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このページは、ホームの中のソリューション・技術の中の技術一覧の中の土木技術の中の地盤改良 質問箱 データベースの中の土・土壌に関する質問のページです。

良い土地かどうか調べる方法はあるのでしょうか

土地を購入しようと思います。良い土地かどうか調べるためにはどのような方法があるのでしょうか?

一般的に『良い土地』を購入しようとすると、インフラの整備状況や日当たり、駅の近くなどという立地条件の良し悪しなどに注意が向いてしまいがちです。しかし、本当に『良い土地』かどうか判断するための基準には、地盤の下の状況がどうなっているか知ることも重要です。表面は堅そうな地面であっても、昔は沼地だったなどと言う場合、地面の下にやわらかい粘土がありますので、家を立てた後で沈下などの問題が生じます。

それでは「地盤調査」とは一体何を調べるのでしょうか。
仮に、ある地盤に建物を造る場合、その土地には地耐力が求められます。簡単にいえば、建物を支える強さが地盤にあるかどうかを調べるということです。

通常の家を建てる場合には、現位置の調査が有効です。なかでも、スウェーデン式サウンディングと言う方法は比較的安価に行うことができ、地盤の下数メートルの状況を知ることができる方法としてお勧めできます。
また、工場跡地などでは、重金属などにより土壌が汚染されていることがありますので、土地の履歴を知ることも重要です。

愛媛県は地盤改良しなければならないほど地盤が弱いのでしょうか

愛媛県の地盤について質問致します。

  • 一般的に愛媛県は地盤改良しなければならないほど、地盤が弱いのでしょうか?
  • 特に松山市近辺で不同沈下や流動化現象の起きる地域があるのでしょうか?

地質会社に調査させたところ(スウェーデンシキサウンディング法)ところ改良したほうが良いと言う解答がでたのですが、建物は木造2階建です。

特に、愛媛県の土地で地盤改良が必要と言うことはありません。
地盤改良が必要なところとは以下のように地耐力が小さい地盤です。
(1)田や湖沼などを埋め立てられた地盤
(2)十分締め固めずに盛り土(もりつち)により造成された地盤
反対に、山を削って造られた地盤や砂地盤、前に家が建っていた所などでは、ほとんどの場合、地盤改良は不要だと思います。木造家屋2階建においては地耐力2t/m2程度が必要です。スウェーデン式サウンディングを実施している場合、表の中にWswとNswという2つの表示あるはずです。この2つは土の中の強さを深さ1mごとに表しています。地盤の中のほとんどの点で、Wswが100kg(=1000N=1kN)を越えていれば、あるいはNswが1を越えていれば、おおよそ3t/m2以上の地耐力はあると考えて良いでしょう。
ただし、がけ地で土を取って、その土を半分盛り土して造成された地盤や数mを越える高い擁壁の上に造られた地盤などでは、Wswが大きくても、地盤改良が必要な場合が時々あります。信頼できる業者と相談されることを強くお勧めします。
また、液状化が発生する地盤は、砂地盤で地下水面が地表近くにある地盤です。多くは、埋め立て地や河川の近傍の土地です。芸予地震では液状化が発生した地盤はほとんどが埋め立て地や干拓地でした。これらにあてはまる場合には、業者とご相談下さい。

土地を支えているコンクリート壁は20年経っても大丈夫か

自分の家はちょっとした高低差のあるところにあるのですが、家の庭の先(家の前)に高さ約4m位のコンクリートの壁によって自分の家の地盤を支えています。自分の家は築20年ぐらい経っていて、同じようにコンクリートの壁が20年経っても大丈夫なのでしょうか?また、コンクリートの壁が弱っていたらこの壁を作り直す以外に地盤が崩れないようにする方法はありますか?また地盤が崩れた場合、家にはどんな前兆、被害が発生しますか?

コンクリートの壁は擁壁(ようへき)と呼ばれていて、擁壁には様々な構造形式のものがあります。
ご質問の擁壁がどのような構造形式かはわかりませんが、簡単な判別方法としては、擁壁を横から見て、鉛直に立っていれば鉄筋コンクリート擁壁、若干傾いているようなら無筋コンクリート擁壁(鉄筋が入っていない)と考えられます。
鉄筋コンクリート擁壁の場合は鉄筋がさびるまでを耐用年数(寿命)と考えて、鉄筋がさびると膨張してコンクリートがボロボロはがれ落ちてきます。一般に耐用年数60〜100年と言われています。無筋コンクリートは中に鉄筋が入っていないので、さびによってコンクリートがはがれ落ちることはありません。耐用年数は半永久的と考えてよいでしょう。

「コンクリート壁が20年経っても大丈夫なのでしょうか?」というご質問ですが、擁壁がきちんと設計され、手抜き工事なく造られているなら全く問題はありません。

ご質問の擁壁は高さが約4mということなので、この高さで一般によく用いられている無筋コンクリートもたれ式擁壁に限定して回答を進めさせて頂きます。もたれ式擁壁は、重たいコンクリート壁が地盤にもたれかかることで、地盤が崩れようとする力に対抗する構造になっています。地盤が崩れようとする力には地盤自体の重さ(土圧)、地盤内の地下水の重さ(水圧)、建物の荷重、地震力などがあり、これらの力に対抗できるように設計されています。
設計した以上の大きな力が擁壁に作用すると、擁壁が地盤を支えきれなくなって崩れてしいます。この例として、大雨が降り続き、擁壁の排水孔(塩ビパイプ孔)からの排水が間に合わず、地下水の上昇によって水圧が大きくなり擁壁が崩れるのが一般的です。擁壁の排水孔はとても重要な役割を担っているのです。その他、想定以上の大きな地震が発生した場合や、想定以上の大きな建物を建てた場合にも擁壁は崩れてしまいます。

「コンクリート壁を作り直す以外に地盤が崩れないようにする方法はあるのでしょうか?」というご質問ですが、以下の3つ紹介します。

  1. 擁壁のコンクリート面に穴をあけて、鉄筋やワイヤー等を地盤の中に水平に挿入して擁壁を倒れにくくする(グランドアンカー工法と言います)。
  2. 地盤上(庭)から地盤に杭を打つ。または、地盤にセメントを混ぜて杭状に固めるなどにより地盤を崩れにくくする(抑止杭工法と言います)。
  3. 地盤にセメントを混ぜて地盤全体を硬くする。または、地盤を発泡スチロールなどの軽い材料で置き換えて擁壁に作用する力を小さくする(土圧低減工法といいます)。

最後に、「地盤が崩れた場合、家のほうにはどのような前兆、被害が発生するのですか?」というご質問ですが、あなたの家の庭が広く擁壁の端から十分に離れた所にあるなら、地盤が崩れても家は無事でしょう。簡単な判断方法として、擁壁から家までの距離が擁壁の高さ以上(ここでは4m以上)であれば多少安全、これ以下なら危険。高さの2倍以上(ここでは8m以上)なら安全と考えて下さい。地盤が崩れそうな前兆についてですが、家の中ではわからないので、以下に示す事項に注意して擁壁や庭を観察して下さい。

  1. 擁壁に大きなひび割れがあり、雨が降った後は、ここから水がしみ出している。
    →ひびが地盤まで貫通しています。危険なので擁壁の補修が必要です。
  2. 擁壁を上や横から見て、たわんでいる箇所、出っ張っている箇所がある。
    →擁壁に設計以上の力が作用しています。そのままだと擁壁が転倒する可能性があります。
     紹介した「地盤が崩れないにする方法」による対策が必要です。
  3. 雨が降った後、庭の水はけが悪い。擁壁の排水孔から水が出ていない。
    →地盤の水はけが悪いと水圧によって擁壁が倒れる危険性があります。
     擁壁の排水孔が詰まっている可能性があります。

シルト層とは、簡単にいうと、どういうものですか

シルト層とは、簡単にいうと、どういうものですか。

土はいろいろな大きさ(粒径)の土の粒が集まってできたものです。この粒の大きさによって土の呼び名は4段階(種類)あります。土木のことをほとんど知らないひとでも、この4種類の内の3つ、「粘土」、「砂」、「礫(れき)」は聞いたことがあるのではないでしょうか。残りの1つが「シルト」と呼ばれるものです。

ところで、この「シルト」という言葉には、2つの意味があります。一つは土の中の「粘土」より大きくて「砂」より小さい範囲の粒径の土粒子(数字で言うと、粒の直径が0.005mm以上で0.075mm未満となります。)を指す場合と、もう一つは土全体の「性質」が粘土ほど粘りけがないが、砂ほど粒が大きくさらさらしていない、粘土と砂の中間の性質をもつ土を指す場合の2通りです。(この言い方は厳密には正しくありません。あくまで、「簡単に」ということで許して下さい。)
「シルト層」と言うと、後の方の意味となり、土質(土の性質)がシルトに分類される地層と言うことができます。

土を性質の面からの分類法について、もう少し厳密に書きます。(読みたくなければとばして下さい。)土を大きく分類すると、細粒土と粗粒土の2つに分かれます。細粒土は「粘土」、「シルト」の割合が全体の半分以上ある土を指し、粗粒土は「砂」と「礫」の割合が半分以上あるものとなります。
この細粒土をさらに「粘土」と「シルト」に分類するには、土の柔らかさを表す「コンシステンシー」という指標から判断するというのが正式な分類のしかたとなります。このコンシステンシー試験から求められる、液性限界(wL)と塑性指数(Ip)の値を用いて、
Ip≧0.73(wL-20)となれば「粘土」、Ip<0.73(wL-20)となれば「シルト」
というように分類するのが、わが国の正式な分類基準となっています。

セメント改良土とは何ですか

セメント改良土とは、何ですか?どんな時にどのようにして使われるのですか?

セメント改良土とは、土が軟弱でそのままでは種々の用途に適さない場合、セメントなどの固化材を添加混合して、土の強さを向上させたものを言います。セメント改良土は、目的に応じて土に添加する固化材量を調整することにより改良土の強さを変化させることができます。

セメント改良土を施工方法で大きく分けると
(1)原位置混合方式
原位置の地盤に攪拌機械を用いて土と固化材を混合処理させる場合
(2)事前混合方式
プラント等にて土と固化材の混合を行い、所定の場所に運搬・投入して地盤を造成する場合
などがあります。

セメント改良土の用途としては、
(1)構造物の基礎地盤の改良
軟弱な地盤上に構造物を建設する場合の原地盤に固化材を混合処理する浅層改良および深層改良。
(2)掘削時の山留めとしての適用
開削工事を行う際の土留めおよび止水を目的としたソイルセメント連続壁など。
(3)路床・路盤への適用
軟弱地盤における道路や鉄道の路床・路盤への適用。
(4)ヘドロおよび汚泥の固化処理
環境保全を目的としたヘドロの封じ込めや汚泥中に含まれる有害物質の溶出量減少を目的とした固化処理、汚泥の悪臭防止など。
(5)埋立材料・埋戻し材料としての適用
締固めを必要としない埋立材・埋戻し材としての適用。また、そのままでは再利用が難しい建設発生土に対してセメント系固化材を用いて改良して盛土、基礎地盤、構造物の埋戻しや裏込めなどに有効利用を図る。

などが考えられます。

地盤改良材のセメント系一般用とセメント系特殊品の違い

地盤改良を行う場合に使用される、地盤改良材についてご質問いたします。

  1. 地盤改良材には、セメント系一般用とセメント系特殊品というのがありますが、明確な区分というのはどのようになっていますか?
  2. 用途に応じてさまざまな地盤改良材がありますが、どのような土質の場合、どの地盤改良材を使用するようにという明確な基準のようなものはありますか?例えば、高有機質土用と言ってもなに思って高有機質土と判定するのか。一般軟弱土用の『一般軟弱土』とはどのような土質を指すのでしょうか?

地盤改良を行う場合のセメント及びセメント系固化材選定についての質問ですが、最も参考になる書籍は『セメント系固化材による地盤改良マニュアル[第二版](社)セメント協会』と考えています。セメントメーカー各社は、セメント(JIS規格品)の特定成分を補強したり、粒度を調整したり、土質に応じて有効な成分を添加するなどして改良強度や六価クロム溶出環境基準などの要求に適合する「特殊なセメント」を開発しており、これを「セメント系固化材」と呼んでいます。

セメント及びセメント系固化材による改良地盤の強度発現は、含水比、有機物含有量、化学組成、pHなど土の様々な特性に左右されます。このため、これらの土質条件と目標強度が定まれば、使用する固化材も定まることがベストなのですが、残念ながら、明確な選定フローがまとめらた文献はないのではないでしょうか。これは、工事に際しての土質条件、改良工法、改良目的は千差万別であり、セメントメーカーも次々と新製品を出すことから、明確な選定基準を作ることが困難であるためと考えられます。

一般的な選定フローとしては以下を参考にしてみてはいかがでしょうか。

土質条件 一般に使用される固化材
1.粘土・シルト(低含水比) 高炉セメントB種、普通ポルトランドセメント
・含水比w<液性限界wL・一般に含水比w≦80%程度
2.粘土・シルト(高含水比) セメント系固化材(一般軟弱土用)
・含水比w>液性限界wL・一般に含水比w>80%程度
3.有機質土(腐植土) セメント系固化材(特殊土用)
・工学的には有機物含有量C0≧5%

質問についての回答は以下の通りです。

  • 『セメント系一般用』とは、上記の高含水比粘性土に用いられるセメント系固化材であり、上記2の高含水比粘性土を『一般軟弱土』と呼んでいる。
  • 『セメント系特殊品』とは、一般には、上記の有機質土に用いられるセメント系固化材を指すが、六価クロム溶出を抑えた「特殊品」、テフロンを配合することによって湿り気を持たせ粉じんを抑えた「特殊品」などもある。
  • 『高有機質土』とは、泥炭、黒泥など有機物含有量C0≧50%の土であり、それ以下を低有機質土という。

有機物含有量C0は強熱減量(有機物+結晶水の含有量)Liより小さい値を示すが1:1に近い相関があり、Liが目安としてよく利用されている。

もちろん、上記2および3の土質にも高炉セメントB種や普通ポルトランドセメントなどが使えるケースもあます。固化材単価としては、高炉セメント<普通ポルトランドセメント<セメント系固化材、の順に高くなりますが、同一強度を満足した場合に、土質条件によっては、安いJIS規格品のセメントを大量に使用するよりも、高いセメント系固化材を少量使用した方が経済的な場合もあるため、適用可能性のある固化材については配合試験を行っておく必要があります。

その他、固化材選定に当たっての注意事項も付け加えておきます。

  • 固化材選定に当たっては、知識や経験の他、土質特性の地域性(その地域でよく用いられている固化材は何か)も考慮した方がよい。
  • 高炉セメントにはスラグが入っているため、普通ポルトランドセメントよりも六価クロム溶出が少ない。
  • 強熱減量Li>10%程度では、高炉セメントや普通ポルトランドセメントでは改良強度を満足しない可能性が高くなる。
  • セメントの水和反応を阻害する有機物の代表的な有害成分はフミン酸であると言われている。

砂層とシルト層の特徴を教えて下さい

砂層とシルト層の特徴を教えて下さい。

砂層とシルト層の特徴と言うことですが、ここではシルト層を厳密に粘土層と区別せずに粘性土を主体とした細粒土からなる層として説明します。なお、シルト(層)については、この地盤改良質問箱のQ34に簡単な説明がありますので参考にして下さい。
まず、簡単に砂層とシルト層の特徴についてイメージを列挙します。

項目 砂層 シルト層
粒の粗さ 粗い 細かい
重さ(密度) 重い 軽い
水はけ(透水性) 良い 悪い
粘りけ(粘着力) 無い 有る
沈下量(圧縮・圧密) 小さい 大きい
沈下の速度 早い 遅い

最も基本的な違いは「粒の粗さ」です。砂(礫)(粗粒土)とシルト(粘土)(細粒土)は粒径により区分されます。その境界となる粒径は、日本では 0.074mmとしています。当然、粒が大きければ粒子間の隙間(間隙)も大きくなるために水が通りやすくなり、小さければ通りにくくなります。しかし、透水性の高さは隙間の大きさによるもの以上に、粒子が水を抱える力が大きく影響します。特に粘土のように粒子が細かい土は表面の電気的な力があり、これにより水を抱える力が大きくなります。この力によって透水性が小さくなり、また土に粘りけ(粘着力)がでます。

この粘りけは沈下にも影響します。つまり、砂層は粘着力がないために沈下量=骨格の圧縮量となりますが、シルト、粘土層の沈下は抱えた水がゆっくりと排出されながら、排水された分だけ体積が減る(沈下する)という、「圧密」現象となり、一般的に砂層に比べて大きな沈下が時間をかけて発生します。また、一般に地盤の強さは含水比と大きく関係し、含水比が小さくなれば強度が大きくなりますが、砂に比べてシルト・粘土層は水が抜けるのに多大な時間と力が必要となるため、一般に軟弱層と言えば特殊な土を除けば、含水比の高いシルト・粘土層を指します。

またこの粘着力の有無によって、砂層とシルト(粘土)層では破壊現象、問題点が異なります。
粘着力の無い(非常に小さい)「砂層」では間隙水の水圧、動水勾配、浸透圧が砂の骨格に働いている重力による力よりも大きくなることによって水と共に流動状態になる破壊:「液状化」、「クイックサンド」、「パイピング(ボイリング)」という破壊現象が問題となるのに対し、粘性土層では、粘着力が働くために「ヒービング(盤ぶくれ)」といった現象になったり、先に述べた圧密沈下による長期的な変形(沈下)や側方流動による破壊が問題になります。



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