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臨港病院新築工事。工期・環境に配慮した施工で臨海部の医療拠点を充実。

病院機能維持に厳しい工期設定。

港湾労働者のための医療拠点として、60余年にわたり重要な役割を担ってきた「臨港病院」(名古屋市港区)が、施設の老朽化に伴い、名古屋港開港100周年を機に建て替えられることになった。入院患者などへの影響を最小限に抑えるため、まず敷地内に新たな病院を建設して病院機能を維持した上で、既存施設を解体・撤去し、外構整備を行なうこととして、病院の新築については16ヶ月で完成させるという、厳しい工期が設定された。

当社は検討を重ねた結果、土工事と基礎躯体工事を同時進行することとし、工区分けをしてすべての作業を平行して進める計画をした。その結果、工期内の完成、引渡しを行うことができた。

臨港病院 内観・外観写真

アイランド工法と工区分けで工期を短縮。

工区割平面図(基礎躯体部分)工区割平面図(基礎躯体部分)画像を拡大する

建設地は埋立地であり、高水位かつ軟弱地盤の中で施工を進めなければならなかった。厳しい工期の場合は、その基礎躯体工事をいかに効率的に行なうかが鍵となる。そこで、「アイランド工法」を採用し、土工事と基礎躯体工事を同時進行させることで工期短縮化を図った。

 「アイランド工法」とは山留工法の一つであり、鋼矢板で山留壁を打設した後、外周を残して凹状に掘削、構築した中央部の躯体(アイランド部分)との間に梁を斜めに張ることで、梁が突っ張り棒のように山留壁を支えつつ、外周の掘削や基礎躯体構築を行う工法。この工法によって工区分けが可能になり、全作業を平行して進めることができたので、土工事と基礎躯体工事をそれぞれ行うことに比べ、約2ヶ月、工程を縮めることができた。

工区はA・B2工区とし、さらにアイランド部分と外周部分に細分化したことで鉄筋・型枠作業は必ずどちらか一方の工区で施工できる体制がとれた。土工事の掘削土に関しては現場内にストックし、再度埋め戻しに活用することで、運搬・搬入量を減らした。このような省力化が地下工事全体のコスト・工期縮減につながった。

一方、地上躯体工事も3工区で同時進行し、当初1フロアを施工するのに21日かかるところを18日と3日間も短縮した。このほかにも、柱や梁は鉄筋コンクリート(RC)、壁を軽量コンクリート板(ALC板)とするなど、必要な機能は確保しつつ、効率的な施工を実現するVE提案を重ねた。

当工事の工事所長である佐藤洋樹は、「すべての作業が平行で行なわれているため、工程は複雑で工程管理が大変でした」と施工中の様子を振り返り、また「作業エリアをいかに区別するかが重要で、日々の調整と作業エリアを明確にすることで安全を確保しました」と語る。

騒音を抑えて周辺環境にも配慮

工事所長佐藤洋樹工事所長 佐藤洋樹

地中掘削時は、高水位への対応として、地下水を強制的に排水できる「ディープウェル」を2ヶ所設置した。ディープウェルで水位を低下させることで、工事仮設の簡素化や軟弱地盤の改良が可能になり、最終的には全体工期の短縮にも繋げることができる。今回も、このディープウェルで水位を下げたところで地盤改良を行い、全面均しコンクリートを打設し、作業性を大きく向上させた。佐藤は「名古屋港での過去の土木施工実績は多く、軟弱地盤での対応には自信がありました」と述べ、これまでの経験が大きく役立っていることを強調した。

山留工事では、油圧で鋼矢板を地盤に押し込み、山留壁を構築するサイレントパイラーという杭打ち機械を採用した。このサイレントパイラーは、ハンマーを使って打ち込んで構築するよりも振動・騒音が低いほか、軽量・コンパクトで運搬が簡単、垂直・方向を容易に調整でき高精度な施工が可能、地盤のゆるみが生じない、といった特徴を持つ。今回の工事は敷地内に既存病院施設があり、かつ周辺にも建物が密集していることから、騒音をできるだけ少なくするために採用した。

サイレントパイラーによる山留工サイレントパイラーによる山留工

五洋式免震構法で医療拠点機能を守る

五洋式免震構法(PSBIシステム)五洋式免震構法(PSBIシステム)画像を拡大する

病院は、災害時に地域の重要な医療拠点として機能しなければならない。病院内には多目的ホールがあり、災害時には避難拠点としての機能も備えている。東海地震といった大規模地震の発生も予測されており、新病院には地震の揺れを吸収して、建物の安全性を高める「基礎免震構造」を採用することとした。

免震構法には当社の「PSBIシステム(五洋式免震構法)」を採用。免震装置である積層ゴム型アイソレーターには、ゴム自体に減衰性能のある高減衰積層ゴムが用いられており、1階の柱下に1基ずつ計45基を配置した。

 

患者さんの施設内での快適性を確保

病院施設内の快適性を確保するため、全体的にゆったりとした広い通路をめぐらせ、待合室の一部には足元からの冷えを抑える床暖房を導入した。

佐藤は「患者さんや職員の方々に気分良く利用いただけるために、発注者・設計事務所・臨港病院とともに配色など細かく打ち合わせを重ね、工事を進めていきました」と語った。臨港病院からは、「病室内の設備も改善され、通路も明るくなったことで、業務もやりやすくなりました」との評価をいただき、「五洋建設から多くの知恵を出していた」と感謝の言葉が寄せられた。

臨海部でのさらなる活躍に向けて

今や病院は治療を行うだけの場ではなく、患者の快適・安全性も重視される。また、長期間の休業は直接、患者の生命に関わることから、工期の延長は避けなければならない。

当社の臨海部での土木技術と建築技術の豊富な実績とノウハウを活かし、厳しい施工条件を乗り越えて工事を完成させることができた。すでに新病院は2008年4月から運営を開始、新築工事後の解体等工事も全体工期の7月末に完了した。

ここに当社臨海部のノウハウがまた一つ、加わった。この実績は今後の営業活動の強みにもなり、多いに貢献していくことを期待している。

工事名称 臨港病院建替工事
発注者 (財)名古屋港福利厚生協会
施工者 五洋・大成建設共同企業体
工期 2006.10.1〜2008.7.31
工事場所 愛知県名古屋市港区名港
設計・監理 (株)丹羽英二建築事務所
工事概要 構造 鉄筋コンクリート造(免震構造)地上9階
建築面積 病院棟  1,897.55m2
機械室棟 110.55m2
延床面積 病院棟  13,604.3m2
機械室棟 110.55m2


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