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What's New

耐震補強工法で新メニュー貫入設置型NDR工法を開発
〜掘削土量低減と汚濁拡散防止に効果〜

2006年02月22日

五洋建設株式会社(社長:鉄村和二郎)は、水中橋脚の耐震補強をドライ環境下で行なう鋼製函体による仮締め切り工法(=NDR工法)において、函体設置前の掘削土量を大幅に削減するとともに、函体外側への汚濁水流出も防止する「貫入設置型NDR工法」を開発しました。油圧ジャッキやジェットポンプなどを併用した新たな沈設方法に、土水分離装置と濁水処理装置も備えた環境配慮の新工法で、橋脚基礎底部の土被りが大きく掘削土量が多い場合に効果的です。

従来のNDR工法では、水底のフーチング(=橋脚基礎底部)の土被りが大きい場合、函体設置のために橋脚周辺を事前掘削しなければならず、掘削土量が多くなると工事費や工事期間に影響を及ぼしてしまいます。また、事前掘削の際は周囲の水域に汚濁防止膜を設置し、掘削土による汚濁拡散を防止する必要もあり、作業手間が増してしまいます。

貫入設置型NDR 工法は、橋脚周辺をバックホウ台船などで事前掘削することなく、締め切り用の鋼製函体を橋脚基礎底部に接合できる新工法です。ジェットポンプとサンドポンプで締め切り函体内部を掘削しながら函体を沈設させるので、掘削範囲は橋脚基礎直上部すなわち函体締め切り内部のみとなり、掘削土量を大幅に低減します。 また、掘削は函体締め切り内部で行なわれるので、周囲に汚濁防止膜を設置する必要がなくなり、汚濁拡散防止も容易です。本工法はジェットポンプを併用した貫入方法であるため、レキ分や障害物のない、比較的細かな粒度組成の土質に適しています。

工法の特長

  1. 掘削土量は従来工法と比べ20%以上低減されます。フーチングが深く土被りが大きければ、その低減率(%)は一層大きくなります。
  2. 函体内外の水位差と函体下部の専用プレートにより、掘削時の汚濁拡散を防止します。
  3. コストは従来工法とほぼ同等ながら、濁水処理まで行なう環境に配慮した工法です。
  4. 掘削土量が多い工事では、工期が従来工法より短縮される場合があります。
  5. 従来工法と同程度(長さ40m、幅20m)の橋脚サイズまで適用可能です。

 

システム構成

  1. 函体下部の刃口
    鋼製函体が原地盤に貫入しやすい形状に加工。
  2. 刃口下部のプレート
    地盤の不陸に際して函体刃口よりも先行貫入し、ジェットポンプによる函体内部掘削時に汚濁が外側に流出することを防止。
  3. 油圧ジャッキ
    函体を地盤に貫入させる際に使用。
  4. 鋼製ブラケット
    橋脚に固定した架台で、油圧ジャッキの反力や、函体引き抜き時のチェーンブロック吊り下げに使用。
  5. 水中サンドポンプ
    締め切り函体内部の土砂掘削に使用。
  6. 移動型ジェット
    サンドポンプの土砂掘削を補助するための噴流口。
  7. 固定型ジェット
    沈設作業中に函体が傾いた際に使用する姿勢制御用噴流口。
  8. ジェット用水中ポンプ
    ジェット噴流口に水を送り込むポンプ。
  9. 返送用ポンプ
    サンドポンプで吸った水を函体内部へ戻すための水中ポンプ。
  10. 濁水処理装置
    掘削完了後、濁水を処理するための装置。
  11. 土水分離装置
    濁水(泥水)を処理し、ろ過処理水と土砂に分離する装置。

貫入設置型NDR工法 概要図
貫入設置型NDR工法 概要図

なお、弊社技術研究所の半地下実験槽(幅7m×奥行き5m×深さ4m)に鋼製締切函体(直径2m×高さ3.5m)と模擬橋脚を設置し、土砂を使った室内実験をおこなって、函体圧入と函体内掘削の基本動作性能を確認しています。

  • 鋼製締切函体鋼製締切函体
  • 実験水槽実験水槽
  • 実験装置実験装置

実験では、函体に油圧ジャッキ4基と掘削用水中サンドポンプ4台、移動型ジェット用水中ポンプ4台、固定型ジェット用水中ポンプ4台、バラスト用水中ポンプ1台を据え、地上部の砂回収用水槽(20・)、給水用水槽(20・)と配管で繋ぎ、地盤材料には山砂と粒度の細かい相馬硅砂と実現場を想定した山砂(黒羽産山土)の2種類を使いました。

函体圧入と函体内排水を行ないながら、函体外側に土砂が流出しない最適な水位差を把握するとともに、固定型ジェット用水中ポンプを使った函体姿勢制御や、地盤への函体貫入抵抗力の算出、汚濁拡散防止確認のための函体外側の濁度計測などを実施しました。

その結果、地盤に不陸が30cmある場合でも、函体姿勢を制御しながら汚濁拡散もなく適用できることを確認しています。本工法は砂やシルト層が卓越している地盤の多いところでの適用効果が期待されることから、今後も規模を拡大した実証実験を図るなどして早期実用化を目指してまいります。

なお、今回の開発で、弊社の耐震補強用の鋼製函体による仮締め切り工法メニューが充実しました。土質や土被り状況に応じて、従来型NDR工法や今回開発を果たした貫入設置型NDR工法を提案していくほか、水中橋脚のみならず水底下の杭基礎補強も行なう場合には、SuperNDR工法の提案が可能です。弊社では、施工条件が厳しい水中構造物の耐震補強に向け、最適な工法提案を行なってまいります。



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