ページの先頭です
ページ内移動用のリンクです



このページは、ホームの中のソリューション・技術の中のプロジェクトの中のプロジェクトストーリーの中の新若戸道路沈埋トンネル部(7号函)製作工事のページです。

新若戸道路沈埋トンネル部(7号函)製作工事

海底トンネルを沈埋工法で建設

位置図位置図

慢性化しつつある交通渋滞に加え、2005年のひびきコンテナターミナルの供用開始に伴い、交通量の増大が見込まれている。そこで、新たな臨港道路として早期開通を目指し、新若戸道路の建設が進められている。

新若戸道路の海底部分は、沈埋工法によるトンネルで、車両が通る沈埋トンネルとしては九州初となる。沈埋トンネル工法は、沈埋函と呼ばれる鋼・コンクリート合成構造のブロックを海底で繋げることでトンネルを建設する技術。従来のシールド工法などと比べて、海中までの陸上道路部分の長さが短くて済み、トンネル施工の総延長を短くできるため、より経済的かつ短期間での工事が可能だ。

新若戸道路では、沈埋函7函で構成。当社は1号函の製作から工事に携わっている。3号函で築造、5号函では製作を担当し、そしてこのほど7号函の製作を終えた。5号函に引き続き、7号函の長距離鋼殻運搬にはフローテイングドック(FD)を採用。新たな施工管理方法を導入し、品質確保と安全性、コスト競争力を徹底した。

当社の技術が沈埋函の接続に採用

新たに整備される新若戸道路は、若戸大橋の北側に位置し、片側2車線で総延長4.2qを計画、このうち、洞海湾を渡る557mが沈埋トンネルであり、最終函の接続には当社の特許技術である「キーエレメント工法」が採用される。最終函の両端とその前後に沈設する対応函の最終函との接続面を傾斜させることで、従来の「最終継手工法(Vブロック工法)」を省略し、大幅なコスト削減と工期短縮を実現する革新的な技術だ。新若戸道路は、若松側から6つ目の6号函を最終函とし、それを挟む5号函と7号函が対応函となる。

その7号函の製作にあたっては、まず大阪府堺市にある工場で鋼殻と呼ばれる沈埋函の枠組みを製作し、建設地近くの製作現場へ運搬。現場では、鋼殻を海上に浮かべた状態で内部にコンクリートを打設して完成後、その沈埋函を沈設してから、路面舗装などの工事が行われた。

施工フロー

施工フロー画像を拡大する

巨大構造物のFD長距離曳航を実現

7号函のような大規模な構造物で長距離を運搬する場合、一般的には「半潜水式台船」という大型の船を使用する。この船は国内外それぞれ1隻ずつしかないことから、今回は経済性に有利なFDを使用した。

しかし、わずか8oの鋼板で作られている鋼殻は、衝撃で簡単に傷ついてしまう。小さな傷でも構造物の品質に影響してしまうため、FDへの搭載には細心の注意が払われた。特に7号函の場合、延長が約80mであり、延長65mのFDに搭載すると15m程度はみ出すことになる。はみ出した部分がたわみ、損傷しないか、事前に構造を検討・確認したうえで積み込みを行った。また、FDの片側壁面にストッパーを設けることで、沈埋函を前後左右均等に搭載させた。

曳航にあたっては、明石航路、備讃(びさん)瀬戸(せと)航路、関門航路と狭い水路を通る計画だったこともあり、週間気象海象情報をはじめ、曳航可否判断・航路調査・検討を当日の作業開始1時間前まで行い、作業の安全性を確保した。今回、九州までの約500qをFDにより4日間かけて曳航した。

新システムで適切管理、品質を確保

現場でのコンクリート打設する段階では、「コンクリート充填検知システム」と「生コン品質管理システム」を初導入、構造物の品質確保に繋げた。この技術は総合評価落札方式の入札で評価され、受注の決め手となった。

沈埋函の内部にはいくつもの壁(中壁や隔壁)があり、目視できない小部屋がたくさんあるような構造となっている。その内部空間にコンクリートがしっかり充填されず、隙間が残ってしまうと、本来の強度を発揮できなくなる。そこで、コンクリートがどこまで打設(充填)されているかを把握できる「コンクリート充填検知システム」を導入。打設空間の隅対角上下2段にセンサを取り付けることで、コンクリートの立ち上がり高さをリアルタイムで把握し、打設する速度などの管理に利用した。7号函では計約360個のセンサが取り付けられ、その品質を確保した。

また、打設に使用した充填コンクリートは、新若戸道路建設のために開発されたもので、北九州市内の計3ヵ所のプラントで製造した。経済的にも比較的安価で、普通コンクリートよりも流動性が高く、充填しやすいという特徴がある。

この充填コンクリートの品質を安定させるために導入した「生コン品質管理システム」は、プラント、現場のそれぞれから、インターネットを介して当社の技術研究所内にあるデータベースサーバにアクセスし、リアルタイムに品質を確認し、製造に反映させることができる。計測器から取得した骨材の水分含有量などのデータと現場の品質管理結果がサーバに蓄積される仕組みで、共有データとしての一元管理が可能だ。計測器は、生コンを製造する工場(プラント)と現場に設置された。

生コン品質管理システムの概念図

1号函から複数の函製作・築造に参加

この新若戸道路の沈埋トンネルでは、当社は1号函の製作をはじめ、3号函の築造、5・7号函の製作を、さらには当社グループの九州洋伸建設(株)が1・2・4・5号函の築造に協力してきた。

3号函の築造にあたっては、航路が狭いことから、管制信号に従う必要のない一般航行船舶を誘導し、安全に行き合わせるルール作りを行うなど、3号函だけでなく、続く4号函の築造工事が円滑に行えるようにした。このため、海上保安庁と44回にわたる協議に加え、周辺企業・団体への説明も広く行った。

5号函の製作では、コンクリートの打設が夏季に集中、気温が高いところではコンクリートを使える時間も限られるため、その品質管理を徹底した。また、コンクリートの硬化熱の影響で函内の温度が50度近くまで上昇することもあり、大型クーラーの設置や換気、水道の引き込みといった、ありとあらゆる熱中症対策により、作業員の安全を確保した。

わが社で夢ある道路を開通させよう

工事所長 檜山良一工事所長 檜山良一

新潟、大阪での沈埋トンネルの施工経験を持ち、当工事の工事所長である檜山良一は、「現時点で事業化のめどがついている沈埋トンネルは、この新若戸道路が最後になります。私は、この20年にわたる沈埋トンネルの集大成だと思っています」としたうえで、7号函の製作工事から「当社の手による7号函、6号函の築造に繋げていきたいです」と意気込みを語る。

また、檜山は「Vブロック工法が開発された時は、潜水士が作業する必要もない、水圧接合を利用した画期的な技術でした。それがキーエレメント工法としてさらに進歩しました」と振り返り、「この最終継手の技術は、わが社がイニシアティブ(主導)をとってやってきました。この若戸沈埋トンネルの事業が成功するように当社の技術が役立つことを願っています」と語る。

現場では、コンクリートを打設する孔を塞ぐためのプレートを活用し、若松区にある小学校へ持ち込み、小学校4〜6年生の約130人から「将来の夢」をテーマに絵を描いてもらった。プレートは7号函内に展示された。 6号函との鏡開きでお披露目となる。新若戸道路は北九州の未来を担う子ども達に豊かな夢と希望を与える道路となるであろう。

サイレントパイラーによる山留工

工事名称 新若戸道路沈埋トンネル部(7号函)製作工事
発注者 国土交通省 九州地方整備局
施工者 五洋・不動テトラ・寄神特定建設工事共同企業体
工期 2007年9月5日〜2009年3月30日
工事場所 鋼殻製作 大阪府堺市西区築港新町1丁目5番1
日立造船鉄構(株)堺事業所内
本体工他 福岡県北九州市若松区響町1丁目地先
工事概要 本体工 沈埋函製作1函(約19,000tL81.1m×B27.9m×H8.4m)
艤装工一式、 仮設備工一式、
曳航工一式、 仮置工一式、 計測工一式
構造形式 鋼コンクリート合成構造


ページの終わりですページの先頭へ戻る