ。

工事名称 弓削商船高専艇庫新営その他工事
工事場所 愛媛県越智郡上島町弓削太田
工期 2010年1月19日〜2011年1月31日
発注者 (独)国立高等専門学校機構 弓削商船高等専門学校
設計
基本設計(デザイン含む):
(独)国立高等専門学校機構 弓削商船高等専門学校
(独)国立高等専門学校機構 香川高等専門学校
実施設計:
(株)エイト日本技術開発
監理 (独)国立高等専門学校機構 弓削商船高等専門学校
(独)国立高等専門学校機構 香川高等専門学校
施工 五洋建設株式会社
工事内容 新築:艇庫棟
構造 鉄骨造
地上2階
建築面積 634.42m2
延床面積 718.00m2
解体撤去:管理棟、波浪測定棟室、船艇棟、便所棟


ページの終わりですページの先頭へ戻る