ページの先頭です
ページ内移動用のリンクです



このページは、ホームの中のWhat's Newの中の2004年の中の畜舎内の臭気を酵素で安価に脱臭するシステムを開発のページです。

What's New

畜舎内の臭気を酵素で安価に脱臭するシステムを開発

2004年11月22日

鶏舎・牛豚舎・堆肥工場の換気からの臭気流出を防止

五洋建設株式会社(社長 加藤 秀明)は、鶏舎や牛豚舎などの畜舎、堆肥工場向けに、畜舎や工場内の換気に際して畜産臭気を酵素で脱臭し、臭いが外部に流出することを防ぐ「酵素水脱臭システム」を開発、このほど小型装置を使った実験で、畜産臭気の発生源であるアンモニアやアセトアルデヒド濃度の低減に効果があることを確認しました。医療施設や飲食施設などに設置されるこれまでの脱臭装置に比べ安価なので、低コストで臭気流出を防止したい畜舎や堆肥工場に活用できます。

開発の背景

近年、鶏舎をはじめとする畜舎では、外部からの感染症流入を防止するために、畜舎内外を遮断する舎構造にして操業する傾向がみられます。そこでは換気の際に畜舎内の臭気が外部流出するため、都市近郊の畜産家を中心として臭気流出防止の手立てが望まれています。しかしながら、鶏舎や牛豚舎、堆肥工場は、事業運営上コスト抑制が不可欠で、これまでの脱臭装置では価格が馴染まなかったことから、より低廉な装置開発が期待されていました。

システムの概要

開発したシステムは、装置内の混合槽に酵素水槽から加湿噴霧した酵素水成分を、装置内下部から取り込んだ空気(畜産臭気)と混合させ、酵素で空気中のアンモニアとアセドアルデヒドといった臭い成分を分解するものです。この分解は装置内の混合槽で行なわれ、万一分解されなかった臭い成分がある場合は、次に設けられた活性炭繊維の特殊な吸着材入り安定槽に酵素水成分とともに吸着し分解します。混合槽と安定槽を通過して臭気成分が除かれた空気は、清浄空気として装置内からファンで直接あるいは排気ラインなどを通じて外部に排出されます。
混合槽に加湿噴霧した酵素水成分はほとんど気化するので、排水処理過程が不要です。また、安定槽に吸着する臭い成分や酵素水成分はわずかで、一時的に吸着した酵素水成分も気化して空気とともに排出されるため、吸着材の取替頻度が少なくメンテナンスは容易です。

<システム構成イメージ>
システム構成イメージ
(クリックで拡大)

システムの特長

1.畜産系の臭いに対する高い脱臭効

東海大学理学部化学科で、室内面積25平方メートル(容積66立方メートル)のモデル実験室を使って本システムによる測定を行なったところ、室内アンモニア濃度はシステム稼動をしていない場合の約40ppmに対し、稼動時は約3ppmまで低下し、90%以上の除去効果が得られました。アセドアルデヒドについても、室内濃度は稼動前の0.65ppmから稼動後 0.35ppmと半減しました。
これまで、鶏舎内のアンモニア濃度は平均22ppm、最大32ppm程度であるとの第三者調査事例があることから、本システムを設置することで臭い成分を効果的に分解し、鶏舎などの畜産系臭気の舎外流出を防止することができます。

2.装置は施設規模に応じて設計可能

装置1台の大きさを畜舎規模などに応じて設計できるので、大規模畜舎にも効率よく設置可能です。時間当たりの排出風量が180立方メートルの小型装置から風量3600立方メートルの大型装置まで、幅広い対応が可能です。
たとえば、2500平方メートルの畜舎面積に装置を設置する場合、設置工事費用は装置代を含め2500万円程度(1時間に10回程度のサイクルで換気する機能)を想定しています。

3.ライフサイクルコストの低減

規模の大きい畜舎などに本システムを導入した場合、当社が開発した小規模施設向けの光触媒方式による脱臭システム(=五洋式光脱臭システム)よりも、ライフサイクルコストを低減できます。ランニングコストは同程度ながら、畜舎規模に応じた装置設計で小型の光触媒装置より設置台数を抑えることができ、2500平方メートル規模の畜舎面積ではライフサイクルコストが35%程度低減されます。
また、オゾンガスやマスキングといった他の消臭・脱臭方式と比べても、大規模畜舎での本システムの機能性は高く、当社試算で20%以上のライフサイクルコスト低減を期待できます。

4.メンテナンスが容易で装置寿命が長く、環境負荷も少ない

混合槽で臭い成分を分解し、安定槽の吸着材への臭い成分吸着もわずかなので、通常使用で活性炭繊維の取替え頻度は年に1回程度です。
なお、本システムは生物方式の脱臭装置にみられる散水装置といった機器の劣化原因となる設備を設けていないので、装置の長寿命化が図られます。また、散水した場合、装置内の排水を処理する必要がありますが、本システムは酵素水を気化する機構で排水処理過程がいらず、環境にもやさしい装置です。

当社では、臭いに困っているものの、その対策に多額の費用をかけられない大規模畜舎や堆肥工場の建て替え・改修に向け、本システムを建物計画に組み入れながら積極的に提案を行ない、今年度3件ほどの導入(施設建設工事受注で計3億円程度)を目指してまいります。

以上



ページの終わりですページの先頭へ戻る