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What's New

パイルド・ラフト基礎の設計プログラムを開発
〜大型土槽を使用した検証実験でも効果を確認〜

2007年03月29日

五洋建設が参画する建設・設計の6社は,このほどパイルド・ラフト基礎に関する実用的な解析プログラム(解析コード hy-PR「ハイパー」: Application program using a hybrid method for Piled Raft foundations)を共同開発しました。さらに,大型土槽を使用した検証実験によって,パイルド・ラフト基礎による相互作用効果や沈下低減効果を確 認しました。その結果,これらを用いて,より実用的なパイルド・ラフト基礎の設計が行うことが可能となりました。
開発にあたっては,室蘭工業大学建設システム工学科土屋勉教授に全般にわたって指導をいただきました。また検証実験は,独立行政法人建築研究所との共同研究の一環として,同研究所の基礎・地盤実験棟の実験施設で行いました。

共同開発会社

戸田建設(株)(社長:加藤久郎),(株)構造計画研究所(社長CEO:服部正太),五洋建設(株)(社長:村重芳雄),鉄建建設(株)(社長:神田志義),東急建設(株)(社長:山田豊彦),飛島建設(株)(社長:池原年昭)

【パイルド・ラフト基礎の概要】

パイルド・ラフト基礎は,直接基礎(ラフト=基礎スラブ)と杭基礎(パイル)を併用して建物を支持する新しい基礎工法であり,一般的に支持力はラフトで確保し,杭は沈下低減の目的で使用します。直接基礎と比較して,全沈下量や不同沈下量を低減できる他,支持杭基礎に比べて杭の負担荷重が小さいため,必要な性能を確保した上で杭の仕様(杭径,杭長,杭本数など)を合理化でき,基礎工事費の削減が可能であるため,急速に実績を増やしつつあります。
適用される建物の規模について,一般的には荷重の小さい中低層建物で採用されることが多いが,最近は,逆打ち工法による超高層建物の逆打ち支持杭に荷重を分担させ,耐圧版や基礎梁の合理化を図るなど,適用範囲が拡大しています。また,適用範囲の拡大にともなって,設計の際には,沈下特性の評価だけでなく耐震設計の必要性も高まってきており,更なる研究が進められています。基礎工事における杭や耐圧スラブなどの合理化は,杭材料や搬出土砂の削減につながるため,環境負荷の低減効果も期待できます。

【設計プログラムの特徴】

今回開発した解析プログラムの特徴は,以下のとおりです。

  • 解析手法は,弾性理論解と有限要素法による解析を組み合わせたハイブリッド(混合)法を採用しています。この方法により,精度の高い解を短い計算時間で得ることができます。
  • 表形式の入力により,一般の建築構造設計者であっても入力データが容易に作成可能です。断面の入力は,ラフト,基礎梁,杭など,構造設計に対応した形式で行います。モデルデータおよび計算結果は,表計算ソフトで扱えるデータ形式で入出力が可能であり,市販の構造設計プログラムとデータのやりとりが可能です。
  • 直線で囲まれた任意の平面形状の解析が可能であり,複雑な形状の建物にも対応できます。また,入力定数は,簡易なメニュー形式での選択に加え,設計者の高度な判断による直接入力も可能です。さらに,(計算時間および精度に関わる)地盤,杭,ラフトの分割数を任意に決められますので,概算から詳細解析まで設計段階に対応した解析が可能です。
  • 建物重量による常時の沈下量,部材応力の解析に加え,地震によって加わる水平力による変形,応力を同時に解析することが可能です。さらに,地下階の床荷重と耐圧版の自重を分離するなど,より実際の状況に近い荷重条件を再現できます。 さらに,以下のような機能の追加も予定しています。
  • ラフト下や杭に取り付く地盤ばねを集約して評価することで,計算精度を確保しながら短時間で多数のケースを解析可能とする。
  • 地盤および構造物の非線形性,あるいは地層構成の傾斜を考慮した,より実際の挙動に近い解析を行う。
  • 地震時の杭の被害を低減するために開発が進められている,杭頭半剛接合工法に対応したモデル化を行う。

【検証実験の概要】

一方,大型土槽を用いた検証実験では,砂質土地盤と粘性土地盤の2タイプの地盤に対し,開発プログラムの理論的な裏づけとなる種々の相互作用効果について検証し,プログラム構築に有用な多くのデータを蓄積するとともに,パイルド・ラフト基礎の基本的特性や直接基礎との比較実験でパイルド・ラフト基礎の沈下低減効果を確認しました。さらに,圧密地盤での直接基礎との比較実験や地震時の動的挙動を解明するための振動台実験など,これまで事例の少ない特徴ある実験も実施し,種々の条件でのパイルド・ラフト基礎の有用性を検証しました。

【今後の予定】

6社では平成16年より3年間にわたって共同開発を実施してきましたが,今後は「hy-PR研究会」を設立し,引き続いて設計プログラムのメンテナンスの他,パフォーマンスの向上を目指して総合的な検討を進めて,軟弱地盤地域に建設される中低層建物はもちろん,超高層建築物にも有効な基礎工法として,パイルド・ラフト基礎を提案して行く予定です。



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