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「臨海部ナンバーワン企業」として新たな挑戦へ

海底の地盤を強固に改良する深層混合処理船(CDM船)「ポコム12号」が完成し、10月5日にお披露目式を開催した。
当日は、官庁や民間の発注者をはじめ、金融、マスコミなど幅広い関係者に出席いただき、総勢約260名で完成を祝った。
式典では、お披露目式の見学会に先立ち、建造を担当した(株)アイ・エイチ・アイマリンユナイテッドの蔵原成実代表取締役社長より当社代表取締役社長 村重芳雄に本船の引き渡しが完了したのち、命名式・入魂式を行い作業船の安全を祈念した。見学会後の祝宴会で、村重は「昨今、安全で環境に優しい施工が求められています。『ポコム12号』は、ECOシステムなどの最新技術によって新しい時代の要請に、これまで以上に応えられる作業船です。海洋土木のプロとして、わが国のみならず、世界の発展に寄与していきたい」と挨拶した。
当社グループは、ポコム2号、10号、11号に加え、洋伸建設(株)が保有している8号の計4隻のCDM船を保有しており、「ポコム12号」は、今後の港湾施設の課題である大水深化や延命化・耐震化に対応するため、CDM船としては約30年ぶりに新規建造された。老朽化した10号の後継船になる計画で、 12月には新海面処分場の護岸建設工事でデビューする予定。

  • 引渡式引渡式
  • ブリッジにて行われた入魂式ブリッジにて行われた入魂式
  • 祝宴会での鏡割り祝宴会での鏡割り

環境・安全・経済性を考慮したECO Shipを目指す

本船は、改良軸を回転させながら軟弱な海底地盤に貫入させ、セメント系安定処理剤を注入しながら撹拌・混錬し、セメントで改良された円柱を海底地盤に作る CDM工法(Cement Deep Mixing Method)の専用船だ。当工法は、大規模で強度が必要な地盤改良を早期に施工できるので、東京国際空港D滑走路建設工事でも採用された。 また、軟弱地盤をそのままの位置で改良できるので、産業廃棄物の排出がなく、さらに、無振動であるため周辺構造物への影響もない、環境に優しい工法だ。本船は、施工の精度向上だけでなく、従来のCDM船より環境面や安全面、経済性を考慮したECO Shipを目指している。

自動化施工システムなど新技術を搭載

「ポコム12号」は、全長60m、幅30m、全高:海面上61.3m。セメント系安定処理剤を海底の軟弱地盤に注入する改良機を備え、最深海面下−52m、最大改良層厚40m、改良面積4.65m2の地盤を改良することができる。
また、自動操船システムや自動打設システムを搭載しており、本船の移動や改良機の昇降、スラリープラントの運転など、集中コントロールによるワンマン運転が可能となった。施工の精度が向上するとともに、省力化が図れるので、乗組員に対する安全性も確保できる。

  • ブリッジの操作室ブリッジの操作室
  • 機関監視室機関監視室

CO2排出量の低減にも貢献

本船には、太陽電池および風力発電を搭載しており、電光掲示板や船内のLED照明などの発電にあてることができるほか、昇降ウィンチや操船ウィンチには、回生システム(減速時等のエネルギーを回収し、再利用するシステム)を装備し、燃料の節約に貢献している。
また、主要な駆動部は油圧式ではなく電気式を採用したため、省エネルギーで漏油の心配もない。発電機は、国際海事機関(IMO)が提唱する排気ガス規制に対応しており、室内に配置することで、環境への影響を一層抑制している。 さらに、船内にある燃料タンクは二重構造となっているので、万が一の際にも被害を最小限に抑えることができる。

  • 風力発電風力発電
  • 発電機室発電機室
  • オイルフェンスオイルフェンス

培われた伝統との融合

2009年11月に建造を開始した本船は、実際に地盤改良船で施工をしてきた関係者の声が多く取り入れられている。例えば、メンテナンス性を向上させるため、改良軸やワイヤーの交換がスムーズに行えるように工夫、また、改良機用のワイヤーは、内部の劣化状況を自動で検知するシステムを導入して安全性を高めた。さらに、乗組員が快適に従事できるよう、居住スペースは個室を設け、各部屋には冷蔵庫やテレビ、LANなどを整備している。さらに、お客様と打ち合わせに活用できるよう応接室も設けた。
このような提案は、長年、当社が作業船の工事に携わってきた経験から生まれたもだ。培われたノウハウ活かし、最新技術と融合させることで、新しい時代に応えられる粋の集まった船が完成した。

  • 居住スペース居住スペース
  • 事務室事務室

土木部門土木副本部長 山内 定義土木部門土木副本部長
山内 定義

海に囲まれた日本で、今後も継続して期待される海上工事の一つとして、地盤改良は絶対に欠くことのできない技術です。1979年にポコム2号が建造されてから、当社はCDM工法を活用して全国の海底地盤の改良工事に携わってきました。
ポコム12号の建造にあたり、当社やグループ会社である五栄土木(株)を始め、多くの関係者にヒアリングし、運転に必要な技術やトラブルの原因などを、詳細に解析してきました。これらの経験やノウハウは当社にとって大きな財産です。今後は、新しい時代を担う作業船として、ポコム12号が他のモデルとなって、時代を引っ張っていくことを期待しています。

土木部門土木本部船舶機械部長 久留島 匡繕土木部門土木本部
船舶機械部長
久留島 匡繕

現在、CDM工法は、国内のみならず世界から注目を浴び始めてきています。しかし、ポコム船のような大型船は、日本にしかありません。今後は、このポコム12号を通じて、当社が世界的にも「臨海部ナンバーワン企業」となれるように取り組んでまいります。
私が学生の頃、会社訪問で当社を訪れた時に、ポコム2号に乗船しました。特殊な船が活躍していた姿が印象に残っています。若い世代にも、このポコム12号から、作業船を使った海洋土木の魅力を感じとってもらえればと思います。

土木部門土木本部船舶機械部課長 八島 慎治土木部門土木本部
船舶機械部課長
八島 慎治

今回、主に電気を担当させていただきましたが、設計思想として、機器の故障時にバックアップできる機能を持たせるフェイルセーフに重点を置きました。このことにより稼働時間を少しでも長くできると期待しています。一番苦労した全自動打設を含め、世界を見渡してもどこにも負けない作業船ができたと思います。

土木部門土木本部船舶機械部係長 松藤 広行土木部門土木本部
船舶機械部係長
松藤 広行

数十年前、当社は30隻を越えるポンプ船、全体では100隻を越える船舶を稼働させていました。現在も、当社には海上工事で使用する船舶機械を計画立案し、建造・運用する技術があります。海洋工事をリードし続けるために、工事用船舶の建造に必要な技術の伝承は今後も大切にしたいと思います。この度、諸先輩の方々から多大なご指導を頂き、過去の経験やノウハウと最新の技術を活かし、ポコム12号が完成しました。本船から五洋建設のDNAを感じて頂ければ幸いです。
主要諸元
船体 船体寸法(L×B×D) 60×30×4.0m
計画吃水(満載) 2.50m
櫓全高さ 海面上61.3m
打設方式 船首打設方式
改良機能力 最大改良深度(海面下) 52.00m
最大改良層厚 40m
改良面積 4.65m2
掘削攪拌装置型式 電動4軸同期駆動
掘削トルク(最大) 定格:4.25ton-m(30RPM)
最大:5.30ton-m(30RPM)
改良機総重量 220ton
スラリープラント スラリー製造能力 70m3/h
ミキサー容量 2.5m3
スラリーポンプ 350L/min 22kW×8台
セメントサイロ 200t×2基(角型サイロ)
発電機容量 800KVA×4台
400KVA×1台
125KVA×1台
(total 3725KVA)


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