五洋建設株式会社

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国内/土木

東京の空の玄関口。
羽田の滑走路を地震から守る。

滑走路の液状化を防ぐための地盤改良工事。
航空機の離着陸を止めずに行う工事が進められている。

大成 博昭Hiroaki Onari

1997年入社/工業高等専門学校 土木工学科 卒

入社後、国内の送水管敷設工事や岸壁工事を経験した後、ODA案件でスリランカ、サモア、タイで送水管敷設工事や岸壁工事に携わる。帰国後は海上土木工事を中心にキャリアを積み、今回、羽田空港の液状化対策工事の現場所長に抜擢される。

STORY
01

C滑走路の液状化対策工事

東京国際空港――羽田空港は、日本最大の空の玄関口である。利用客数は年間約6,700万人、年間離着陸数は44万回以上に達し、短いときは2分間隔で航空機が大空へと飛び立っていく。2020年の東京オリンピック開催時は、海外から来日する多くの観光客が、この空港を利用することになる。

今、その羽田空港で地震災害発生時に空港機能の麻痺・遅延を最小限に抑えるため、想定しうる最大規模の地震にも滑走路が耐えられるよう地盤改良工事を進めている。大成博昭が工事所長として取り組んでいる『東京国際空港C滑走路地盤改良工事』もその一環だ。
「五洋建設は、A、B、C、Dと4本ある滑走路のうち、C滑走路の端部の液状化対策工事を行っています。この滑走路は、2014年12月に南側へ360m延伸され全長3360mになったことで国際線の大型旅客機も離着陸できるようになるなど、今後、使用頻度が高まる主要滑走路の一つです。」

しかし、C滑走路があるエリアが埋め立てられ完成した時代は、液状化という概念がそれほど浸透しておらず、対策もほとんど施されることはなかった。その後、東日本大震災によって日本各地で液状化の被害が出たことを受け、羽田空港でも順次対策工事が進められることになる。C滑走路についても滑走路中間部分の2000mについては2013年までに工事を終了。2014年7月から端部の工事を、五洋建設を含む共同企業体(JV)が担当している。

液状化は、砂の粒と粒の間が水で満たされているような緩い砂地盤が地震の揺れによって液体状になる現象で、滑走路がその状態になってしまうと航空機の離発着ができなくなってしまう。対策にはいくつか工法があるが、その一つが地中に特殊な薬液を注入して地盤を強化する薬液注入工法だ。この工法の場合、地盤を改良したい場所の直上、もしくは斜め方向に穴を開けてパイプを地中へ打ち込み、薬液を注入していく方法が一般的なのだが、今回の工事では作業時間に多く制約があった。
「航空機の運用を止めないというのが、工事の大前提であった。滑走路が30分間使用不能になるだけで、数百本の航空便に影響が出ます。そのため、空港での工事は航空機の運用が終了する夜間に作業するのが通例なのですが…。工事の途中でC滑走路が延伸されて離発着本数が増加し、運用停止時間が週5日、各6時間から週3日、各4時間に減ってしまう制約がありました。」

工事現場へ建設機械を搬入する時間、工事後に撤収する時間を考えると、作業できる時間は実質2時間程度しか確保できない。この問題を解決するために採用されたのが、『曲がり削孔による浸透固化処理工法』だ。

曲がり削孔による浸透固化処理工法は、長距離の曲がり削孔が高精度に施工でき、24時間施工が可能。

C滑走路の左端部にある黄色部分が、五洋が今回受注した工事エリア。ピンク色の部分が今後地盤改良工事や耐震化工事が予定されている場所。(斜線部分は耐震化済の場所)

削孔作業は、航空機が離着陸する滑走路から50mほどしか離れていない。この緊張感みなぎる現場で、約300本の穴を開けなければならなかった。

削孔を終え、薬液を注入しているところ。手前に見えるハウスは注入集中監視装置で、この装置で薬液注入の施工管理を行っている。

STORY
02

メンバーが一丸となって

浸透固化処理工法とは、液状化が予想される砂質地盤に対して、溶液型の恒久薬液を浸透注入する事で、砂地盤の間隙水を恒久薬液に置き換える。また、薬液がゲル化することで粘着力が付加され、地盤を低強度固化し液状化を防止する地盤改良工法である。曲がり削孔による浸透固化処理工法は、薬液を注入するために開ける穴=削孔を直線ではなく、3次元的に曲げて開けることができるという新しい技術で、遠距離から液状化対策工事ができるため、滑走路を利用しながらの施工が可能だ。

ただし、滑走路の幅は60mもあり両脇には安全を確保するための立ち入り禁止区域も設けられている。そのため、作業現場は、薬液を注入する場所から最大で140mも離れなければならなかった。
「曲がり削孔による浸透固化処理工法は、最大200m離れた場所から工事ができます。しかし、それはあくまでも理論値であって、五洋としても実際には最長でも約90mまでの施工実績しかありませんでした。140mという長距離で最大深度20mに達する削孔というのもかなり難易度の高い条件です。しかも、私には地盤改良工事や空港工事の経験がなかったため、綿密な計画を立て、熟練した技術者を配置することで万全の体制を敷いていたものの、施工が始まるまで本当にできるのかと不安はありました。」

また、いざというときは作業中であっても即刻退去しなければならないため、自走可能な建設機械をそろえ、簡易事務所やトイレなどもトラックの荷台に設置している。風で図面などが飛んでしまっても滑走路内に立入ることは許されないので、図面や書類などすべてをデータ化し、モバイル端末を現場に持ち込んでの作業となる。紙の図面を見慣れている作業員にとっては、戸惑いもあったようだ。
「現場対応力を強化するため、全幅の信頼をおけるベテラン社員二人に現場へ入っていただいています。協力会社も含めたプロジェクトメンバー全員のチームワークを高めるため、交代制勤務時の引き継ぎのコミュニケーションを重要視しています。これだけプレッシャーも規模も大きなプロジェクトを成功させるには、メンバー全員が一丸となる必要があります。」

メンバーのチームワークを高めるため、日々のコミュニケーションと信頼関係の構築は非常に重要となる。

動画再生

応募者の皆さんへ、大成より応援メッセージです。(動画 0:14秒)

STORY
03

気をゆるさずに工事を進める

「曲がり削孔による浸透固化処理工法は、薬液を注入しても地面が盛り上がるようなことはありません。しかし、万が一の事態に迅速に対処するには、本当に盛り上がっていないか、別な異常が発生していないかを常時計測します。ところが、作業中に滑走路内へ立ち入ることができないため、それも不可能……。工事が完了するまでまったく気を許すことができません。」

「難しいプロジェクトで、予期していなかったトラブルもいくつか発生しました。しかし、協力会社とともにこれまでに蓄積してきた経験や技術を結集すれば、どのような難題も必ず乗り越えられます。若いメンバーも時間とともに成長してきており、現在では、プロジェクトをやり遂げるだけの実力を備えたメンバーがそろっているという自負も湧いてきています。だから、大丈夫です。」

現時点で、薬液注入作業は6割方が終了し、少しずつゴールが見えてきている。日本最大の空の玄関口、羽田空港の滑走路を守る工事が着々と確実に進められている。

曲がり削孔により開けた穴に薬液を注入するためのホースを設置。開けた穴は崩壊しないように特別な処理が施されている。

薬液を注入しているところ。特殊な薬液の注入によって地盤が改良され、地震が起きても液状化現象を防ぐことができる。

滑走路に入って異常が無いかを確認することができないため、細心の注意を払って常時計測することが重要となる。

動画再生

走路から50mほどしか離れていない現場では、行き交う飛行機が目と鼻の先を通過します。そんな緊張感あふれる現場の様子を動画でご覧ください。(動画 15秒)

Project Story

今もなお続くメガプロジェクト、そこにあるのは確かな技術と志です。
担当社員を通して、国内外プロジェクトの一部をご紹介します。

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