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What's New

水中橋脚のみならず杭基礎も低コストで確実に耐震補強SuperNDR工法を開発
〜締め切り兼用作業函体とマイクロパイルの併用で効率的な基礎耐震補強を実現〜

2006年01月11日

五洋建設株式会社(社長 鉄村和二郎)と極東工業株式会社(社長 長谷部正和)は、河川・運河等の水中・海中にある既設橋脚基礎の耐震補強等を、ドライ環境下で安価・確実に行う「SuperNDR工法」を共同開発しました。水中橋脚の耐震補強工事は近年各地で進められるようになっていますが、本工法の開発により従来施工が困難であった水底下の杭基礎の耐震補強工事についても、水中橋脚補強用の作業函体を使って施工することができるようになります。

開発の背景

兵庫県南部地震で数多くの構造物が崩壊し長期にわたって都市機能が停止したことを契機として、老朽化した構造物の保守や旧耐震設計手法による構造物の耐震性向上等が順次実施されています。このうち、水中にある構造物、護岸の補修や橋脚の耐震補強については、橋脚周りをドライ状態にして工事を行なう仮締め切り工法として、五洋建設が開発したNDR工法(Neo-Dry Repair Method)の適用実績が多くあります。 一方、土中の杭基礎などの耐震補強に関しては、増し杭工法の一種であるマイクロパイル工法が(独)土木研究所、(財)先端建設技術センターと極東工業を含む民間12社によって共同開発され、陸地や河川敷などにある杭基礎で適用されてきました。しかしながら、水底の杭基礎については、従来の鋼矢板等による仮締め切り工法では水域占有面積が多く、時間も要するといった課題がともない、施工が困難な状況にありました。 このたび2社が共同開発した「SuperNDR工法」は、施工性の困難さから対応が遅れていた水面下土中の基礎部耐震補強に際して、NDR工法とマイクロパイル工法のメリットを最大限に生かし、締め切り作業と補強作業とを低コストで確実に実施することができる新技術です。

工法の概要

SuperNDR工法は、水上作業及び作業用鋼製函体(以下、NDR函体)を用いた最小限の締め切り工程のみによって補強作業を完成させるものです。 NDR函体は、浮力調整可能な二重鋼板ユニットで構築した平面環状函体で、既設構造物の外周を取り囲むように設置した仮締め切り構造とし、内部を排水することによりドライ空間を確保します。 そして、側壁および底版を有するNDR函体を既設構造物を囲むように水底面に据え付け、打設機によって補強用小口径杭(以下、マイクロパイル)をNDR函体底版を貫通して打設します。NDR函体によって締め切られた空間を排水することによって、気中作業にてマイクロパイルの頭部を既設構造物躯体に強固に接続する結合作業を行います。 橋脚も補強する場合は、上記作業に引き続いて行なうことができます。

NDR函体据え付け作業イメージNDR函体据え付け作業イメージ
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新工法でのマイクロパイル打設イメージ新工法でのマイクロパイル打設イメージ
(クリックで拡大)

施工手順(杭基礎部補強の場合)

  1. NDR函体据え付け
    既存躯体周囲を所要深さまで浚渫・底面整正した後に、片持ち底版を有するNDR函体の曳航・沈設・据え付けを行います。据え付けにはガイドローラー等を用い、据え付け精度を確保します。
  2. 水中コンクリート打設
    NDR函体底版と既設構造物との隙間からの湧水、ボイリング現象を防止することを目的とした止水構造として、水中コンクリートを底版先端部と既設構造物との隙間に打設します。
  3. マイクロパイル打設
    マイクロパイルは水面上作業架台から、底版を貫通して基礎地盤を削孔し形成されます。底版に設置される貫通孔は止水ボックスおよび内面リブ付き鋼管にて構成されます。
  4. NDR内部排水
    マイクロパイル頭部をグラウト充填式定着または機械式定着でNDR函体底版に固定します。その後、NDR函体内部排水を行います。NDR函体に作用する浮力はマイクロパイルによって支持されます。
  5. 増しフーチングコンクリート
    上記作業により確保したドライ空間内において、マイクロパイルと既設構造物とを強固に接続する結合作業を行います。結合部は、後削孔アンカーや鉄筋等を配置した補強コンクリートによって形成します。
  6. NDR函体回収
    補強工事完了後、NDR函体は底版部で切り離し、側壁部のみ回収・転用します。

工法の特徴

  1. 作業函体が工場製作のため、現地での締め切り工程が大幅に短縮できます。
  2. 水域占有面積が小さくて済み、航路や河積への影響を最小限にできます。マイクロパイル打設用重機に必要な上部空間も約3.5mと、空間に余裕がない場合の施工も可能です。
  3. 基礎機能更新補強と共に、橋脚補強も同時に可能で、万全の耐震補強が可能です。
  4. 既存躯体に浮力対抗用アンカー等を打設する必要が無く、既存躯体を損傷しません。
  5. 函体をユニット分割可能とすることにより、その組み合わせによってあらゆる寸法・形状の橋脚にも対応できます。
  6. 函体を転用することで、従来工法(鋼矢板等による仮締め切り工法)に比して、大幅なコストダウンが図れます。

本工法は、いままでその施工の困難さから対象から外されてきた水中構造物基礎部の耐震補強を可能とする工法です。今後は本工法を生かして、橋脚等の柱部のみならず基礎部まで含めた確実な耐震補強技術を提案し、安全・安心な社会インフラ構築に貢献して参ります。



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