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Landport高槻新築工事(大阪支店)

好立地に最新の物流施設を

当工事は、野村不動産グループにとって最大級の物流施設となる大規模高機能マルチテナント型物流施設を建設するものである。大阪、京都、神戸など関西主要エリアへの広域配送が可能な北摂地域である大阪府高槻市に位置する。
大阪中心部から20キロ圏内、名神高速道路「茨木IC」から約9.3キロ、2024年開通予定の新名神高速道路で「高槻IC」(2019年供用開始予定)「摂津北IC」と三つの高速インターのどれからもアクセスが良い。西日本のみならず全国への広域配送にもメリットがあり、更なる利便性の高まりが期待されている。物流施設の供給が多い関西圏の中でも、プライムエリアである高槻市内での大型物流施設は数少ないという。物流立地として、今後更に需要の高まるエリアの施設である。

  • 現場位置図現場位置図
  • 施工中全景施工中全景

雇用環境の充実を図った、働く人に優しい物流施設

このエリアは産業都市だけでなく、大阪と京都の中間に位置していることで、ベッドタウンとして発展してきた住宅都市でもある。昭和61年以降、人口総数は35万人を維持しており、労働力確保の面においても大きな強みを持っている。
当施設の最上階共用部には、約150名を収容できるカフェテリアスペースを設置したほか、1階部分には商業スペースを設置。コンビニや物販店舗など、庫内作業者への利便施設として利用可能なテナントを誘致できる。また1階部分の駐輪場前には物流倉庫テナント用のシャワーブースを設け仕事帰りにシャワーを使用できる等、様々な雇用環境への配慮が感じられる。

  • 最上階の快適なカフェテリア最上階の快適なカフェテリア
  • テラスは展望席となっているテラスは展望席となっている

更にはICカードセキュリティの設置と防災センターによる常駐管理で、安心して24時間の稼動ができる。
当施設は全館において消費電力・管球コストの低いLEDを採用しており、屋上には太陽光パネルを設置、最上階への遮熱効果を見込むとともに発電も可能な環境配慮型施設である。
また免震構造、非常用発電機(72時間分)を実装することで、高いBCP性能を実現したほか、防災備蓄庫の設置によりテナントBCP対策をサポートできる機能も完備している。
こうした良好な作業環境を創出する数々の工夫や環境に配慮した取り組みが評価され、当施設は大阪府公認の「大阪府建築物環境配慮評価」だけでなく、「DBJ Green Building プラン認証」の5つ星と併せ、USGBC(U.S. Green Building Council)の国際的な認証プログラム「LEED予備認証(環境性能評価認証システム)」も取得した。

  • 働く人を迎え入れる玄関働く人を迎え入れる玄関
  • 屋上太陽光パネル屋上太陽光パネル

免震技術で守る

回転機構付滑り支承 据付状況回転機構付滑り支承 据付状況

従業員や荷物を災害から守るため、建物がゆっくりと平行に揺れることで、安全性や二次災害を抑制し、建物そのものの被害を抑える免震構造を採用した。免震装置には積層ゴムアイソレーターと回転機構付滑り支承を使用し、これらを用いると杭頭を拘束する地中梁が不要で地震時の杭頭応力が大幅に削減できる。また、2重基礎とならないため基礎・掘削土工事が削減できる事が最大の特徴だ。免震装置施工においては、免震部材の据付け精度に影響するベースプレートの取付け精度と上部の軸力とせん断力を基礎へ伝達させるベースプレート部のグラウトの密実な充填性をモックアップで検証し、最適なスランプフローを設定し施工した。

「P-RCS構法」によるコンクリート施工

ディストリビューターによるRCS柱打設状況ディストリビューターによるRCS柱打設状況

主要構造には、剛性の高い柱RC造と軽量で大スパンにも対応可能な梁S造である、当社で開発した「P-RCS構法」というハイブリッド構法を採用している。この構法はRC柱と柱梁接合部のコンクリート強度の打ち分けが可能で、柱梁接合部のコンクリート強度100N/mm2までの超高強度コンクリートが使用できる。柱梁接合部をブレース付き架構することで柱や梁断面を小さくし、スマートな大空間を実現することが可能だ。またRC柱に対して打込アンカーボルト等が多く、一般の型枠では縦バタ等に干渉し設置困難であったため、メタルフォームを採用した。また高さ約5.5mのRC柱のコンクリート打設のために、ディストリビューター(コンクリート圧送用ブーム)を使い配管用足場の使用を中止した。施工効率の向上と材料ロスの低減、安全性を向上させることができた。
また床コンクリート打設後、初期のコンクリート中の水分の蒸発を防止するため散水後にシートで覆う水分散逸防止養生を行った。次に浸透性表面硬化材を打設後約1週間の若材齢時に施工することで、その後の水分の散逸も防止しクラックの少ない品質のよい床を実現した。

  • 柱のスパンは11m×11m柱のスパンは11m×11m
  • RCS柱打設状況RCS柱打設状況

RCS構法はRCと同様に1フロア毎にしか工事を進められない。床は直押さえ仕上げのため天候により何度か打設中止を余儀なくされた。そのたびにサイクル工程の調整が必要となるが、近郊に新名神高速関連工事や大型工事が多く、一度打設を中止すると次の打設までにコンクリートの供給が間に合わず1週間以上待たなければならない状況も発生し工程管理に苦慮した。当現場では柱のコンクリートを在来工法にて施工したが、単独で立つ柱の建入精度・ねじれ・レベルに対しての精度確保と梁鉄骨仕口部の据付け精度および仕口コンクリートの梁フランジ下の充填状況を重点管理項目とした。

  • 下りランプを見上げた様子下りランプを見上げた様子
  • 通りに面したダブルランプウェイ通りに面したダブルランプウェイ

工期短縮と作業効率化への取り組み

南側 特高受変電架台南側 特高受変電架台

当施設ではマルチな物流業務に対応可能とするため特別高圧受変電設備を設置している。南側に配置されている特高受変電架台は、外構工事での施工では工期的に厳しいため、地上の躯体工事前に基礎までを施工し、電気の管路・非常発電機用オイルタンクの施工も同時に先行施工した。
免震躯体での1階梁、各階柱の主筋がD41・D38等の太物で、梁断面も900mm×1,500mmであったため、地上で先組してクレーンで吊込む方法を採用し安全性を向上させた。また継ぎ手にはA級継手工法により全数継手にしたことで、工程短縮に貢献できた。
施工地域は地下水位が高く、掘削深さも3.5mであり止水性の山留めが必要だった。当工事では地盤改良山留を採用し、シートパイルの引抜き等の工程を挟まないため円滑な工程移行ができた。
屋根工事において東側に移動式の折板成型機用の架台を設置し、100mを超える折板を屋根面で成型設置した。ランプウェイがある東西西側からの施工が出来ないため、棟部分は折板を自重でたわむR形状とし、一枚の折板となるよう設計段階から打合せをして仕様を決定した。一般的には地上で成型し揚重という屋根工事であるが、屋根レベルでの成型および折板の横移動を無くすことにより作業の効率化と安全性が確保できた。

働きやすい環境を目指して

工事所長 肝付 兼幸工事所長 肝付 兼幸

当工事の西と東の敷地には戸建ての住宅・マンション・工場等があり、工事中における振動・粉塵・騒音に細心の注意を払っての施工となった。特に振動対策については敷地地盤が軟弱なため広範囲での影響を考慮して、重機の低速走行を徹底した。粉塵対策としては重機・車両通行路の全面舗装・鉄板敷込みを行い、また工事車両のタイヤ洗浄機を各ゲート前に設置する等の配慮を行った。
現場を運営するに当たっては、品質・工程・安全・原価管理が重点管理項目であるが、これらを達成するために現場での「整理・整頓・清潔・清掃の4S完全実施」をモットーとし欠かさず実行したという。
肝付所長は、「当工事は大規模で職員も多く、個々が能力を発揮し、成長できるような人員配置や環境を整え、コミュニケーションをとることを常に意識しました。安全衛生・品質における不祥事は企業生命に関わる問題にもなりかねません。これらのことを、工事関係職員・協力業者が同じ認識のもとに工事を完成させたことを誇りに思います。この工事において、さまざまな問題点・課題がありましたが、これらの反省点を活かし、今後五洋建設の技術の向上、蓄積になれば幸いです」と語った。

工事名称 (仮称)Landport高槻 新築工事
施工場所 大阪府高槻市芝生町
工期 2016年2月26日〜2017年6月30日
発注者 野村不動産株式会社
設計・監理 五洋建設株式会社 本社一級建築士事務所
施工 五洋建設株式会社 大阪支店
工事概要 構造 杭頭免震構造 柱RC・梁S造 地上5階 ダブルランプウェイ型
敷地面積 35,276.27m2
建築面積 18,653.98m2
延床面積 88,416.44m2


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