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What's New

電磁誘導加熱による鉄筋コンクリートの劣化診断技術を構築
〜太陽光が当たらない構造物でも精度良い非破壊診断が可能に〜

2005年09月26日

五洋建設株式会社(社長:鉄村和二郎)と中央大学理工学部土木工学科 大下英吉教授(東京都文京区 03-3817-1801)は、赤外線サーモグラフィを利用した鉄筋コンクリート構造物の劣化診断で、「電磁誘導加熱による非破壊診断技術」と「欠陥位置診断画像処理ソフト」を共同開発しました。測定にあたりコンクリートを壊す必要がなく、欠陥位置も自動的に検出されるので、赤外線サーモグラフィによる劣化診断を効率的に精度良く行なえるようになります。

開発の背景

非破壊診断方法には、広く一般的に用いられている打音検査をはじめ、弾性波や超音波、赤外線サーモグラフィを使った方法などがあります。しかし、打音検査では深さ5cm以上の診断が難しく、弾性波や超音波は点の診断となり、面的な診断を行うことができませんでした。また、赤外線サーモグラフィによる場合、太陽光の当たらない箇所などではコンクリート表面の温度変化が少なく、従来は診断を行うことができませんでした。
2004年1月に五洋建設、中央大学、NEC三栄が共同開発した「鉄筋コンクリートの劣化診断システム」は、コンクリート構造物内部の鉄筋に直接電流を流して加熱し、コンクリート表面の温度変化が少ない箇所でも赤外線サーモグラフィの診断を行うことができる技術です。鉄筋を加熱して画像診断する技術は日本でこれが唯一ですが、鉄筋に電線を取り付けるためコンクリート構造物を一部壊す必要があり、構造物に損傷を与えず劣化診断できる技術が望まれていました。

新技術の概要

電磁誘導加熱による非破壊診断技術
IH(=Induction Heating)調理器具などで用いられている電磁誘導加熱の要領で、コンクリート表面に設置した電磁誘導コイルを使って、コンクリート構造物を壊さずに内部の鉄筋を加熱します。
電磁誘導加熱は、銅管で構成された電磁誘導コイルに高周波電流を流すことによって磁界が発生し、磁界中に置かれた金属(鉄)のみが発熱する仕組みで、コンクリートは加熱されません。
コンクリート表面の温度変化から欠陥位置を測定するためには、測定範囲の鉄筋を均一に加熱する必要があり、均一な加熱となる電磁誘導コイル形状としています。また、電磁誘導コイル移動装置を製作し、コイルを移動させることで広範囲の鉄筋も均等加熱が可能です。
この要領でコンクリート内部の鉄筋のみを加熱して、コンクリート表面温度に表れる温度変化を赤外線サーモグラフィー画像で表し、欠陥位置を診断する画像処理ソフトを使って欠陥位置や大きさを判断します。

電磁誘導加熱のイメージ
電磁誘導加熱のイメージ
(クリックで拡大)
コイル移動装置
コイル移動装置
(クリックで拡大)

このたび、室内実験用に電磁誘導コイル(幅25cm×奥行き55cm)と電磁誘導コイル移動装置(幅100cm×奥行き200cm×高さ70cm)を製作し、欠陥箇所に想定して発砲スチロールを埋め込んだコンクリート構造物の供試体(鉄筋までの深さ5cm)を使って実験したところ、鉄筋への均一加熱とコンクリート表面温度で有効な結果が得られています。

欠陥位置診断画像処理ソフト
これまで、熱画像からの欠陥位置の評価は熟練者が行っていましたが、評価者の定性的な判断によるところが大きく、一般的な技術者が欠陥位置を判断することは難しい状況も考えられました。新開発の欠陥位置診断画像処理ソフトは、赤外線サーモグラフィから得られる熱画像を画像処理することによって、欠陥位置と大きさを自動的に抽出します。これにより、評価者が熟練者や専門家でなくても診断が可能となりました。


(クリックで拡大)

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欠陥位置検出結果

診断対象構造物

本技術は鉄筋コンクリート構造物全般への適用が可能ですが、特に太陽光があたらなく、従来の赤外線サーモグラフィによる診断が難しい道路、鉄道の橋脚やトンネル坑口部、港湾施設の桟橋下面などに適用していきたいと考えています。

今後の予定

実構造物での適用実験を目指しており、そこでの効果確認後、鉄筋コンクリート構造物のリニューアル工事受注に向け、これまでの鉄筋に電線を取り付けて行なう劣化診断システムにかわる調査診断ツールとして、活用していく予定です。



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