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What's New

大規模海上埋立工事の土砂搬入量測定システムを高度化
〜徳島飛行場用地造成工事の揚土船に初導入し効果を確認〜

2006年01月17日

五洋建設株式会社(社長:鉄村和二郎)と株式会社 本間組(社長:本間 達郎)は共同で、 大規模海上埋立工事などでの土砂搬入量を高精度に測定するデジタルカメラ式船積土量検収システムの高度化を果たし、このほど徳島飛行場用地造成工事の揚土船に初導入して作業の安全性と効率性の向上を確認しました。これまでと比べシステムの適用範囲が拡大したほか、撮影性能も向上したので、大規模かつ急速施工時のコスト削減にも一層寄与することとなります。

システム高度化の経緯

大規模工事の多くは、大量・急速施工を行うことで工期短縮を図るとともに、コスト削減に結びつく技術検討も求められています。こうした背景から、大量の山土を投入する埋立工事では、埋立土砂を精度よく迅速に測定することが、大量・急速施工を行う上で重要です。
従来、検収方法には、主に「重量検収(=目視によるドラフト検収)」と「容積検収(=人力測量)」の2つの方法がありましたが、いずれも検収員の個人差が測定値に影響することが考えられます。また、一般船舶や他の作業船舶が錯綜する場所では、十分な検収場所を確保することが困難となり、揚土作業効率の低下をもたらしてしまいます。
このため、各社、光波や超音波などを用いた機械式土量検収システムの開発に取り組み、当社も土砂運搬船への積込み施設であるシップローダや、工事エリア近くに設置した検収台船に導入して、土量検収作業を安全かつ短時間に行ってきました。
しかし、大規模工事では、埋立に使用する土砂採取場所(土源)が数ヵ所に点在するため、土砂積込み場ごとに検収システムを設置すると経済効果は期待できません。また、主要港湾近くの工事では他船舶の往来も多いため、工事エリア近くに検収台船を設置すると、他船舶との運航調整や冗長経路が発生し、揚土作業効率を低下させてしまいます。
そこで、本システムによる尚一層の効果を目指し、システム構成の高度化と適用範囲の拡大が望まれていました。

システム高度化の概要


システム構成

運搬船の土砂を揚土船から撮影運搬船の土砂を揚土船から撮影
検収室検収室
システムを設置した揚土船システムを設置した揚土船
画像解析処理例画像解析処理例
(断面形状確認画面)
2台のデジタルカメラによる撮影画像を演算処理し、1m毎の断面で運搬船上の土砂高さなどをグラフ表示します。これを基に、断面ごとの土量算出では船倉の形状を考慮した演算処理がなされます。

(1)揚土船への設置
今回システムを導入した海域は、狭隘で他船舶の往来が多くあり、また、土砂採取場所(土源)が数ヵ所に点在することから、揚土船に本システムを設置しました。揚土船の船尾付近に設置した計測塔(高さ18m)に2台の市販品デジタルカメラ(有効画素:約1110万画素)を取り付け、土砂運搬船が揚土船の船尾についた時点で、運搬船上の土砂を遠隔操作でデジタル撮影し、光ファイバネットワークで画像データを検収室まで転送します。そして、検収室内のパソコンで画像解析処理を行い、積載土量を算出します。

これにより、点在する土砂採取場所ごとに検収システムを設置したり、あるいは海上の検収台船が不要となることから、コスト削減に繋がります。

(2)撮影に必要な照度を低減
今回の工事が供用中の空港近くであることから、照明の及ぼす影響を考慮してノイズ対策を強化し、撮影に必要な照度を750ルクスから250ルクスへ低減しました。これにより、朝夕の検収で照明設備を使用せずに作業を行える時間帯が増加するとともに、工事区域外に及ぼす環境影響を低減することができます。

(3)移設作業の簡略化
揚土船に設置するに当たり運用期間内に揚土船の入替が想定されたため、カメラを設置する塔のユニット化などの簡略化を行い、移設作業が容易にできるシステムを構築しています。

システム適用の状況

高度化した本システムを初導入したのは、徳島飛行場用地造成工事(発注者:国土交通省四国地方整備局)で、滑走路延長(2000mから2500mへ500m延長)とターミナル用地の造成を行うために、公有水面約40haを埋め立てる工事です。2001年の工事着工以来、護岸工事、直接土砂を投入する埋め立てが進められ、現在は揚土による用地造成工事が行われています。 本システムは2005年2月より稼動し、10月までに3工事で約100万立方メートルの土砂検収に用いられました。現在も引き続き運用中です。 人力による土量計測を行った場合、土砂運搬船が工事区域に到着した後に作業員6〜7名で約45分から60分の計測作業が必要で、計測作業の終了後に揚土作業を開始することとなりますが、本システムの導入すると約5分間の写真撮影作業ののち揚土を開始でき、画像解析の処理も検収室内の作業員1名で行うことができます。揚土船上で土量検収を行うので、検収後の作業員の転船作業もなく、効率的な揚土サイクルを実現しました。

本システムにより、従来方法と比べ大きく計測時間の短縮化が計られ、全体作業の能率向上に大きく貢献することができました。今後は、本システムの埋立工事への普及・展開と、システムの小型化、コストダウンについて取り組んでいく予定です。



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