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What's New

排水用ドレーン材使用の地中防振壁工法を開発
〜薄幅の防振壁で高い効果、狭隘スペースにも設置可能〜

2004年05月12日

五洋建設株式会社(社長 加藤秀明)は、都市近郊鉄道や主要幹線道路の沿線における多大な振動被害を大幅に軽減し、快適な生活環境を回復する 「柱列式地中防振壁工法」 を開発しました。排水用ドレーン材を地中に鉛直打設し柱列壁を構築することで、狭隘スペースにも効果の高い防振壁を設置します。横浜市内私鉄の営業線で実施した現場実験では、振動レベルが最大3.6デシベル低減し、沿道の交通振動対策に有効であることを確認しました。

開発の背景

鉄道や道路沿線の近接した民家、病院などでは、走行する列車や自動車の振動による被害が問題となっています。緩衝スペースの確保が困難な都市部及びその近 郊では生活環境に及ぼす影響が大きく、車両軽量化や軌道・道路構造の改善などの対策にも限りがあります。また、振動に対する法規制で夜間は昼間より5デシ ベル低い基準値が設けられているなど、数デシベルで振動を低減することも求められています。
一般的に防振壁工事による振動低減効果は2デシベル程度といわれており、防振壁構築のための地盤掘削の際、地山の緩みが沿道に影響を及ぼす懸念もあることから、より効果的に防振壁を施工できる技術開発が望まれていました。


図-1 柱列式地中防振壁工法イメージ
(クリックで拡大)

工法の概要と特長

本工法は、環境振動が問題となる地点の地盤中に排水用ドレーン材を鉛直打設し、地中防振壁を構築することで、地盤中を伝播する振動を低減する工法です(図-1)。
本工法の主な特長は次の通りです。

  1. 一般的な建設材料を用いるため、安価な材料費で品質の優れた防振壁を施工できます。
  2. 狭隘な場所でも確実に施工でき、十分な振動低減効果を発揮します。
  3. 防振壁構築のための地盤削孔径が小さく、施工時に地山が緩むリスクを低減します。
  4. 事前に振動計測や解析検討を行うことで、最適な防振壁を設計できます。

防振壁構造について

柱列式地中防振壁は、排水用ドレーン材を一定間隔で鉛直打設し構築します。地盤条件や施工条件等に応じて、ドレーン材の径・ドレーン打設長・ドレーン打設間隔・ドレーン配置を変えることが可能です。

ドレーン材について

柱列式地中防振壁に用いるドレーン材「商品名:ポーラスブロック、ポーラスジャパン株式会社製」は、ポリプロピレンを立体網状体とし、その相互接点を溶着 成型した構造となっており、空隙率が大きく非常に軽くて丈夫です。(外径125mm、重さ1.2kg/m)。地中に打設する場合は、土砂流入を防止するた めにドレーン材の周囲には不織布を巻きます。また、リサイクル原料を使用しており、環境に優しいドレーン材です。

施工方法

防振壁は、削孔機で地盤にφ165mm、深さ6mの孔を開け、その孔にドレーン材を挿入し、地盤の崩壊を防止するため孔壁とドレーン材の隙間にはセメント ベントナイトを充填して施工します。ドレーン材挿入孔は、ケーシング(φ165mm)を回転圧入しながら泥水で掘り、水は循環させながら削孔します。セメ ントベントナイトは、防振効果を阻害しないよう原地盤と同程度の強度にします。

防振効果

現場実験および解析手法の紹介

(1)現場実験

横浜市内の私鉄沿線で防振壁を実験施工し、振動計測を行なった結果、防振壁が高い振動低減効果を発揮していることが確認できました。
図-2は、現場実験で施工および計測平面図です。また、図-3は防振壁の諸元で、防振壁は、延長30m、幅0.65m、深さ6m、打設間隔300mm、正 三角形配置3列とし、ドレーン材は、ドレーン径125mm、ドレーン長(打設長)6mのものを使用しました。写真-1は計測状況写真で、振動計測は防振壁 施工前、および施工後に行いました。


図-2 施工および計測平面図
(クリックで拡大)


図-3 防振壁諸元
(クリックで拡大)


写真-1 計測状況写真
(クリックで拡大)

図-4は、各地点で計測した最大振動レベルの平均値をグラフにしたものです。防振壁施工後の最大振動レベルは、施工前と比べて小さな値になっており、防振壁が振動低減効果を発揮していることがわかります。また、その効果は防振壁に近いところでより大きいことがわかります。


図-4 最大振動レベル分布
(クリックで拡大)

(2)解析手法

現場実験の計測データをもとに2次元FEM解析を行い、振動の伝播状況や防振壁の振動低減効果を良く再現できることを確認しました(図-5)。図で振動源 から遠くなるほど実験値と解析値に乖離がみられるのは、短延長の防振壁実験で、車両走行によって防振壁を構築しなかったところから伝わる振動の影響による ものです。実際は柱列で長延長の防振壁を構築するため、実測値が解析値に近似してくると考えられます。


図-5 防振壁中央における最大振動レベル分布(実線:解析結果、プロット:計測結果)
(クリックで拡大)

図-6に示しますフローにより、様々な振動、地盤条件や施工条件に応じて、最適な防振壁(壁の位置・幅・延長・深さ、ドレーン配置・ドレーン打設間隔・ドレーン径 等)を設計・提案することが可能です。

今後の展開

本工法は、環境振動が問題となる地点において、地盤中に排水用ドレーン材を鉛直打設し、地中防振壁を構築することにより、地盤中を伝播する振動を低減する 技術です。また、解析手法を用いることで、様々な振動や地盤条件、施工条件等に応じて最適な防振壁の設計・提案が可能です。今後は、本工法を環境振動問題 の低減に貢献できる技術として、鉄道事業者などに積極的に提案していきたいと考えております。



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