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What's New

鋼構造建物への無溶接耐震補強工法を開発
〜工事中の防火対策にも効果、防災技術評価を取得し実工事に適用〜

2008年11月20日

五洋建設株式会社(社長:村重芳雄)は、西日本工業大学デザイン学部建築学科(住所:福岡県北九州市、093-563-2221)の 平井敬二教授と共同で、既存の鋼構造建物を高力ボルトによる挟み込み接合で耐震補強する「PNW工法(Penta-ocean Non Welding工法)」を開発し、このたび財団法人 日本建築防災協会から建築物等の防災技術評価を取得しました。稼働中の鉄骨造生産施設の耐震補強にあたり、溶接作業を伴わないので防火対策が確実で、施工性および作業性も向上する工法です。このほど本工法の実工事適用も果たし、作業期間の短縮や費用の低減を確認しています。

昭和40年以前に建設された鋼構造建物には、薄肉断面の鋼材を組み合わせた組立部材で構成されたものが多く存在します。これらの建物に方杖や火打ち等の耐震補強部材を接合する際、一般的に用いられる高力ボルト摩擦接合ではボルト孔による断面欠損が大きいばかりでなく、既存建物の鋼材への孔あけ作業自体が困難です。また、溶接接合の場合には、薄肉断面に対する溶接に高度な施工技術を要すると共に、建物を使いながら補強工事を行うことは非常に困難です。さらに、工場内には揮発性ガスや可燃物が存在することも多く、防火のための大がかりな養生が必要になります。
PNW工法は、既存建物の鋼材に補強用鋼材を高力ボルトによって挟み込み、方杖や火打ち等の補強部材を設置する工法です。母材へのボルト孔の穿孔や溶接を必要としないため火災発生リスクを除去でき、小断面かつ薄肉の部材にも適用可能です。

本工法のメリット

  1. 母材にボルト孔の穿孔が無く断面欠損が生じないため、補強のための補強が必要ありません。
  2. 溶接を行わないため、溶接熱による母材の材料特性劣化が生じません。
  3. 溶接等の火気を使用しないため、火災発生リスクを除去でき、施工時の養生も軽減されます。
  4. 建物を使用しながらの工事が可能です。
  5. 単純作業なので施工性が向上し、工期が短縮できます。
  6. 補強部材のすべてがボルト接合であるため、施工管理を目視で行うことができます。

当社は、本工法を大手自動車メーカー2工場の鉄骨改修工事に適用しました。これらの工場は薄肉断面の組立トラス架構からなる鉄骨造で、工場を生産稼働させながら鉄骨改修を行なう工事であったことから、防火対策を徹底した改修工法であることが求められました。本工法の採用で溶接による火災発生リスクの除去とともに、施工性および作業性も向上させることができ、溶接を用いた補強に比べ、工期、コスト共に約1割低減できることが確認されています。また、溶接を使わない本工法は、このような工事に関わる直接的な効果のみならず、作業者および作業管理者といった関係者の心理的な負担を軽減し、安心、安全性の面でも大きく貢献しています。

本工法は2007年11月に「高力ボルトによる摩擦接合構造及び構造物耐震補強方法」として特許を取得(第4042996号)しており、当社はこのたびの防災技術評価取得を機に、本工法の今後一層の普及を目指してまいります。 

PNW工法の概要図
改修工事施工手順



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