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What's New

スラリーBOX覆砂工法を開発
〜現地底質と覆砂材の撹拌混合で生物生息に適した底質改善〜

2004年08月24日

五洋建設株式会社(社長:加藤秀明)は、水産資源の生息環境の保全・創造を目的として、底質環境の悪化を覆砂技術で改善する「スラリーBOX覆砂工法」を開発し、このほど現地実証実験でその有効性を確認しました。本工法は通常の砂質土のみの覆砂に加え、従来式の覆砂工法では困難であった現地底質と覆砂材とを混合することができるもので、水産資源の生息環境整備を目的とした底質改善事業において、対象とする生物生息に適した粒度調整(底質改善)が可能な覆砂技術です。生産力が低下した漁場の生産力回復や水産資源生息場の環境改善に有効な工法として、今後は当社底質環境浄化技術:P-Cute(Penta-Ocean Clean-up Technology of environment)のメニューラインナップに加え、事業提案に活用して参ります。

開発の背景

アサリは、沿岸域における水産資源の中でも、干潟・浅場の生物生産機能と浄化機能を支える主要生物です。しかしながら、アサリ漁業生産量は全国規模で減少しており、1980年代初頭には年間14〜16万トンほどあったものが、2001年には約3万トン程度まで減少しています。このように、アサリの減少に代表される浅海域あるいは閉鎖性海域の底質環境の悪化は、漁業生産の持続性を妨げる大きな障害になっています。
最近では、水産資源の持続的利用としてアサリ増殖場造成事業等が計画されるなど、生息環境等の積極的な保全・創造が各地で推進されています。その際、例えばアサリなどの貝類は砂質土のみよりも細粒分をある程度含んだ底質の方がよりよい生息環境であるとされており、水産資源の生息環境整備にあたっては、生物種に応じた効率的・効果的な底質改善技術が求められます。

技術概要

本工法は、通常の砂質土のみの覆砂に加え、現地底質と覆砂材を混合して覆砂することで生物生息に適した底質改善を図る技術です。施工フローは次の通りです。

  1. 覆砂撹拌装置位置決め、貫入
    現地底質に覆砂撹拌装置を所定深さまで貫入します。
  2. 装置内覆砂材の充填
    装置と水底面とのクリアランスに覆砂材をスラリー状で充填します。覆砂材の充填は、充填ホース内をスラリー状態で輸送される覆砂材が、拡幅された覆砂撹拌装置内で急激に流速が低下することで浮遊限界流速以下になり、沈降・堆積することを利用しています。余剰水は、そのままの輸送ラインで排出され、容器内は覆砂材の堆積限界流速に維持されるため、連続的に充填されます。
  3. 原位置撹拌混合
    現地底質と覆砂材とが所定混合比になるように目標深度まで撹拌混合することで、その混合材を覆砂材として利用します。現地底質と覆砂材との撹拌混合は、撹拌翼の上下動で行います。
  4. 装置引き抜き、移動

開発技術の特長

  1. 覆砂厚を精度良く管理可能
    密閉枠の貫入量を調整することにより、原地盤と密閉枠上面とのクリアランスを所定厚さに設定できるため、覆砂厚を精度良く管理できます。
  2. 現地底質と覆砂材との混合比が容易に調整可能
    撹拌軸のストローク制御で、現地底質の撹拌深度(混合量)調整が可能であるため、覆砂材と現地底質との混合比の調整を容易に行えます。
  3. 密閉された枠内での作業のため、汚濁発生が少ない
    覆砂材スラリーの充填や現地底質と覆砂材との撹拌混合作業は、枠で囲んだ内部での作業なので、汚濁の発生がほとんどありません。また、枠の貫入や引き抜き時にも汚濁の発生がほとんどみられません。
  4. 多種多様な底質改善が可能
    作業船が入れる水域(水深1.0m以上)で、通常の覆砂施工や現地底質の耕耘、覆砂材あるいは底質改良材と現地底質の混合による混合材覆砂など、各種底質改善が施工できます。

このほど、実験機を用いた九州地方の実海域における実証実験で、通常の覆砂施工に加え、混合覆砂材 (現地底質比率:覆砂材比率=30〜50%:50〜70%)の施工を約20m²行なった結果、要求品質を満足する良好な材料特性を確認しています。

今後、実験海域での生物生息モニタリングなど、実証実験の覆砂による底質改善効果の確認を進めていくとともに、実機想定600m²/day程度の施工機械の製作を検討し、実工事への早期適用をめざしていく考えです。

なお、当社の底質環境浄化技術(P-Cute)には、すでに環境浚渫工法やスラリーブラインド覆砂工法、薄層安定化処理工法などの技術があり、今回開発し た「スラリーBOX覆砂工法」が新たに技術メニューに加わることで、生物種に応じたきめ細かな底質環境浄化の提案が可能となります。これを機に当社では、 底生生物の生息環境に対応した各種底質環境浄化技術の一層の充実化を図ってまいります。

<工法原理>
工法原理
(クリックで拡大)

<実機想定図>
実機想定図
(クリックで拡大)



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