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このページは、ホームの中のソリューション・技術の中のプロジェクトの中のプロジェクトストーリーの中の新広島市民球場新築工事のページです。

新広島市民球場新築工事

注目集まる新球場の完成に向けチーム力発揮

位置図位置図

JR広島駅近くの貨物ヤード跡地に、広島東洋カープの本拠地となる新球場の建設が2007年9月より進められている。広島市民球場は開設後50年以上経過し、老朽化などの理由で建て替えられることとなった。野球ファンのみならず、地域活性化の観点からも、多くの人々が期待を寄せる工事だ。

新球場の両翼は現在の球場より約10m広く、建築・延床面積はともに約3倍以上となっており、幅の広いコンコースを1階観客席最後部に設置しているほか、一人当たりの観客席のスペースは大リーグ球場並みでゆとりをもたせている。また、より間近に観戦できる砂かぶり席など、豊富な座席種類を備え、野球観戦を楽しむための仕掛けが盛り込まれている。

工事は電気設備工事など球場工事のほか、道路工事など多くの関連工事が行われているが、周辺地域にも配慮しながら、綿密な工程計画のもと、全員一丸となって完成を目指している。

芝からコンクリートまで品質に徹底的なこだわりを

新球場は、JR広島駅から南東約800mに位置する貨物ヤード跡地11.6haのうち、約5haに建設される。特にレフト側のスタンドが北側に大きく開いており、グラウンドに開放感を与えるほか、新幹線などの車窓からも眺めることができる。

グラウンドの規模は右翼100m、左翼101m、中堅122m、面積約1万2700uで、プロ野球のセントラル・リーグの本拠地としては唯一、内外野とも天然芝を採用している。この芝を納入する協力会社の選定にあたっては、長時間比較検討し、特に慎重を期した。その上で、工事所長の古崎惠二は「私はこのような規模の芝を扱う工事は初めてだったので、当社のOBに芝に詳しい方がいると聞き、東京まで会いに行きました。話を伺い、データを頂いて芝について勉強しました」と語った。2008年6月に芝の苗を植えつけた後、スタンドなど他工事を施工している間も、害虫や雑草の駆除といった細かな手入れを繰り返している。その甲斐あって、夏の終わりには順調に育った濃緑の芝を見ることができた。

品質へのこだわりはコンクリートにも表れた。広島県内4ヶ所のコンクリートプラント工場や全国9ヶ所のプレキャスト製造工場で品質管理の勉強会を開催し、現場だけでなく、全国の工場までを含むすべての関係者が一体感を高めた。

7月10日 芝の苗付け後、養生シートで芝を育成7月10日 芝の苗付け後、養生シートで芝を育成

7月20日 養生シートを外したときの芝7月20日 養生シートを外したときの芝

巨大なプレキャスト部材を650tクラスのクレーンで施工

1階席までは現場打設コンクリート、2階席はプレキャスト構造となっている。2階席には張り出したボックスシートやテラスシートもあることから、形状の種類も多く、プレキャスト部材は特殊な形となっており、部材別に綿密な工程表を作成した。一般的な建築工事では、150tクラスのクレーンが使われるが、最重27tという部材を吊り上げるだけでなく、スタンドの外側からの取り付けには、より長いアームのクレーンが必要になる。そこで、半年以上前から入念に予定を組んで、手配した650tクレーンなどの大型クレーンが力を発揮している。  

50種類を超えるプレキャスト部材をクレーンで吊り上げた後、ブロックのように組み立てていく。PC鋼線を7〜12本束ねたPC鋼撚(より)線で部材同士を繋ぐ「KTB間接圧着工法(クロサワ・テンショニング・ベアリングコーンシステム)」を採用し、PC鋼撚線の引っ張り(緊張)を利用して構造物を繋ぎあわせ、独特な曲線を作り上げている。

 

2階席の工事の様子

綿密な調整で堅実な工程管理と安全を確保

工事所長 古崎恵二工事所長 古崎惠二

約1年半という工期で完成させるため、工程のズレは1日も許されない。すべての工事を合わせ、ピーク時は1日あたり500人、平均300〜350人の作業員が出入りする現場は、6つの工区を設定し、同時に進めている。2008年12月末時点での進捗状況は85%と、順調に進んでいる。各設備や内装といった他の工事の施工も同時に行われており、工程を守るためにも連日、綿密な調整を行っている。

現場内の安全を確保するため、工事所長の古崎は、「一番大事なのは、現場を巡回することです」と語り、毎日の朝礼後、2〜3時間をかけて巡回している。

夏季中は屋根がなく、コンクリートの照り返しで厳しい状況だった。担当職員がパトロールの際に塩分を含む飴を配布し、朝礼時に具合が悪くなったらすぐに事務所で休憩するように呼びかけた。これに加え、昼休憩を延長し、製氷機や冷水機を設置するなど、熱中症対策で乗り切った。

工事に対する理解を得るため、地域の人々と対話を図る

現場周辺には市街地が広がっており、建設機械の移動は超低速にするなど地域環境への配慮も欠かさない。騒音・振動計で記録・表示することで、職員・作業員に状況を把握させ、また、近隣と申し合わせした時間よりも30分早く建設機械の稼動を終了させている。普段と違う工程があれば、すぐ近隣に説明に向かうなど、スピーディーに近隣との対話を図っている。また、作業員にマナーや礼儀をしっかり意識させるため、横断歩道を使わずに道路横断をした場合は即刻退場、という厳しいルールもある。

現場の脇には、地域の方々に限らず、誰でも定点カメラで工事の進捗を見ることができる見学スペースも設置・開放されている。一般の方と接する機会が多い現場でもあるため、協力会社や職長の選定にあたって、古崎は「できるだけ気持ちの優しい人、そういう人が在籍する会社を重視しました」という。

いい建物を残すため、全員の気持ちを1つに

職員・作業員のヘルメット職員・作業員のヘルメット

2009年4月からのプロ野球のペナントレース、09年のオールスターゲームと、すでに新球場での試合が予定されており、現場では3月16日までの完成を目指している。周辺では、コンコースへ直接アクセスできるスロープの整備も進められている。

工事所長の古崎は、「この現場に携わっている全員が、現場に対する熱い気持ちを持っています。私は職員・作業員に、『この工事をやるために選ばれたのだ。誇り、自信をもって欲しい』と常々言っています」と述べ、また「将来、子どもや孫に自慢できるような仕事をしよう」と、現場の士気を高めつつ、「最後まで、絶対に事故を起こさず、誇れる球場を完成させたいです」と意気込みを語った。

現場には、広島東洋カープの監督・選手らも激励に訪れている。彼らからは、一丸となって優勝を目指すという意味が込められた、チームのキャッチフレーズ「ALL-IN」のヘルメットステッカーが配られ、職員・作業員のヘルメットに輝いている。どんな工事も一丸となって完成に向け、着実に仕事を進めていくことが、お客様の信頼や期待に応え、建物にも反映される。それが、海と大地の創造企業である当社を力強くしていく。

新広島市民球場の概要

新広島市民球場の概要 画像を拡大する

工事名称 新広島市民球場新築工事
発注者 広島市
施工者 五洋・増岡・鴻治建設工事共同企業体
工期 2007.9.28〜2009.3.16
工事場所 広島県広島市南区東駅町他
設計・監理 広島市・株式会社環境デザイン研究所
工事概要 構造 地下1階地上7階
鉄筋コンクリート造
プレストレストコンクリート造
プレキャストプレストレストコンクリート造
鉄骨造  
建築面積 約23,000m2
延床面積 約39,000m2


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