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What's New

損傷軽減の鉄筋コンクリート梁を実現
〜明治大学とゼネコン9社が共同開発〜

2007年02月08日

五洋建設株式会社(社長 村重芳雄)は、(株)大林組、(株)大本組、(株)奥村組、鹿 島建設(株)、清水建設(株)、(株)竹中工務店、戸田建設(株)、(株)松村組の8社と、明治大学工学部平石久廣教授の指導のもと共同研究を進めてまい りました「降伏機構分離型鉄筋コンクリート梁工法[略称;RCHIS(注1)梁工法]」について、(財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明書を取得し ました。
本工法は、梁端部の鉄筋のみが変形し、梁のコンクリートに損傷(ひび割れ)を生じさせないなど、従来の構造形式に比べて耐震性能に優れた構造です。

  1. (注1)Reinforced Concrete Structures with Hinge Isolated System

従来の梁は、損傷は不可避

免震建築物などの一部の建築物を除き、一般の建築構造物では梁端部の主筋が降伏し、地震のエネルギーを吸収することにより大地震に耐えるように設計されています。
従来の鉄筋コンクリート造では、梁端部の主筋が降伏すると、主筋の降伏だけでなく、コンクリートに大きなひび割れや圧壊が生じ、なんらかの損傷は不可避であり、変形が進むにつれて、コンクリートのひび割れに伴いコンクリート強度も低下し、梁が破壊します(図1参照)。

※RCHIS梁は、大地震時にも (1)コンクリート部の損傷がありません。
(2)鉄筋の座屈が生じません。 (3)大きな変形性能を発揮します。

降伏機構分離型RC梁と特長

開発された新しい鉄筋コンクリート梁(RCHIS梁)は、梁端部の主筋の一部をアンボン ド化(付着除去)することにより、梁端部で鉄筋とコンクリートを分離しています。地震時には、鉄筋が降伏して地震のエネルギーを吸収し、コンクリートの損 傷を小さくするように計画しています。この構造を、降伏機構分離型構造と称しています。(なお、梁端部以外の梁部では鉄筋とコンクリートを一体とした構造 としています。)
これにより、新しい鉄筋コンクリート梁は、梁端部の損傷を回避する構造となっており、地震により大きな変形が生じても耐力はほとんど低下しません(損傷回避機能)(図1参照)。
また、主筋の付着除去区間での変形により従来よりも多くの地震エネルギーを吸収することができます(大きなエネルギー吸収能力)(図2参照)。
さらに梁端部は、ほとんど損傷しないために、従来の技術では困難であった、梁端部に梁せいの3分の1までの大きな設備用開孔を設けることができます(梁端部に大きな設備用開孔)。

RCHIS梁の構成

梁端部に一定の区間を付着除去した梁主筋と、梁主筋に平行に梁主筋より小さな直径の主筋(補助主筋)を添えます。さらに、梁端部の補助主筋にロ形の補強筋を掛けます。なお、RCHIS梁は、従来の梁と同等の剛性と強度を有しています(図3参照)。
梁端部に開孔を設ける場合には、一端を補助主筋に掛けて、開孔中心位置付近で鉛直に折り曲げただけの開孔補強筋と、開孔際にロ形の補強筋を集中配筋させた孔際補強筋で開孔を補強し、無開孔梁と同等な変形性能を確保します(図4参照)。

本開発によるメリットのまとめ

今回開発した解析プログラムの特徴は,以下のとおりです。

  • 主筋の付着除去区間での変形により、従来よりも多くの地震エネルギーを吸収することができ、従来の鉄筋コンクリート造建物に比べてより耐震的な建物になります。
  • 大地震時に生じる梁のひび割れが、梁端(柱際)のみになり、地震後も殆ど補修が不必要か、補修するとしても補修場所が梁端のみに限定されます。
  • 梁端部に設備用の開孔を設けることができるようになったことで、設備設計が自由にできるようになります。その結果、部屋の中を通過していた設備用配管を部屋の端部に設置することができるようになり、部屋の空間を大きくすることができ、より快適な空間が得られます。

おわりに

ゼネコン9社は、今回、(財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明書を取得したことを契機に、降伏機構分離型鉄筋コンクリート梁(RCHIS梁)工法について、実建物への適用を推進していく所存であります。



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